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卵を取り戻せ4

「この人たち一体何者なの……」


「別に何者でもいいだろ?


 俺たちの目的はスパルタスに盗まれた物を取り戻すことなんだ」


「盗まれた物を?」


 バカなんじゃないか。

 そんな言葉が喉元まで出かかるがどうにか抑える。


 ショウカイの後ろで目を光らせるマギナズをこれ以上怒らせたくはないし、マギナズとテラリアスナーズは圧倒的な力を持っている。

 出来わけもないと言えるほどに2人は弱くなかった。


 ともすればたった2人に組織が壊滅させられる可能性すらあるとカリオロスは思った。


「だから言うんだ。


 どこで取引が行われているのかを」


 じゃないとスーハッフルスごと消えるかもしれない。


「わ、分かった!

 だからそいつを私から離してくれ!」


 マギナズは拳をチラつかせる。

 これが脅しでなく本気で殴ってくるからタチが悪い。


「さっさと話せば終わりで済むんだ」


「早く話せ」


「西側にある教会の地下だ!


 そこに会場がある!」


「マギナズ、案内させるから殺さないでね」


「分かった」


「話したろ、おい……おいっ!」


 ショウカイはまた邸宅を出て治安維持部隊の青年に西側の教会に行くことを伝える。


「そんな、危険すぎます!」


 当然反対されるのだけれどショウカイたちを止められるはずもない。

 心配するなら早く伝えに行って早くソリアたちを連れてきてください、そう言うと青年はソリアを呼びに走り出した。


 もう死者を出すわけにいかない。この人たちを止められるのはソリアだけだと。


「行くか」


 マギナズとテラリアスナーズも邸宅から出てくる。

 カリオロスはボロ切れのようになって片手でマギナズに引きずられていた。


 流石に町中をこんなふうにカリオロスを連れて歩くことはできないのでローブで包んでマギナズが抱える。

 よく見られるとバレる危険性はあるが町中を走り抜けるマギナズの方に乗った塊をよく見る人なんていない。


 ソリアは呼んだけれど来る前に卵を確保してしまいたい。

 西側に近いところにいるショウカイたちの方が早く到着できるし、同じように待ち伏せされていたとしたらより遅れてくるはず。


 走りながらショウカイは西側の地図を思い出していた。

 言われてみれば西側には候補地が少なかったことに今更ながら気づいた。


「あああ、まどろっこしい!」


「うわっ!」


「さっさと行くぞ!」


 ショウカイもそれなりに全力で走っているのだけどマギナズやテラリアスナーズの速さには遠く及ばない。

 このままではショウカイを置いていくことになるのでショウカイの速さに合わせていた。


 早く行きたい気持ちがはやるマギナズは我慢の限界を迎えてショウカイの首根っこを捕まえって肩に抱える。


「マギナァァァ!」


 綺麗に敷き詰められた石畳が1枚バキリと割れて、駆けるようにマギナズが高く飛び上がる。


 人を2人抱えているのに周りの建物よりも高く、ショウカイは奇妙な高揚感を覚えた。


「おい、教会ってどれだ!」


「は、はは……たかーい」


「チッ、コイツ……」


「マギナズ、もっかい跳んで」


「ん、おう」


 次はもっと高く、対空時間も長く。

 飛び上がる衝撃でバキバキと石畳が壊れるがマギナズは気にしない。


「あそこだ」


 ショウカイが手を真っ直ぐに伸ばして見える教会を指差した。

 大きな教会。飛び上がっているとよく見える。


 だから指差したのではない。


 地図を必死に思い出していたショウカイは犯罪組織の候補が少なくなっていた場所と上から見た地形が重なった。

 見える大きな教会を中心にして空白地帯のように調べるところが無くなっていた。


 今思えば不自然だった。


「あそこだな。


 しっかり掴まってろ」


「掴まってろって、どこにぃぃぃぃ!」


 目的地は定まった。

 着地したマギナズの急加速。


 肩に抱えられたショウカイには掴む場所もなくGと風圧を必死に耐えた。


 一応見えていたので少し耐えればよいと思っていたのだが、上から見た教会は思いの外に遠かった。


「はははっ、人間は好きじゃねえがお前は特別だな。


 んっ? おい、どうした?」


「き、気持ち悪い……」


 テラリアスナーズの暴走機関車も大概だったがマギナズに抱えられてする高速移動もキツいものがあった。


「コイツ連れてくることなかったな」


「…………いる」


「王女様?」


「ここに私の子がいる」


 かなり気配は弱いけれど近づいている。

 何かで妨害されているのかもしれないが確かにここに卵がいる気配を感じる。


「女王!」


「ここに近づく怪しいものは誰でも殺せとのお達し……」


 魂を抜かれたように立ち尽くすテラリアスナーズに教会の上から降ってきた男が斧を振り下ろした。


「なんだこいつ……」


「ごめんなさいね、そんな余裕ないの」


「ふっ……ぐっ……」


 真っ二つになるテラリアスナーズを想像した男は驚愕した。

 テラリアスナーズに当たった斧は額の薄皮一枚すら切り裂くことができずにピタリと当たったまま止まってしまった。


 テラリアスナーズは手を伸ばし男の首を掴む。

 巨大の男の身体が浮き上がり苦しそうにもがく。


 逃れようと斧でテラリアスナーズを切りつけるが傷すらつけられない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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