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オークションの裏で6

 表のオークションで魔物の卵なんて取引するわけないと思いながらも少しお金を払ってオークションに出品されるもののリストも買ってきていた。

 金持ちしか参加できないのでリストすら金を取るのだ。


 よく分からない魔道具、名前も知らない画家の絵、有名な人が作ったと思われる武器、高いポーションなど物の品目と名前、簡単な説明が書かれているが卵はない。

 やはり目玉は剣帝が討伐したとされる魔物の魔石でオーガキングの物であるらしい。


 参加するなら魔石狙いになるがショウカイの資金力じゃリストで眺めるのが精一杯である。


「ちなみにだけどさ」


「なんだ?」


 ただいまマギナズはひっくり返ったノワールの腹を撫でている。

 マギナズに負けず劣らずノワールもお布団が大好きなのである。


「卵ってどんな大きさでどんな見た目をしてるんだ?」


「今更?」


「そう言えば聞かなかったなって思って」


 本当に今更感。

 卵と聞いてイメージしていたのは鶏の卵的なものだったけれどテラリアスナーズはカメではなくアースドラゴンだし、大きさも鶏とは比べ物にならない。


 当然卵でもショウカイがイメージするものとは違うはずなのにこれまで想像してこなかった。

 どんな卵を探せばいいのかも分からず探していたなんてとんだ笑い話だけど町丸ごと1つの命運がかかっていた。


 そこまで気を回す余裕がなかったのである。


「んとな、大きさは……これぐらい?」


 マギナズが立ち上がって腰に手を添える。


「それで、色は灰色っぽくてゴツゴツとした、見た目だったはず」


 イマイチ要領を得ないマギナズ。


「なんだ、マギナズも知らないのか?」


「いや、基本的には女王様が守って温めていたからな、あまり直接見る機会はなかったんだ」


「なるほど」


 灰色のデカい卵。

 マギナズの腰ぐらいまであるなら相当デカい卵である。


「そもそもなんで卵守ってたはずなのに盗まれたんだ?」


「ううむ……多分卵がある事がどうにかしてバレたんだろうな。


 じゃなきゃ説明がつかない」


「卵があるなんてどこでそんな事知るんだよ……」


 魔物が卵を産んだなんて知りようがない。

 そもそも卵で増えるんだなアースドラゴンって、て思う。


「私は頭が良くないから分からない。


 でも森は女王様が卵を産んだ事で祝賀ムードだったし森に住む魔物なら分かっていただろうな」


「魔物が人に卵があるぞなんて教えたのか?」


「……だから私には分からないと言ってるだろ!」


「まあいいや、それでどやって盗まれたんだ?」


「それもよく分からなくて」


 あははと作り笑いを浮かべるマギナズ。

 思いの外何も分かってなかった。


「本当にちょっと離れた隙に卵が盗まれてしまったんだ。


 多分ずっと近くで監視していたんだろうがどうやって誰にも気づかれずに近くにいたのか分からないんだ」


 卵があると知っていたことといい謎が多い。


「離れる原因になった出来事はそいつらが引き起こしたものではないと思うんだけど、離れる時を待ってたんだろうな」


「離れる原因ってのは?」


「んーとな、オーガの一団が森に現れてな。


 何でもリーダーだった奴がやられて逃げてきたらしく女王様に庇護を求めてのことだったんだが、元々森に住んでいた連中と一悶着あったんだ。


 卵を大人しく育てたかった女王様がさっさと事態を収めるために出たんだけどその隙に」


「盗まれたと」


 オークションのリストにあるオーガキングの魔石がふと目に入る。


「まさかね」


 ーーーーー


「ダメです……特に近いような感じはしませんね」


 ケローペを頬張りながらテラリアスナーズが気落ちした表情を浮かべる。

 ショウカイたちは今町中を散策している。


 スパルタスに繋がるヒントはなく手詰まりになってしまった。

 近づけば卵の存在を強く感じられるというのでテラリアスナーズの感覚を頼りに町中に繰り出していた。


 決して目を覚ましたテラリアスナーズが取っておいた食事だけじゃ足りないとワガママを言ったからではない。


 無いとは思うけれど表のオークションに卵が出てくる可能性もまだゼロではない。

 近くにオークションに出品されるものが置いてあるかは不明だがオークション会場になっている大きな会館周辺を見回っていた。


 グルっと会館周りを散策してみたけれど卵の気配もなければ怪しそうな人すらいない。


 オークションが開かれる会場にもなっているということで警備が厳しい。

 裏で悪いことをするには不都合な場所かもしれない。


「なんだか騒がしいな」


 片手にお食事系、もう一方に甘い系のケローペを持ったマギナズ。

 先ほどでマギナズとテラリアスナーズが視線を集めていたのだが人の流れが変わった。


 バタバタと人が移動を始めている。


「おい、剣帝が来てるってよ!」


「マジか! 見にいこうぜ」


 耳をすませてみると会話が聞こえてくる。

 どうやら噂の剣帝が近くに来ているらしくみな剣帝の姿を一目見ようと急いでいる。


「けんてー?


 なんだそれ?」


「人の世界が有名な人だよ」


 とは言ってもショウカイも剣帝のことなんてほとんど知らない。

 炎帝すら知らず、炎帝について調べた時にちょっと名前を聞いたぐらいなのだ。


 イメージするには長い髭を蓄えた仙人のようなおじいさん。

 いかにも剣の達人って人なのではないかと思っている。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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