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思わぬ出会い2

「重い……けど至福なり!」


 何かわからないけどスライムのシズクが仲間になった。


 予定外のことだけど何はともあれノワールは馬用だったけどブラシでもブラッシングもしてやったので毛がサラサラになった。

 宿に戻ってきたショウカイはノワールを枕にして寝ていた。


 サラサラフワフワとして石鹸のいい匂いがする。

 心地よいリズムで呼吸でお腹が上下もして眠気も誘ってくる。


 そうしている間、シズクはショウカイのお腹の上に乗っていた。

 こちらはこちらでヒンヤリとしていて気持ちがいい。


 人をダメにするクッションならぬ、人をダメにする魔物たち。


 しばらくそうしていたのだが、ふとした思いつきで枕にするのをノワールからシズクに変えてみる。


「ふおっ」


 思わず声が出る。

 頭を乗せるとシズクの形がブニュリと変わり、ショウカイの頭の形にフィットする。


 程よく頭の後ろを包んで支えてくれているのに強い圧迫感はない。

 そして心地よいヒンヤリ感が段々と思考力を奪っていく。


 これはこれまでにないほどのレベルの高い枕。


 首を動かしてみてもフィット感は変わらず、理想的な枕である。


 宿や外での睡眠の時に悩まされる枕問題。

 その解決を見たような気がしてきた。


「ブブゥ……」


 枕の役割を奪われたノワールが拗ねたような目をしていた。

 その時ノワールは閃いた。


 シズクと役割が入れ替わったのだから入れ替わってしまえばいい。

 ノワールは少し移動してショウカイの足の間に体をねじ込むと胸に顔を乗せるようにしてお腹の上に乗っかった。


 ズッシリとした重さが体にかかる。

 シズクとは比べ物にならない重量感。


 しかし視線を下ろすとノワールの黒い鼻があって、ちょっと手を伸ばすとノワールの頭に手が届く。

 ペタンと耳をたたみ、撫でられ体勢を取るノワールの頭を撫でてやる。


 至福だけど重たい。重たいけど至福な時間である。


 人をダメにする魔物たち、第2形態。


「詳細鑑定」


『シズク(従属)

 性別:メス

 性格:物静か、純粋、仲間思い、水嫌い、マスター至上主義

 スキル:不完全物理無効、軟体、溶解、吸収』


 また出た、マスター至上主義。

 一体これはなんなのか。


 ノワールにもあったけれどこれは従属したから出てくる性格なのか。

 別にこの性格があるから困ったことはないのだけれど謎すぎて疑問に思ってしまう。


 スキルはなんと言うかコメントしにくい。

 ノワールの方がパッと見て豊富な感じがしたし強そうだった。


 そういえばミクリャの時のような魔力の取られ方をしなかったしスライムはあんまり強くない魔物なのかもしれない。


「不完全物理無効って何だ?」


『不完全物理無効


 物理攻撃を無効化する。

 ただしスライムには弱点であるコアがあり、コアは物理攻撃を無効化できない。』


 首を傾げると詳細鑑定の表示が変わる。


 シズクの体の中には半透明のコアがうっすら見えている。

 この透明のボディは物理無効で攻撃が聞かないようだけれどコアが弱点であり、コアには物理攻撃は当たるみたいだ。


 シズクを手に持って上下に揺らしてみる。

 ポヨンポヨンと水滴のようなシズクのボディが弾んで面白い。


 膝の上に置いて指で突っついてみるとプニプニとしてずっと触っていたくなる癖になる感触。

 ノワールの肉球も大概プニプニしているのだがまた違ったプニプニである。


 ひとしきりプニプニしているとノワールのお腹が可愛らしく鳴る。

 気づいたらお昼時だった。


 例に漏れず魔物らしくシズクもお肉が好き。


 シズクは声を出す器官がないので話すことが出来ず意思疎通が難しい。

 なのでシズクがお肉が好きというのはショウカイの主観による予想である。


 お肉を見せてみるとシズクは大きく跳ねてみせた。

 一応野菜を見せてみるとお肉の時とは比べ物にならないほど小さく跳ねた。


 この差からお肉が好きなのだろうと思った。

 他にはパンを見せると中ぐらいに跳ねたのだが、保存食にもなる固いパンを見せるとお肉と同じぐらい大きく跳ね上がった。


 なのでシズクはお肉と固いパンがお気に召したようである。

 固めのパンは値段が安いことも多いのでお財布に優しくていい。


 シズクの食事姿は食べるというより体内に取り込んでじわりと溶かしている。

 固いパンは溶かすのに時間がかかるので楽しめて好きなのかもしれない。


 ノワールもパンを食べないこともないけどノワールは柔らかめで甘みのあるお高めのパンが好きなのだ。

 お肉があるならお肉が最優先だし。


 お肉をあげるとシズクはピョンピョンと跳ねてよってくる。

 シズクの移動方法はこうして跳ねて移動するか、ナメクジのように地面を這うようにしてゆっくりと移動する方法の2種類ある。


 こういうと跳ねるのが速いように聞こえるけれど跳ねるのも決して速いとは言えない。

 ゆっくりとショウカイ歩いていて、シズクが全速力で跳ねてようやく追いつけるぐらいの速さである。


 まあ遅い。


 これならシズクをショウカイが抱えて歩くか、目的地で召喚した方がシズクの移動は速いかもしれない。


 シズクのことは何となく分かってきた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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