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ノワール、進化3

「ミクリャも連れて行こうか」


「えっ、でも……」


 小さい時と違ってもう誤魔化しようのない見た目をしている。

 袋の中には入らないしもし見つかったらどうするのか。


「別にショウカイにしがみついてデカいローブでも着ときゃバレはせんだろ」


「うーん……」


 確かに町の中を歩き回るのでなければ大丈夫か。


「ミクリャ、ノワールを助けるの手伝ってくれるか?」


「ん!」


 ミクリャはいなかったので話をよくわかっていない。

 でもショウカイの頼みならミクリャは断るわけがないしノワールの名前が出たなら尚更だ。


 手を上げてやる意志を示すミクリャ。


 とても良い子である。


 ーーーーー


 怪しい格好だったと思う。

 お腹周りにひしっとミクリャがしがみついて、その上からクロークを身につけてミクリャを覆い隠す。


 ぱっと見良さそうだったのだけど外から見ると酷かった。

 意外と横から見たショウカイはお腹が膨れた不思議な体型に見えてしまっていた。


 違和感はあるけれどこれで街中を歩くわけじゃない。

 その上で知り合いもワダエにはいない。

 人の腹が膨れることを初対面で指摘する人なんてまずいないから大丈夫だろうとは思った。


 結局はノワールのところに着くまで人には会わず、山岳地帯まで走ってきた。

 ワチカミの森はワチカミの支配下にあるクモたちに任せて、ワチカミとミクリャ、それにシュシュで来た。


「雑魚がノワールに手を出そうなんて身の程をわきまえろー!」


 ワチカミを連れてきてよかったと思う。


 ついてすぐまさしく危機的状況。

 ノワールの毛の塊は十数体のストーンリザードに囲まれていた。


 ノワールの進化を感じ取ってストーンリザードが集まってきていた。

 そんなノワールを守っていたのはシズクであった。


 ストーンリザードがノワールをどうしようとしていたのかは分からないけどとりあえず毛の塊を攻撃していた。

 シズクは毛の塊となったノワールに全身を広げてまとわりついてストーンリザードの攻撃を防いでいた。


 ストーンリザードが尻尾を叩きつけるがシズクによって衝撃は中まで伝わらない。

 噛みつこうにもシズクで滑ってしがみつくこともできない。


 ある意味万全の守りであった。

 核は頂点となる上にあってストーンリザードには届かない。


 魔法が使えないストーンリザードではシズクのガードを突破することができなかった。


 場についてすぐに危険を察したワチカミの行動は早かった。

 ストーンリザードに駆け寄ると1匹を思いっきり蹴り上げた。


 くの字どころか折り畳まれて飛んでいくストーンリザード。

 そこからワチカミの一方的な虐殺が始まった。


 ショウカイでは剣すら通らなかったストーンリザードが次々に仕留められていく。

 逃げるストーンリザードは糸で引っ張り戻して殴りつけたり、糸で切り裂いたりして次々と倒していく。


 戦闘にはミクリャも参加していた。

 ワチカミほどの攻撃力がないミクリャは糸を巧みに利用して攻撃を行なっていた。


 まず糸を渡して張りストーンリザードの首を吊ったりとパワー不足を補って考えて戦っている。


 あっという間にストーンリザードたちは死体の山となって積み重なってしまった。


「シズク!」


 ノワールを守っていたシズクが毛の塊を覆うのをやめて地面に落ちる。

 少しずつショウカイの方に移動してくるけどいつものように跳ねてくる元気もないようで弱々しい。


 抱え上げるといつもよりも張りがなく手からテロリと垂れてしまいそう。

 シズクの感情や気持ちは言葉が通じないのでわからないけれどシズクも相当無茶をしていた。


 仲間であるノワールを守るためにシズクなりに必死になっていたのであった。


「頑張ったな、シズク」


 優しくシズクを撫でてやる。

 これまで戦力にならないと思っていたシズクだったがシズクはシズクで出来ることを必死にやってくれた。


 まさかこんな方法で守ってくれるとはシズクもやるものだとショウカイは感動していた。

 少しシズクのことを甘く見ていた。


「危ないところだったがそのスライムやるじゃないか!」


 散々暴れたから楽しかったのかさわやかな笑顔を浮かべるワチカミ。

 最近森にくる冒険者も来ないし魔物も弱くて暇だったので暇をしていたワチカミはちょっとばかり暴れたかった。


 森で暴れると生態系が崩れるし巣に魔物が近づかなくなったり人にバレると厄介なのでそう暴れるわけにも行かない、


 ノワールを守るという目標もありながら暴れるチャンスだとワチカミは自ら乗り出したのであった。


「ありがとう、ワチカミ。


 本当に助かるよ」


「やめろよ、私たちの仲だろ」


 そんな思惑もあったので真っ直ぐにお礼を言われるとちょっと居心地が悪い。


 ワチカミがストーンリザードを糸巻きにする前にショウカイはついでだからストーンリザードの尻尾を切り取った。

 ワチカミはシュシュのような小さいクモを連れてきていてどこかに送った。


 ショウカイがノワールの横にテントを設置して焚き火を用意していると大きなクモが何匹かやってきた。

 クモたちが糸巻きにされたストーンリザードを持ち上げるとそそくさと持っていってしまった。


 小さいクモは伝令の役割でいいエサを捕まえたから取りにこいと他のクモを呼びに行かせたのであった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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