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思わぬ出会い3

 次は実力チェックである。

 やってきたのはもはやおなじみとなったワチカミの巣がある森である。


 アルグラン森林とかいう名前があるのだけどもうワチカミの森でいい気がする。

 ショウカイに対してはおいでよワチカミの森だが他の冒険者にとってはあまり足を踏み込むと危険な森である。


 チェイの森の方が魔物のレベル的には安全ではある。

 けれど町から近いが故に人が多く目につきやすい。


 潜伏スキルがあって広く人を感知できるノワールなら隠れられる。

 シズクは移動スピードの関係もあって簡単に隠れられはしない。


 害のない魔物なのでスライムを抱えていても魔物と一緒にいることを騒がれることはない。

 捕らえてギルドに引き渡すのかな程度に思われるのが精々だ。


 なのだがそれが問題であるのだ。

 スライムは希少な魔物である。


 魔物としては珍しく生きたまま利用される魔物で色々なものを溶かしてしまう性質を活かしてゴミ処理的なことをさせるのだ。

 そして見つけることの困難さに加えて色々溶かしてしまうために持ち帰ることの難しさでCランク相当の依頼がスライムの捕獲。


 面倒さのためにランクが高いので冒険者としては見つけたなら持って帰りたい魔物がスライムである。


 人が連れているスライムを横取りする、そんな可能性がないとは断言できない。

 ショウカイが1人でスライムを連れていたら間違いなく人目を引いてヤバいやつらのターゲットになるだろう。


 結局シズクは見つかってはいけないのである。


 ワチカミの森は町から遠く、実は日帰りではちょっと厳しいぐらいの距離にある。

 なので人は少なく見られる可能性はだいぶ低くなる。


 その上ここにはワチカミの巣がある。

 ショウカイにとっては泊まらせてもらえる場所でありながらいざという時に逃げ込める場所にもなる。


 ワチカミはかなり上位の魔物なので一般の冒険者ごときじゃ敵わない。

 下手すれば見張りのクモにすら勝てないかもしれない。


 冒険者に追いかけられてもアラクネの巣に1人で入っていった奴が生きているとは思われない。


 実はワチカミの森は結構危険な場所なのであった。


 ショウカイが気軽にこの森に来れるのもシュシュやミクリャがいたり、今や顔なじみとなったワチカミの巣があるからである。


 ワチカミの巣をホテルかのように扱っているが苦情を言われたことはないし、ちゃんと毎回お土産も持ってきている。


 シズクの実力チェックをしたいがワチカミの森はチェイの森に比べて魔物も強いことが多い。

 それでも弱い魔物が全くいないわけじゃないので探せばちゃんと浅い所に弱い魔物がいた。


 数は少なくてもたくましく生きている魔物なので弱い魔物でも他の場所に比べると若干の強さを感じる。


「いけ、シズク!」


 ポケットに収まるモンスター的な気分でシズクに命令を出す。


 ブンっ!


 ビチャ!


「シズクーー!」


 見た目だけでいったなら相手の姿や能力を真似できそうな気配も感じなくないのだが実際の能力は跳ねる一択のようなもの。


 ゴブリンの棍棒にはね飛ばされたシズクは木に激突した。

 ノワールにゴブリンの処理を任せてシズクに駆け寄る。


「シズク、大丈夫か!」


 ショウカイが駆け寄るとシズクは跳ねる。

 大丈夫そう。


 そんな予感はしていた。


 シズク、今のところ戦力外。


「どこに行くんだ?


 おお……」


 ポヨンポヨンと跳ねてシズクが向かった先はゴブリン。

 すでにノワールによって斜めに輪切りにされたゴブリンの死体はグロテスクそのもの。


 そんなゴブリンの死体にシズクは乗っかった。


 体が溶けるように広がっていき、ゴブリンの死体がシズクに包まれる。

 どうするのかと見ていたら包まれたゴブリンの死体がじわりじわりと溶けていく。


 中々ショッキングな光景。


 意外と早くゴブリンの死体は溶けてしまって、地面に染み込んだ血の跡だけが残された。

 掃除屋の異名に違わない働き。


 跡形もなく死体は消えてしまったので戦いはダメそうでも事後処理は任せられそうだ。

 ノワールの戦いの痕跡が残る死体をどうするか悩ましいところだったのでちょうど良い能力だ。


 ダメージが無いのか心配だったけどシズクは平気なようでポヨンポヨンと跳ねてショウカイの元に戻ってきた。


 弱点のコアさえ攻撃されなきゃ物理攻撃に対して無敵。

 その代わり攻撃力がない。

 なんだか惜しい能力編成をしているものだ。


 シズクに攻撃力がないことがハッキリわかったのでしばらくは死体の処理なんかを任せることにした。


 またワチカミの巣で1泊、さらにもう1拍。


 なんだかいい感じにお別れをしたはずなのにすごい頻繁にここに通ってしまっている。


 まあどこかに急ぐものでもなし。

 こうしてのんびりとしてても良いだろう。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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