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ワダエを救え2

「これからどうするつもりだったんですか?」


 マギナズとテラリアスナーズが顔を見合わせる。


「人間さん、どうか少し遠くにお逃げください」


「えっ?」


「どこにいるのか分からないが相手が人間な以上人間の町に行くはずだ。


 卵を大切に育てるなんてことはしないだろうからな」


「手当たり次第人間の町を当たっていきます」


 穏やかに不穏なことを言う。


「当たる……とは?」


「……場合によっては私たちも望まない展開になりうるでしょう」


 ドラゴンが町に来る。

 そんなことになったら人間側がどう対応するのか火を見るより明らかである。


「とりあえず近くにある町から行くことになる。


 だからお前は早くどっか遠く行った方がいいぜ」


 ここから近くの町となると当然だがワダエの町ということになる。


「ちょ、ちょっと待ってください!」


「なんだ?


 何か荷物取りに行きたいってならそれぐらいの時間はくれてやっても……」


「お、俺にチャンスくれませんか!」


 ワダエの町に思い入れは1つもない。

 しかし人間の町が攻撃されると聞いて黙っていられない。


 それにそうなってしまうとテラリアスナーズと人間の全面戦争になってしまう。

 町を滅ぼしたところで卵が出てくるとも限らないし逃げてしまう可能性の方が高いと思う。


 テラリアスナーズたちが討伐対象になってしまうとおそらく卵を見つけるよりも見つけられずに多くの町が滅んで、テラリアスナーズたちも……なんてことになってしまう。


 卵を盗んだやつしか望まない結末。

 考えもなしにとっさに言葉が先に出てしまった。


「チャンス……だと?」


 マギナズの目が怖い。


「人間風情が調子に乗るなよ……」


 呼吸が苦しくなるほどの殺気。


「まあ、待ちなさい、マギナズ。


 私は気が長い方ですがもはや一刻の猶予もありません。


 チャンスとおっしゃいましたがどのようになさるつもりですか?」


 テラリアスナーズの雰囲気も重たく、余裕が感じられない。


「その囮にされたやつの死体を見せてください!」


 こうなれば流れに身を任せ、運に頼るしかない。


「死体だと?」


「それぐらいならいいでしょう」


 テラリアスナーズが少し横にズレる。

 するとその下に黒く、何かが破裂したような跡があった。


 それが何なのか理解するのにさほど時間はかからなかった。

 よく見ると跡の真ん中に服の残りが地面にこびりついている。


「何もなかったら覚えてろよ、テメェ」


 真後ろにピタッと陣取りショウカイを見張るマギナズ。


「詳細鑑定」


 ショウカイにできることといえば自分になぜか友好的な魔物を従えることか、与えられたスキルである詳細鑑定だけ。


 詳細鑑定はこれまで知りたいと意識したことを教えてくれていた。

 どこの誰が教えてくれているのかとても疑問に思うこともあるけれど今はこれに頼るしかない。


 いつもよりほんの少しだけ間があったように感じて、いつものように目の前に表示が現れる。


『シーバ・スカルピー

 性別:男

 死体。スパルタスの一員。

 仲間たちに騙されて囮にされてテラリアスナーズに殺されてしまった。

 ドラゴンの卵を盗んで売り捌き遊んで暮らそうと考えていた。』


 スパルタスという集団の一員であることは分かった。

 目的も単純明快。


 しかし他の仲間に繋がるヒントがない。


「何か分かったか?」


 背中に感じる圧力。


「こいつの名前はシーバ・スカルピーでどうやら仲間に捨て駒にされたみたいです」


「ふーん、私が知りたいんはそんなことじゃないんだ。


 他には?」


「他には……」


 分かりませんといえない雰囲気。


 せめてこのスパルタスという組織が何なのか知りたい。


『スパルタス

 大規模犯罪組織。

 ダランゴアによって作られた組織でサンダウンを中心に活動している。

 殺しから密輸品の売買まで何でもやる。

 ワダエに支部がある。』


 スパルタスのことを知りたいと思った時だった。

 何と表示が更新されてスパルタスのことが表示された。


 長々とスパルタスについて書かれていたのだが要約するとこんなところ。


 ワダエに支部があること、こちらの方に来ていたことを考えるときっとワダエの支部に向かっていることが予想される。


 ワダエ、終わった。


 なんか気のいいおばちゃんみたいな名前の都市で良かったけど助けようもない。


「ワダエという町にもしかしたら卵を盗んだ犯人がいるかもしれません……」


知らないとも言えないので正直に言う。


「そうですか、それでどうするのですか?」


「どうする……とは?」


「あなたは私たちに可能性を示しました。


 あなたが故意にどこかを滅ぼそうとしているのでなければそのワダエに何かがある可能性が高いのでしょう。


 チャンスを与える価値があると私は思います」


 テラリアスナーズの言葉にマギナズも沈黙する。

 このまま人間の町を潰して回っても悲しみが増え危機が襲ってくるだけになる。


 テラリアスナーズのように信用する気にはならない。

 それでも今唯一の希望になっているのがショウカイである。


 期待に沿えなかったら相応の報いを受けてもらうだけ。


「どうしますか?」


 これ以上提案がないのなら町をひっくり返してでも探す。

 テラリアスナーズの考えはもう聞いているのでショウカイに残された返事はこれしかなかった。


「俺がワダエの町で卵を探します」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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