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ワダエを救え6

 ヒューヒューと音を立てて呼吸するヤンだと思われる男。


 中の様子を見ていたわけじゃないけど最後まで抵抗してしまったのだろう。

 顔の真ん中を思い切り殴られてしまって完全に元の顔がわからなくなっていた。


 今ヤンの判別材料は服装であった。


 腕も変な方向に曲がっているしマギナズが本当に手加減したのか怪しく思える。

 これで手加減ならしなかったら即死だっただろうな。


「おい、しゃべれるか?」


「ひゃ、ひゃれだ……」


 よく目も見えていないのか話している相手が誰か分かってない。


「誰でもいいだろ?


 卵はどこだ」


「た、卵?


 はんなもののためにヒュパルタヒュを敵に回すとひうのか?」


「お前らを敵に回して狙われるのは俺の命1つだけど卵の行方によっては町がいくつか消えかねないんだよ」


「ふっ、なにをひってるんだか……」


「お前には分からないだろうな」


 ワダエの町の人の命はショウカイの双肩にかかっている。

 それどころじゃなく、このまま卵が見つからなければ他の町にも被害は及び、人間とテラリアスナーズの全面戦争になる。


 どれほどの人の命が失われることになるのか想像もつかない。


 例えここで悪人数人の命が失われようともそれは卵を盗んだ自業自得。

 悪人の所業に巻き込まれて何千何万の命を失わせるわけにいかない。


「ククッ……どこの誰かはひらないけろ、卵狙ってんのか。


 俺がひうわけないたろ……」


「…………死んでもか?


 どうせ死ぬなら少しでも良いことをした方が良いと思わないか?」


「卵の在処をひって何が良いことになる……


 さっさところひぇ」


 口を割らせるのは難しそうだ。

 これは困ってしまう。


 殺すくらいの覚悟はあるけれど相手を痛めつける趣味はない。

 死ぬ気の相手にどうやったら情報を吐かせられる。


「どうした?」


「こいつが卵の行方を知ってそうなんだけど口を割らないんだ」


 血で濡れたマギナズがショウカイの後ろに来る。

 何をしていたのか知らないけれど少しだけ気分は落ち着いたようだ。


「殴って吐かせりゃいいだろ?」


「そんなことしたら死んじゃうだろ」


「チッ……これだから人間は貧弱で嫌なんだ」


「そんなこと言われてもな」


「……お前に任せると言ったが、一つどうだ、私に任せてみないか?」


「マギナズに?」


 それこそ死んでしまうのでは。

 不思議そうな顔をするショウカイの前でマギナズが再び人の姿になる。


「そ、ちょっとばかり優しく聞き出してやるからさ」


「……分かった」


 他に手立てはない。

 これでマギナズが失敗してしまってらその時はその時だ。


 失敗したらしたで町を滅ぼすなんてことにもならない可能性も出てくる。


 マギナズは近くにあった袋に男を詰め込んで部屋から持ち出した。

 部屋の中は凄惨なことになっていたのだがショウカイはそっと目を背けてそこから脱出した。


 薄暗いワダエの町を抜け出して向かったのはテラリアスナーズのところ。


 魔物に誘拐された。

 ヤンが何を思ったかショウカイは知らない。


 一度帰らされたショウカイがまた来た時、ヤンの姿はそこにはなかった。


 ある種人が持つ一線がない。

 友好的でも魔物は魔物。


 先に向こうが一線を越えてしまったとはいえ、なんとなく魔物と人との差を感じずにはいられなかった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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