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可愛い根っこを追いかけて5

「何者ですか?


 俺に何の用ですか?」


 実際に目の前にしても知らない女性。

 剣を突きつけられても動じることもなく豪快に笑っている。


「この剣も安いものじゃないのだけどよほど良いものを持っているのだな。


 ロドラレア、ヨーキラ族の族長、になるものだ!」


 ドーンとない胸をはるロドラレア。

 このロドラレアら他の人が向けてくるようないぶかしむような目はしていない。


「ロドラ、何の用だ」


「お前に用ではないわ!」


「2人は知り合いか?」


「そうだ!


 私たちは同い年でな、こいつの母親と私の母親が親戚で……」


「こんな悪魔みたいな女と知り合いなわけがないだろう」


「なっ!


 それはないんじゃないか!


 内気で友達もできないお前をどれだけ連れ出して……」


「友達がいなかったのはどっちだ。


 男勝りすぎてみんなに敬遠されていたくせに」


「なんだとぉ!


 ナヨナヨしてよく泣いていたお前がよく言うよ!」


「……友達ではあるようだな」


 どうやらジザルデスとロドラレアは知り合いのようだ。

 ただ悪友というか腐れ縁みたいな感じでジザルデスはロドラレアに呆れたような顔をしている。


「こいつ10歳になるまで……」


「やめろぉ!」


「放せ、この馬鹿女!」


「いきなり人の黒歴史でバラしてくれようとするからだ泣き虫男め!」


 ロドラレアがジザルデスに掴みかかりもみくちゃになる2人。


「すごいパンチだった。


 油断していたとはいえ、良いのをもらってしまった」


「お前も強かったぞ。


 まともにやったと思ったんだけど倒せなくて驚いた」


 「む?」


 イブシュレアはロドラレアとジザルデスの争いに関わる様子もなくノワールに声をかけた。

 ノワールの方もイブシュレアが強いことは認めて言葉を返すがノワールの言葉が分かるはずもなく首を傾げる。


「あなたも強かったと言ってるんです」


「そうなのか。


 異国の女性なのだな」


「イブシュレアさん、でしたか。


 大丈夫ですか?」


「大丈夫だ。


 ……すまないな、もっと落ち着いて訪ねればよかったがお嬢が少し焦りすぎて勘違いをさせてしまったようだ」


「い、いえ!


 こちらこそいきなり攻撃してしまって……」


「先日捕まったばかりの人をあのように訪ねれば警戒されて当然だ。


 こちらの落ち度だ」


 ドアを壊すとか大声で叫んでいたしショウカイたちからすると襲撃してきているように感じてもおかしくない。

 ほんのちょっと互いに確認でもすれば防げたけれどお互いにそのほんのちょっとが出来ていなかった。


「んで、あれはいいんですか?」


「以前からあんな感じだ」


「こいつ10歳までオネショしてたんだぞ!」


「ギャー!


 こいつ!」


「グオッ!」


 ジザルデスの腹をロドラレアが全力で殴りつける。

 ジザルデスも体格がいい方なのにふわりと一瞬浮き上がる。


 少しばかりここの人に態度悪いなと思っていた。

 それはジザルデスがここの人たちのことを嫌いなのではなく、ロドラレアに会いたくなかったからさっさと出たいという思いからであった。


「いつもながら仲が良くて」


「あれが……?」


 そう言われれば仲が良くなきゃあんな交流は持てないだろうけど。


「お嬢はジザルデス様に片想いしているのです」


「それって俺聞いちゃってもいいんですか?」


「当人以外は皆知っていることですので」


 そんなこんなで壊した宿はロドラレアが持ってくれることになって部屋で事情を聞いた。


「うぇーん、もうお嫁に行けないよー」


「族長になれば族長の権力でどうとでもなるだろう」


「ひどっ!


 そこは俺がもらってやるって言うところでしょ!」


「いらんわ」


「この甲斐性なし!」


 ひとまずロドラレアはショウカイを逮捕に来たとか襲撃に来たわけではなかった。


「話を要約するとマンドラゴラ窃盗犯の逮捕に協力してほしいと?」


「そうだな!」


 ロドラレアが来たのはショウカイに協力を要請するためであった。

 そもそもマンドラゴラ泥棒が人族ではないかと疑っているのも魔人族では難しいというだけで証拠も何もないのだ。


 魔人族が近づけないのでマンドラゴラの管理も遠くから確認するだけであったような状況でいつ盗まれたのかもはっきりしない。

 調査の進行も芳しくなく、行き詰まっている。


 そんな時にショウカイが現れた。

 製薬会で身元を保証してくれる人族。


 よほど嫌われなきゃマンドラゴラにも近づくことができる人材。

 調査というよりはマンドラゴラの近くで監視や植え替えを手伝ってほしいって感じだけど。


 その代わりにマンドラゴラの根っこを採取して持っていっていいって話。


「ショウカイさん次第ですが……」


 とは言いつつイヤそうなジザルデス。


「別に危険なこともないだろう。


 もし仮に犯人に繋がる手がかりでも見つけたらお礼もする!


 頼む、私たちを助けると思って!」


「……分かった。


 とりあえず危なくなさそうなら」


「やった!」


「…………しょうがない」


 嬉しそうなロドラレア。

 多分、おそらくの話だけどショウカイというよりはジザルデスの方が目的なのではないか。


 そんな気がしないでもない。

 その後の細かい話はイブシュレアの方がしてくれる。


 ジザルデスには悪いけどロドラレアがニコニコしているのを見るとちょっと応援したくなってしまうショウカイであった。


 ーーーーー

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