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ウルフ洗い1

「2人きりになっちゃったなぁ…… 」


 やはり寂しさというのは感じる。

 おしゃべりだったシュシュだけでなく、常に服の中にいたミクリャも話さなくてもショウカイにとっては存在感があった。


 いつかまた一緒に旅することもあるかもしれないけどしばらくはまたノワールと2人きりだ。


「これからどうするかな」


 アラクネの巣探しという目標が終わってしまった。


 ノワールを枕にしてベッドに寝転がる。

 特に大きくもなかったのにシュシュとミクリャがいないだけで部屋が広く感じられるのだから不思議なものだ。


「……臭うな」


 ちょっとしたノスタルジックな気分に水を差す野生み溢れる香り。

 前に宿の人にも言われたことがあるのでいつかはどうにかしなきゃいけないと思っていた。


 散々森の中を駆けずり回ったためにより一層強くなったノワールの体臭がだいぶ臭ってきている。

 ショウカイにとってはクセになって割といい臭いに感じていたのだが限度を超えている。


 ノワールが呼吸してお腹が上下するたびにそこはかとなく野生が鼻をついてくる。


 ここまでくるともう時が来たと言わざるを得ない。


「よしっ!」


 勢いをつけてショウカイが立ち上がった。

 思いついたが吉日。


 どこか行くのか?とノワールが顔を上げてショウカイを見る。


「ちょっと買い物に行ってくるから良い子にして待っているんだぞ」


 ノワールが水を嫌がるのかは分からない。

 もし嫌がったら面倒なことになるので何をするつもりなのかノワールにはまだ告げない。


 少しでも寂しがりタイムが来ることを遅らせるためにひとしきりノワールを撫で回してからショウカイは町に出た。


 とりあえず出はしたものの何が必要なのかショウカイは考える。

 ペットショップなんてものはないので犬用の商品なんてものもないだろう。


 色々回って買い求める必要があるので後で思い出してまた買いに行くなんてことがないように出来るだけ少ない店数で済ませたい。


 まずは洗うといったらシャンプー、水を流すのに桶やタライのようなものがあれば便利、後はブラシでもあるといい。


 ちなみにだがこの世界にお風呂文化は存在している。

 湯沸かし器のような便利商品はなくても魔法という便利技術がある。


 だからお風呂を沸かすことが思いの外容易であり、王城ではお風呂は普通ぐらいのものであった。


 これはかつて呼び出された勇者の影響である。

 お風呂文化を拡めて定着させた勇者がいた。


 個々人でお風呂を持つまでには普及しきってはいないのだが大きめな宿には大浴場みたいなのがあったり、公衆浴場は大きめの町なら絶対にあった。


 勇者がどんな人だったのか知りもしないけれどきっと同郷だろうなとショウカイは思った。

 じゃなきゃお風呂なんて作りゃしないだろうと思う。


 シャンプーやなんかはないのだが石鹸は存在している。

 ただこの世界は前の世界と似ているようで細かいところは色々違っているのだ。


 人の髪色だって染めているわけじゃないのに色の付いている人もいる。

 トマトみたいな食べ物だと思って食べたらカボチャみたいな味がする野菜を食べたこともある。


 自分の持っている常識だけで物事を考えると驚くことが度々ある。


 液体シャンプーがないのだが異常なレベルの高さでこの世界の石鹸はクオリティが高くなっている。

 ボディーソープ、シャンプー、リンス、コンディショナー。

 それぞれの役割を果たす石鹸が存在している。


 犬用石鹸の存在はおそらくないので人用石鹸を使うことになる。

 人用の石鹸を犬、もといウルフに使っていいのかは不明だけれども犬でもないし魔物だしどこまで知識が当てはめられるのだろうか。


 悩みながらもノワールに使ってみてダメだったら自分が使えばいいやと思って石鹸を探しに行く。


 1軒目は普通のお店。

 安いのでいいならあそこにあるぞと教えてもらったお店。


 店内に所狭しと商品が並べられている。

 よくよく見ると旅の消耗品なんかを買いに来るお店であった。


 その中に石鹸も置いてあった。

 茶色い紙に包んで置いてあり、意識して見なきゃ気づかない。

 もしかしたら気づいていなかっただけで以前に立ち寄ったことがあるお店なんかでも置いてあった可能性がある。


 見てみると安い石鹸と言われていたけれどいくつも種類があった。

 全身丸洗い可能なものからシャンプー、リンスに分かれているものなんかもある。


 とりあえず全身丸洗い可能な石鹸を1つ買って店を出た。


 次の店に向かう。

 今度のお店は高い石鹸なら貴族の家がある方にある店に行けばいいと店の人に教えてもらい、ちょっと高級な店に行った。


 高級店はやっぱり違う。

 物の配置も余裕を持って置いてあり、店内がすっきりとしている。


 石鹸の種類は高級店の方が多い。

 同じように全身丸洗い可能なものやシャンプーやリンスに分かれているものがある。

 そこに加えて香り付きだったり洗い上がりがしっとりするものまでプラスアルファの要素があるものが売っていた。


 どれを買うのか悩んだが香り付きは嫌がるだろうと思ってしっとり系のシャンプー石鹸とリンス石鹸を1個ずつ購入した。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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