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ノワール、進化2

「ど、どうすれば……」


 幸い今いる場所は奥まっていて岩に囲まれているので周りからは分かりにくい。


「進化って何!


 俺はどうしたらいいの!」


 いきなりこんなことになってしまったショウカイは毛の塊となったノワールの前でウロウロする。


「うっ……ううむ……よし!」


 いつノワールの進化が終わるのかも分からない。

 日帰りにはちょっと厳しいぐらいの距離で、かつ見つかるかも分からなくストーンリザードを探すつもりだったが長いこと泊まるような準備はしなかった。


 見つからなきゃワダエに帰ればいいと思っていたから。


「シズク、ノワールのこと頼むぞ!」


 ショウカイは走った。

 これまでにないほどの全速力で走りワダエの町に戻った。


 食料やなんかを買い漁り、ショウカイは走った。


「ど、どうしたであるか!」


 そして向かったのはノワールのところではなく、ワチカミの森に向かった。

 進化について分からないなら聞けばいい。


 ショウカイには魔物について聞ける魔物友達がいるのだ。


 大量の荷物を抱えて汗だくで森まできたショウカイにシュシュは驚いていた。

 何があったのか聞こうにもショウカイは息も絶え絶えだった。


「た、たすけて……」


「何があったであるか!?」


「ノ、ノワールが……」


 ショウカイはシュシュに事情を説明した。


「それはまさしく進化であるな。


 まさかそんなところで進化を始めなくてもよいであるに……」


「ふむ、話は聞かせてもらった。


 私が手伝おうではないか」


 おもむろに登場したワチカミ。

 奥からチラチラ覗いていたことには気づいていたけど話は聞いていると思ってそのままシュシュに話した。


「手伝うって何を?」


「ノワールを守りゃいいんだろ?」


「ええと?」


 シュシュを見る。

 ようやく息が整ってきたショウカイはまだ状況の説明しかしておらずワチカミが何を言いたいのか分からない。


「進化に関して外から何かすることはできないである。


 しかし進化の最中はどんな魔物でも無防備になってしまうである。


 なので本来はどこか見つからない場所で進化をするものであるが……

 とりあえず隠すとか何かに見つかってもいいように守ることが先決である」


「なるほど……」


「しょうがないから私が守ってやるってことだ」


 いつの間にかワチカミは人の姿になっていてショウカイに下手くそなウインクをしてみせる。


「それはありがたい」


 最戦力だったノワールを守らなきゃいけない。

 シズクはまだマスコット的なものなので何かに襲われたらショウカイ1人で守るのは多分厳しい。


 ワチカミが来てくれるなら百人力だ。


「そういえばミクリャは?」


 行くのはいいし今すぐにでも向かいたいのだけど1つ忘れちゃいけないことがある。

 ミクリャのことである。


 いつもワチカミのところに来たらすぐに来てくれていたのに今日は来てくれない。


 これがまさかの親離れや反抗期なのかと不安になるショウカイ。


「あの子は今狩りに出ているぞ。


 だいぶ成長してきたし練習も兼ねて自分の食い扶持ぐらいは自分で稼いでもらわなきゃな」


「そうなのか……」


 会いに来ないわけじゃないと知ってホッとする。


「そろそろ戻って……きたな」


「グエッ!」


 首が持っていかれるかと。

 当然の衝撃にショウカイは横に倒れた。


 ギュッとショウカイの顔に抱きつくミクリャ。

 狩りから帰ってきてショウカイを見つけたミクリャは思わずショウカイに飛びついた。


 結構来るのに時間が空いてしまったので前のようにお淑やかを演出する余裕がなかったのである。


「ミ、ミクリャァ?」


 思いの外ダメージがある。

 普段無表情なはずのミクリャはニッコリと笑ってショウカイの頭にしがみついている。


 ワチカミからみてもこんな風に顔に感情が出るのは珍しいことである。


 力が強く引き剥がすことができず、顔に引っ付いているので呼吸ができない。


「ミクリャ様、ちょっと上にズレてあげないとショウカイ様が死んでしまうであるよ」


 気遣いのできる男シュシュのおかげでミクリャがちょっとだけ上にずれて口呼吸はできるようになる。


「ミ、ミクリャがどれだけ成長したか顔が見たいなー」


 無理矢理引き剥がすのも無理だし可哀想だからここは1つ情に訴える。

 ミクリャがスルスルと降りてきて胸元までくるとポンポンと腕を叩く。


 何がしたいかは言葉を介さずとも伝わる。

 腕を回して抱き上げるとミクリャはショウカイの顔を見る。


 嬉しそうに笑う表情はもうそこにはなかったけれどショウカイにも嬉しそうだと分かる無表情がそこにはあった。


「大きくなったな」


 ミクリャはショウカイの頭ほどの大きさになっていた。

 体の均整も子供っぽいものから少し手足が伸びた大人のような感じになっている。


 ショウカイの腕に腰掛けるようにするミクリャはみるみると成長していた。


 ショウカイが手のひらで優しく頭を撫でてやるとミクリャは気持ちよさそうに目を細める。

 ショウカイなんか目じゃないほど強くなるとはとても思えない庇護したくなる可愛さがあった。


「その大きさだが結構やるんだぞ。


 早くお前と一緒に行きたいから頑張ってるんだ」


「ほんと楽しみだよ」


 戦力的にも楽しみだしやはり仲間は多い方がいい。

 一体どれぐらいになればミクリャが一緒に行くことになるのかショウカイには分からないけれどそう遠くはなさそうだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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