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オークションの裏で3

よほど疲労していたのか長いこと眠りこけたショウカイが目を覚ました時にはすでに次の日の朝になっていた。


 起きてすぐに思ったのは表示は別々なんだなということ。


『ノワールが寂しがっています!』


『シズクが寂しがっています!』


『ミクリャが寂しがっています!』


 寝過ぎて頭が重く、ベッドに寝転んだまま目の前に威圧的に現れている表示を見つめる。


 3つもの表示が目の前に現れると圧迫されている感じすら受ける。


 ミクリャはシュシュもいないこともあるし、ワダエの町を離れてしまったので寂しいのだろう。

 ノワールとシズクは呼ぼうと思っていたけれど忘れてしまっていた。


 シズクにも寂しいとか思う感情があったことにも驚いた。


「あれ……シュシュ?」


 シュシュがいつの間にかいなくなっていた。


「散歩でもしてるのか?」


 人間の町は魔物にとって気軽に歩けるものではない。

 でもまさか町中に魔物がいると思わない人がほとんどであり、人が多ければ多いほど小さい魔物の気配は紛れて分からなくなる。


 体も小さく壁も自在に歩けるシュシュはむしろ町中で見つかる可能性は低い。


 宿の人にお願いして体を拭く水と布、それと飲み水をお願いした。

 南側の都市ではお風呂文化は浸透しているとは言い難い。


 このレベルの宿なら北ならお風呂があっても良いのだけれど急激に発展していった都市だしそういったところまで気が回らなかったのかもしれない。

 勇者が召喚されたのはかなり北になるし、聞いたところによると公衆浴場はあるらしい。


 大きな容器で水を持ってきてもらって、コップに移してまず1杯。

 体に水が染み渡っていくようだ。


 もう1杯注いで半分ほど飲んで、次は桶にもらった水とタオルで体を拭き始める。

 水はほんのりと冷たく、濡れたタオルが心地よい。


「起きていたであるか」


 一通り体を拭いているとわずかに空いた窓からシュシュが帰ってきた。


「おう、おかえり」


 ちょうど体も拭き終わったので服を着る。


「何をしてたんだ?」


「卵のことがわからないか町の中で色々盗み聞きをしていたである。


 流石に卵のことについて話している人はいなかったであるがお祭りについては色々分かったである」


「お祭りについて?」


「お祭り、楽しそうであるな〜!


 ワタクシたちにはこういったものないので楽しみで……」


「シュシュ〜?」


「は、はははっ、待つである。


 最後まで話は聞くである!」


 下手するとお祭りのスーハッフルスが消えるぐらいの騒ぎが起きる寸前なのに何を呑気に言っているのか。


「とある怪しい男たちが話していたである」


 シュシュはお祭りについて知りたかった。

 当然魔物には無い文化だしショウカイに会ってからというものシュシュは人間の作る物に関心を寄せていた。


 卵のことも頭の隅に置きながらなのでシュシュの主観で怪しそうな人を中心に接近して話を聞いた。


 シュシュの主観なのであくまでも怪しそう止まりでほとんどが普通の人だった。

 しかし普通の人ではなさそうな人もたまたまいたのだ。


 お祭りの中身はもう何十年とやっているのでほとんど固定であり、その中の1つにオークションの開催がある。

 利益のいくらかは町のためだったり貧困対策などに使われるチャリティー的な要素の大きいオークションである。


 男たちはそれに剣帝が討伐した魔物の魔石が出品されることを話していた。

 どこかで聞いた話な気がするとショウカイは思った。


 冗談を飛ばしあっていたのだがそのうちに周りを気にするように1人の男が声をひそめて話し出した。


「知っているか?


 みんなが知ってるオークションは表向きで、裏でももう1個オークションがやるって話」


「なんだそりゃ?


 裏のオークションてか?」


「俺んとこのボスが聞いた話らしいんだがなんでも、表のオークションでは出せないようなもんを出品された裏のオークションがあるらしいぜ」


「おいおい……この町のどこでそんなもんやるってんだよ?


 それに表に出せないもんってなんだよ?

 エッチなやつとか?」


「さーな、奴隷とか捕らえた魔物とかそんなもんかもな」


「今時奴隷って……バレたら一族連帯責任物だぞ?


 それに魔物なんか飼いたがるやからなんて…………まっ、貴族の考えは俺たちゃにゃわかんねぇもんな」


「本当にあるのかも分からんけどな。


 うちのボスぐらいじゃそんな話に関わることもできないみたいだ」


「ふーん、どの道俺たちには表向きのオークションも関係ないからな」


「そうだな」


「なんで会話があったである」


 声色を変えて一人二役を演じるシュシュ。

 似ているのかは知らないけど確かに今の状況を考えると引っかかるところのある会話である。


「裏のオークション……」


 もしかしたらもしかする可能性もある。


「結局はなんの情報もないことに変わりはないか……」


 知っている情報を組み合わせると裏オークションに卵が出品されるように考えられる。

 ただし確定的な情報は何一つない。


 テラリアスナーズを疑うわけではないが卵が本当にここにあるのか分からないし、裏オークションがあるのかも分からない。

 あったとしても場所も時間も分からない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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