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オークションの裏で2

 大都市のギルドは建物から規模が違う。

 3階建ての大きな建物は周りに比べてもとりわけ立派で外観から圧倒してきた。


 1階部分は依頼書が貼ってあったり受付があるのだがそこもしっかりしている。

 単純に受け付けるだけでなくどんな依頼を受けたらいいのかを相談できる依頼相談窓口やパーティーメンバーの募集や斡旋を行う窓口など細分化されている。


 依頼の量も多い。

 3カ国分の依頼が集まってくるために自然と張り出される量も多くなる。


 国別、ランク別に分けて張り出された依頼書は軽く見ただけでは把握しきれない。

 これでは確かに専用の窓口が必要な理由もわかる。


 2階は飲食スペース。

 フードコートのようだけど酒も出しているし軽くお茶を飲めるようなお店も出ている。


 3階はいわゆる図書館のようになっている。

 人が集まるということはこうした本も集まってくる。


 魔物の図鑑や薬草の図鑑なんかも置いてあるので利用者は意外と多い。


 ショウカイは総合受付でおすすめの宿を聞いた。

 安い宿は壁が薄く簡単に隣の部屋に音が聞こえてしまったり、店員が勝手に掃除したりする。


 部屋も広くなくノワールを呼ぶことすら難しい。

 今はシュシュもいるし1人しかいなかったのに隣の部屋から会話が聞こえるなんてことになったら何か言われるかもしれない。


 あまり高級宿すぎて悪いやつに目をつけられても嫌なので中の上ぐらいの宿を紹介してもらう。


 タイミングがタイミングなのでお部屋の空きがあるかは分かりませんが、と前置きをされたがどういった意味だったんだろう。


 1軒、また1軒と空きがないと断られる。

 3軒目でどうしてこんなに混んでいるのか聞いてみた。


「あら、お兄さん知らずに来ちゃったのかい?


 それは運が良いのか悪いのか……。


 今は年に1度の三国大祭の期間なんだ」


「サンゴクタイサイ?」


「ああ、この都市は隣接する3つの国が毎年持ち回りで大きなお祭りを開催しているのさ。


 だから人が多いんだけど、今年は特に冒険者の剣帝様がお祭りに関わっているから盛り上がりも大きいのさ。


 だからいい部屋はもうほとんど埋まっちゃってるんじゃないかね?


 お祭りそのものは2日後からだけどもう私たちにとっちゃお祭りみたいなもんさ」


 人が多いななんて思っていたけど実際多かった。

 年に1度のお祭りとあっては賑わっているのも当然。


 その前から宿を取っている人がいるのも当然だ。


 タイミング云々もこういうことだった。


 もしかしたら高めの宿の方が空いているかもしれないとアドバイスを貰ったので、ギルドで教えてくれた宿の中で高めな宿を回ることにした。

 だから宿も多めにピックアップしてくれていたのかと書き込まれた宿のリストを見て気づいた。


 町は広いので宿の間隔も空いている。

 移動にも少なからず時間がかかり肉体的に疲労する。


 事情を聞いてからもさらに3軒の宿に断られた。

 こう何回も断られると精神的にも疲労してくる。


「4人部屋なら空いております」


 それからまた2軒に断られ、9軒目でようやく空き部屋があった。

 もう贅沢は言っていられない雰囲気すらあったので4人部屋をそのまま借りることにした。


 やらなきゃいけないことはあるのだけど疲労感で倒れ込むようにベッドに寝転がる。

 宿探しからこんな大変なことになるなんて思いもしなかった。


 テラリアスナーズやマギナズには悪いが一息つかせてもらう。


 おそらくだけど卵がここにあるのは偶然じゃない。

 祭りの時期に卵が持ち込まれのは誤魔化しやすく大金が動いても不思議でないから。


 他所から人が来ても疑問を抱かれず何か持ち帰ってもお祭りのために何かを買った言えばいい。

 お祭りが終わって人が多く出る時に全ての荷物の検査もできないだろう。


 テラリアスナーズが気配を感じてもいるし状況的に見て確実にこの町のどこかに卵がある。


「どやって探すかねぇ……」


 ヤンはスーハッフルスで活動していた人間ではなかったのでどこに拠点があるかなどの詳細なことは知らなかった。

 スーハッフルスに卵があるということだけしか知らず、広すぎるスーハッフルスのどこを探して良いのかショウカイは分からなかった。


 本当に打つ手なしなら片っ端から詳細鑑定で調べていくことも視野に動かなくてはいけない。


「まあとりあえず休んだらどうであるか?」


 テラリアスナーズやマギナズクラスの魔物には分からないかもしれないがショウカイはひどく疲れていた。

 気絶しっぱなしでまともに休めていなかったので頭も回っていない。


 寝転んだまま体が重く感じられて段々とまぶたも重くなってくる。


「きっとこのままこの町から卵が動くことはないである。


 一度寝れば頭もスッキリするであるよ」


「そう……だな」


 もはや抗うこともできない。


 ショウカイはそのまま目をつぶって眠ってしまった。

 

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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