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ウルフ洗い2

「あの、これってなんですか?」


「んっ? ああ、それはですね、馬用のブラシです。


 私たちは馬具店ではないのですが特別製のブラシでして貴族からの要望があったのでおいているのです」


 ショウカイが目を引かれたのは馬用のブラシだった。

 手に取って触ってみると洗うようではなくマッサージのようなブラッシングようでブラシの毛先は硬い。


 洗うためのものが欲しいのでこれでは少し不向きである。


「もっと柔らかいものは売っていませんか?」


 使えないこともなさそうだけど別に柔らかいものがあるならその方が良さそうだ。

 そう考えたショウカイは店の人に聞いてみた。


「そうですね、この店に置いてあるのはこれしかございません。


 別の物をお探しであれば馬具の専門店に行ってみてはいかがですか?

 いくつかブラシにも種類があると思いますよ」


 石鹸2つと風呂用品のオケを1つ買ってショウカイは店を出た。

 オケと石鹸を持ったショウカイはお風呂に行くか、お風呂帰りにも見える。


 多少違和感のある格好でもあったのだが馬具店の店員はニコニコと接客してくれた。

 流石に馬具店にはいくつかの種類の馬用ブラシもあった。


 洗うためのものはなかったけれど触ってみて柔らかめのものとやや硬めのもの2つを選んだ。


「どうですか、古くなった鞍を買い替えませんか?


 新しいものにするとやはり安定性が違いまして疲れにくいと……」


 ここぞとばかりにセールストークが始まる。

 なぜならショウカイは並べられている鞍の前で立ち止まってしまったからである。


 横で話し出す店員の声には耳も傾けずショウカイが思っていたことは馬を買おうとかではなかった。


 ノワールがもうちょっと大きくなったら乗って移動することができるだろうかだった。

 今でも乗れないことはなさそうだけれどちょっと上からしがみつくような形でなければ足が引きずられてしまいそうだ。


 ノワールが嫌がるかもしれないし、大きくなる予定もないので今はそんなこと考えても仕方がない。

 とりあえずまずはノワールを洗うことが優先だ。


 物の準備は整った。


 石鹸とブラシをオケに入れて宿に帰る。


「おかえりなさい!」


 毎回長いこと家でも開けていたかのようにノワールは喜びを爆発させて出迎えてくれる。

 まぶたがめくれあがるほど強く舐められる。


「というかお前話せたのか!?」


「? 私は何も変わってませんよ、ご主人様!」


 今ノワールが何を言ったのかがハッキリと分かった。

 しかしヘッヘッと荒く息をするノワールは首をかしげる。


「そっか、俺が聞き取れるようになったのか」


 最初こそ衝撃はあったけれどすぐにワチカミとは普通に会話するようになってしまったし、シュシュは話せるしミクリャはまだ話せないしで忘れていた。

 魔物が何を言いたいのかと魔力を込めれば相手に伝えることができるのである。


 これまでノワールの言葉が分からなかったのか聞かれると分からなかったのだ。

 なぜならノワールは魔力を込めるということが分からなかった。


 今魔力を込められたのはショウカイが帰ってきた興奮のあまりに自然と魔力が放たれただけなのである。

 なのでショウカイはノワールの言葉を理解できたのである。


「ワフ?」


 意図してやったことではない。

 ノワールの興奮がおさまってしまえばまた意図が伝わらなくなる。


 魔力を込めるというのはワチカミにとっては簡単にやっていたことで当然の行為なので分かるようになったショウカイとは普通に会話していた。

 しかし実は結構熟練が必要な行為であった。


 慣れてしまえばなんてことはないのだが知らないとやりもしないことでもある。

 話せることが分かったので練習させてみようと思ったけど今やるとノワールの美声で周りに気づかれてしまう。


 ノワールとおしゃべり大作戦は後にするとしてショウカイは地図を開いた。


 今までは森の位置を書き写した簡易的な地図だった。

 しばらくはワダエを中心に活動するつもりなので思い切って詳細な地図の写しを購入したのであった。


 ワダエから西に行った廃鉱山。

 ヤタの住処だったのだがショウカイがサルモスにヤタの住処があると漏らしたのでサルモスはすぐにそこに出向いて行った。


 噂によるとカラスの頭に逃げられたと聞いたのでどうやら逃してしまったらしくサルモスはカラスを追いかけていった。


 倒してくれた方が良かったけれどサルモスに追いかけられてはもうヤタも戻ってら来られないだろう。

 ついでにサルモスも追いかけていっていなくなったのでワダエ周辺も荒れずに済むだろう。


 その廃鉱山はいくつかの山で出来ていたのだが、サルモスが暴れたことにより1つの山が吹き飛んでしまった。

 だから今は赤くバツ印がついており、立ち入り禁止となっている。


 目についただけで今は関係がない。


 そんなことは置いておいて、ショウカイは目的のものを地図の上で探す。


「これじゃ小さい……ここは近すぎる。


 ここがいいかな?」


 探すのにそんなに時間はかからなかった。


「よし、ノワール行こうか」


 方向はどっちか確認して地図を折り畳む。


 どんなところかは地図だけじゃ分からないのでいってみる必要がある。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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