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可愛い根っこを追いかけて2

 そんなことで投獄されたショウカイ。


「だから知らないって……」


「ウソをつくな!」


 暴行は受けなかったけどそれに近いぐらいに脅される。

 そんなに強くないショウカイでは単純な打撲も立派なダメージになる。


 窓もない石造りの狭い部屋で椅子に手首を繋がれて小さなテーブルを挟んで強面の尋問官に話を聞き出される。

 望む答えでないと強くテーブルを叩きつけるのでいつそれが自分に向けられるかとヒヤヒヤしていた。


「お前がマンドラゴラを盗んだ盗賊の一味なんだろ!」


「だから知らないって!」


「ウソをつくな!」


 無限ループ。

 認めるまで帰さないつもりなのか、同じ質問しかしないし気に入らない回答だと何回でも同じことを聞いてくる。


 聞いてくる内容はショウカイがマンドラゴラを盗んだ人かどうか。

 どういうことなのか分からないけどマンドラゴラが盗まれたようで人族であるショウカイを犯人だと疑っているようだった。


 ただショウカイはマンドラゴラの盗難なんてもちろん知らない。

 これから採取したいのだから盗まれて傍迷惑に思っているのはショウカイも同じである。


 段々と同じことしか聞かない強面にイラついてくる。

 お前の顔面もノワールに殴られたら終わりなんだぞと思う。


 しかし争いをここで起こしても良いことはないと自分に言い聞かせて我慢する。

 とりあえず何かの事件が起きていることはわかった。


 何も知らないままにマンドラゴラのところに向かったらもっと厄介なことになっていた可能性とあるのだと前向きに考えてみる。

 

「よければ何があったのか教えてもらえませんか?」


「なぜこちらの抱えている情報をお前に話さねばならない?」


 そりゃ通り一辺倒に同じことしか言わないからだよ。

 もうちょっと事情を話してくれればこちらからも歩み寄るのに犯人だと決めつけて同じことしか言わないのではショウカイも話しようがない。


 何を話していいのか、何を話しちゃダメなのかわからない。


「何の罪かもちゃんと分かってないのに認められないでしょ?」


 認めるつもりなんて毛頭ないけど細かな事情は知りたい。


「……そうだな」


 悩ましげに眉を寄せて腕を組んで考える強面。

 怖い沈黙が続いたけど納得してくれたようで何の疑いで調査されているのか話してくれる気になった。


 意外と良い人なのかもしれない、この強面魔人族。

 マンドラゴラと相性の悪い魔人族だけどマンドラゴラの根は大事なのでちゃんとマンドラゴラは管理している。


 勝手に採取したりすることはもちろん生息地に入ることも許可が必要なのである。

 いくつかあるまとまったマンドラゴラの生息地のうちの1つが忽然と消えてしまった。


 乱雑に掘り返された地面。

 周りに死体はなくマンドラゴラが叫んだ様子もない。


 そこでヨーキラ族はこれはマンドラゴラの違法採取、窃盗だとした。

 しかもマンドラゴラを掘り起こせるならそれは人族がやったものだと予想をつけた。


 しかし捜査をしてもマンドラゴラの行方は掴めずにいた。


「そんな時に怪しい人族がいた。


 お前だ」


「いやいやいや……人族が怪しいのは分かりますけどそんなことやっておいてノコノコと町中歩いていると思いますか?」


「…………知らん。


 何かを調べていたのではないか?


 他の生息地などをなぁ!」


 とりあえず事情は聞けたけど話が通じない。

 つか逮捕するなら証拠出せって話だがそれは高度な法治国家だからできる主張かもしれない。


 科学的な捜査もないこんな世界じゃ怪しければそれだけで半ばアウトなのである。


「失礼します」


「なんだ?」


 ただ冤罪を認めたところで許されるはずもなさそうなので否定し続けるしかない。

 そうしてまた話が堂々巡りしそうになっていると部屋に人が入ってきて強面に耳打ちする。


「……ヘビス族…………製薬会……」


 何を言っているのかちゃんとは聞こえないけれど知った単語が時々漏れ聞こえる。

 ジザルデスが何とかしようと動いてくれているみたいだ。


「そいつを牢に戻しておけ」


 出られるかなと期待したけどショウカイはもう一度牢屋に戻されることになったのであった。


 ーーーーー


 そして再び牢から出されてみんなの顔を見れてちょっと安心。

 持ってる持ってないはマンドラゴラの話でもちろんショウカイの荷物の中にマンドラゴラなどない。


 それどころか製薬会が貸してくれることになっていたので採取道具すら持っていないのである。


「だから説明したでしょう。


 こちらの方はヘビス族の客人で製薬会の依頼でマンドラゴラを正式に採取に行くと。


 例え泥棒が本当にいたとしてもショウカイさんではありません」


「ふん、まあ製薬会の確認も取れた。


 実際にそのような依頼をしているとな」


「ならどうしてこのように拘束したままなんだ!」


「泥棒でなくても信頼はできない。


 それに泥棒がまだ周辺にいるかもしれないからマンドラゴラの採取は許可ができない」


「な、それじゃあ……」


「ならお前たちで泥棒を捕まえてみるんだな」


「己の無能を棚に上げて……」


「なんだと?」


「まともに泥棒も捕まえられないのなら無能と言わざるを得ないでしょう」


「言わせておけば……」


 睨み合う2人。

 どうでも良いけど嫌疑が晴れたなら手の拘束は解いて欲しいな。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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