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卵を取り戻せ9

「テラリアスナーズ」


「グスッ……ショウカイさん……」


「行きましょう、こんなところにお子さん置いといてはダメだと思いますよ」


「そうですね……ここにいては邪魔になりますしね」


 テラリアスナーズが歩くたびに地面が揺れて犯罪者たちが悲鳴を上げる。

 淡くテラリアスナーズの体が光り、小さくなっていく。


 魔物が美人になる。

 冷静になって見てみると衝撃的な光景。


 誰もが呆然と見守る中、テラリアスナーズは卵を優しく持ち上げるとスタスタと出口に向かう。


「あれ、マギナズは……?」


 そういえばずっといない。

 そこら辺で暴れてるものだと思って注意もしていなかった。


「おーい、置いてくなよー!」


 どこかの誰かにやられたわけでもない。

 テラリアスナーズの後ろについて歩きながらキョロキョロと探しているとステージの奥からマギナズが出てきた。


 なんだか晴れやかな顔をしている。


「何持ってるんだ?」


 ブンブンと手を振っているマギナズは逆の手に何が細長いものを持っている。


「置いてくなんてヒドイぞ」


「どこに行ってたんだ?」


「ん? ちょっと裏から逃げようとしてた奴がいたから潰してきた」


「あ……そう」


 マギナズはめざとかった。

 こっそりとステージ奥に消えていく人を見つけて追いかけて行っていたのであった。


 全員が何も言わずにテラリアスナーズに道を開ける。

 ショウカイとマギナズもその後ろをついていき、教会の地下から外に出た。


「まずは町の外に出ましょうか」


 卵を持ったまま町中にいるのはよろしくない。

 そのまま西側にある城門に向かう。


 巨大な卵を抱えていても人々は不思議に思わない。

 それはお祭りという特殊な状況があってのことだった。


 女性が軽々と巨大な卵を持ち上げているのだ。

 軽い、作り物の卵でお祭りのどこかで使ったのだろうぐらいにしか思わない。


 検問では少し疑問に思われたけれど誤魔化した。

 入ってくるものに警戒はしても出ていくものに大きな警戒はしない。


 祭りのものと押し切られるとそれ以上聞いてこず、ショウカイたちはスーハッフルスを出ることができた。


 最初にスーハッフルスを見下ろした丘まで行って、そこでテラリアスナーズが卵を下ろす。


「よかった……よかった……」

 

 これまで無言だったテラリアスナーズの目にミルミル涙が溜まり、号泣する。

 これまで気丈に振る舞ってきたけれど片時も卵のことを忘れたことはなかった。


 何かで死んでしまっていたら、何かで卵が割れてしまっていたらと常に気が気でなかった。


 卵は傷一つなく無事。

 中身もどうやら無事どころかスクスクと成長しているようで、マギナズに聞いていた話よりも卵ごと遥かに大きくなっていた。


 とりあえずテラリアスナーズは子供を取り戻し、スーハッフルスを始めとした人間の町は滅ぼされずに済んだ。

 ソリアは犯罪組織を一網打尽に出来たしこれで言う事なし。


「じゃないんだよなぁ……」


 このままスーハッフルスを離れてワダエに帰ってしまおうか。

 そんな思いがショウカイの胸に浮かんでは消える。


 荒らすだけ場を荒らして離れてきてしまった。


 言葉が通じない以上2人に何かを説明することは困難で、ショウカイが説明するしかない。

 ソリアの態度を見る限り受け入れ難いと考えている感じだったけれど、大丈夫だろうか。


「……逮捕とかされないよな?」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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