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狙うもの5

 目当てのものをドンピシャで手に入れた。

 あのお店にはこれ以上ミクリャの気を引くものもなかった。


 奇妙な泥団子とボロ切れを購入すると言った時店員はショウカイの顔をジッと見た。

 一瞬鑑定していたことがバレたかと思ったがそんなことはなかった。


 特に効果のチェックもせず、商品の説明もしない。

 破損や面倒を避けるために店内での魔道具の発動を禁じている。


 その代わりに全商品同じ価格で販売している。

 要するに何も知らない人にとってはガチャみたいな店。


 ショウカイは商品の効果が見ることができるので賭けをする必要がない。


 1品につき銀貨1枚。

 煙爆弾はまとめて1つで隠し身のマントと合わせて2つなので銀貨2枚での購入。


 本来の価値がいかほどになるものなのか分かるわけもないけれど絶対この値段じゃ買えない。

 お得中のお得でマントを買うことができたと思う。


「ちょっと試してみるか」


 薄汚れていて埃っぽいけど機能には問題がない。

 マントを体に巻いて魔力を込める。


 自分の込めた魔力とは別に何かに包まれる感覚。

 マントに込められた魔法がショウカイの魔力によって発動した。


 自分自身では分からない。

 詳細鑑定の説明によればこれでマントに込められた魔法によってショウカイの気配が消えているはず。


「いでっ」


 ドンと道ゆく人の肩がショウカイにぶつかる。

 ぶつかった相手は謝ることもなくキョロキョロとぶつかった相手を探す。


 しかしぶつかった相手を見つけることは出来ずに首を傾げで去っていった。


 ショウカイのことをちゃんと認識できていない。

 隠れるでもなく丸見えなのに気配が消えたことで認識されにくくなっている。


 なんとも不思議で例えようもない。


 少し黙って立っていてみると直前で気づいて避ける人もいれば全く気づかないでそのまま当たりそうになる人もいた。

 ショウカイが避けなきゃ当たっていた人も何人かいる。


 人相手には効果はある。

 向かっている人の体をかわしながらひとまず効果があることを実感する。


 消費する魔力はそんなに大量ではない。

 四六時中マントの効果を発動しておくのは大変だがそれなりの時間なら発動させておいても魔力は持ちそうだ。


 こんなもの泥棒とかが持ったら危険なのではないか。

 悪い方に考えてしまうが悪いことをするつもりはない。


 ノワールにマントを付けて気配を消して潜伏スキルを使うと上手くいけば一緒に町中を歩けるんじゃないか。

 ノワールがマントの魔法を発動できるのか知らないけど。


 そんな風にも歩きながら考えるが無理だろうなともすぐに思う。

 気配が消えるだけで姿が消えるわけじゃない。


 それに町中にマントを付けたウルフがいたら視覚的に目立ってしょうがない。


 潜伏スキルと併用したらなんてことも考える。

 そうなるともはや目の前にいてもショウカイですら気づかなそうでやはり却下である。


 気配を消した状態と魔力がじわじわと減っていく感覚に慣れるためにマントに魔力を込めながら帰り道を行く。


「どうした?」


 隠し身のマントでバレないことをわかっているミクリャが顔を出して指を差す。

 ショウカイは周りに気づかれやしないか見回すがショウカイを見ている人なんていない。


 普通に歩いていたって周りの人間のことなんてよく見ない。

 魔法で気配が消えていたらなおさら気づくはずもなかった。


 隠し身のマントを見つけてくれたのはミクリャだから何か欲しいものがあるなら買ってあげよう。


「あれか?」


 ミクリャが指差したのは一軒のお店。

 路上に面して窓があり、中に入らなくてもそこから直接買い物ができる。


 マントに魔力を込めるのをやめる。

 隣を歩いた人がいきなり現れたショウカイに驚く。


 隣にはいたのに認識できていなかったせいでいきなり現れたように感じたのだ。


 ミクリャに再び服の中に隠れてもらい、店に近づく。


「すいませーん」


「はーい、ご注文はなんですか?」


「えっと、ここはなんのお店ですか?」


 ミクリャが指差したから来たのだ、なんのお店なのか知らない。

 こんな形式でやっているなら食べ物系のお店なのではないかと予想している。


 というか、近づいてみると良い匂いがしている。


「ああ、うちはケローペの店だよ」


 店員は嫌な顔一つせずに説明してくれた。

 ケローペとは薄く焼いた生地で肉や野菜を包んだり、砂糖漬けの果物やバターなんかを包んだりした食べ物。


 今回は甘い系とお食事系を2個ずつ買う。

 持ち帰ってみんなで食べるつもりだ。


 ミクリャはすぐに食べたかったようで内側から服をグイグイ引っ張って不満を表している。

 表情もいつもの無表情からちょっと不満そうに見えた気がした。


 ケローペはほんのりと温かいのでさっさと帰ることにした。

 マントを使うと道が人を避けるゲームになることが面倒になったのもある。


「……あいつらは気づくかな?」


 程なくして宿に着く。

 ここでちょっとしたイタズラ心が芽生えた。


 宿に入る前からマントに魔力を込める。


 全身を魔力が包み魔法が発動したことを体で察する。

 そっと宿のドアを開けて入る。


 中には店員がいたけれど入ってきたショウカイには気づかない。


「風かしら?」


 ドアが開いたことは遅れて認識したがショウカイが開けたのだとは思わない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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