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狙うもの4

「ふぅむ、人間は弱いからしょうがないであるな」


 怖いと思っていることを隠しても今更なのでシュシュに相談してみた。

 近くまで来たんだし、シュシュが探しにいけばいいのになんて考えないのがショウカイである。


 考え込むシュシュ。

 正直なところ森奥の魔物はシュシュも相手しない。


 逃げて逃げられないこともないけど逃げられるだけで倒すことなんて無理。

 シュシュも逃げるのがギリギリぐらいの相手。

 ショウカイには逃げることも難しい相手だろうと思う。


「方法もないこともないである」


「おっ、何かあるのか?」


「人間は弱いが知恵が周り、手先が器用である。

 様々な技術があり、侮ることができないである。


 その中には持ち主の気配を消してくれる道具があると聞いたことがあるである」


「気配を消す道具?」


「そうである。名前もどんなものかも知らないであるがとにかくそんなものがあると聞いたことがあるである。


 他にも何か身を隠す道具が人間なら作っているかもしれないである」


 なるほどと思った。

 確かにこの世界には魔法を手軽に扱える魔道具と呼ばれるものがある。


 一般に高価でそこらで売っているものでもないし、使ったこともないので考えたこともない。

 使っても良いかもしれない、そう思った。


 ーーーーー


 次の日ショウカイは宿の人に聞いてみて教えてもらった魔道具屋に行ってみた。

 少し暗い雰囲気のする店に入ると棚やテーブルの上に所狭しと物が並んでいる。


 見ただけではそれが何なのかわからない。

 そんなものがほとんどである。


「いらっしゃい」


 店の店員は深くローブを被り、店の奥で本を読んでいる。

 顔は見えないけど声で辛うじて男だとわかる。


「好きに見ていって。ただし魔道具は勝手に発動させないで。


 何か壊したら弁償してもらうから」


 本から目を離さずに店員が忠告する。


 これだけ物が多ければ目的のものもあるかもしれないけど発動もさせないで品物が何の魔道具か分かるのだろうか。


『水滴の出るペン

 ガラクタ。

 魔力を込めるとペン先から水滴が出る。』


『音のなる靴

 ガラクタ。

 魔力を込めなくても魔力に反応して音が勝手になる靴。

 魔物を呼び寄せたいなら使えるかもしれない。』


『風の出るコップ

 ガラクタ。

 魔力を込めるとコップの口から風が出る。』


 ガラクタしかない。

 店員がいる前で声には出さないけれど品物を投げつけたいぐらいの衝動に駆られる。


 見るもの見るもの全て詳細鑑定でガラクタと出る。

 ここにはガラクタしかないなんて考えに取り憑かれ始める。


 別の店でも探しに行った方が良いかもなんて思い始めているとミクリャがショウカイの服をクイクイと引っ張った。


「どうした?」


 声を抑えて服の中を覗き込む。

 ミクリャが上半身を出して店の中を指差した。


 慌てて前屈みになってミクリャを隠そうとする。

 ちょうど店員から死角だし相変わらず本に目を落としているので気づいてはいなそうだ。


 ちなみに今ミクリャはショウカイが適当にお店で買ってきた布をシュシュが裁縫したミニサイズの服を着ている。


 シュシュは意外と万能選手であり割と何でもできる。


 とりあえずミクリャが指差した方に行く。


「これ? これか? じゃあこれ?」


 物が多くミクリャがどれを指差しているのか正確に分からない。

 いくつか手に取ってみるけどどれも違うようで首を横に振る。


「これ?」


「ん!」


 ショウカイが手に取ったものにミクリャがうなずく。

 それは泥団子のような黒い丸い塊。


『煙爆弾

 魔力を込めて地面に投げつけるとたちまち辺りが煙だらけになる。

 敵から身を隠す時に使える。

 1個につき1回限り使用可能。』


 ようやく初めてガラクタと出ないものが出た。

 使い捨ての煙幕弾。


 魔道具なのかと一瞬思うけど魔力を込めなきゃ発動しないので魔道具になるのか。

 使い捨ての一回限りだけどいくつかあるので使えそう。


 気配を消す魔道具ではなかったが煙で姿を隠して逃げられるならアリな道具である。


「まあ、これでもいいか……あっ、ミクリャ」


 1つ1つ鑑定してくのは面倒なのでこれを買って探すは諦めようと思ったらミクリャが服の中から飛び出した。


「こらこら、どうしたんだ……」


 ミクリャは棚の上に飛び降りると棚に敷いてあった布を引っ張る。


「これは多分商品じゃ……」


 言いかけて気づく。

 他はテーブルにも棚にも布を敷いてあるところはない。


 もしかしたら、そう思って布を鑑定してみる。


『隠し身のマント

 魔力を込めるとマントに包まれたものの気配を隠してくれる。

 長い間放置されていつの間にか棚に敷く布のような扱いを受けていた。

 製作者はノードラ。』


 これだ!と叫びそうになる。

 ミクリャが出っ放しなので声を抑えて小さくガッツポーズをする。


 隠し身のマントの上に乗っている物を落とさないように気をつけて棚からマントを引き抜く。

 その間に再びミクリャはショウカイの服の中に戻る。


「ミクリャは使える魔道具かどうか分かるのか?」


 煙爆弾といい、隠し身のマントといい、今のところ百発百中の当たり率である。


「まっ、何でもいいけどありがとな、ミクリャ」


 無表情なのだがどことなくミクリャの顔が誇らしげに見えた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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