魔人族の国をゆく3
学んだものを試したかったヘビス族とノワールに盗賊たちはボッコボコにされていく。
だからタイミング悪いなと思う。
いざという時にはショウカイやアステラやミクリャ、こっそりスーやシュシュがいる。
「た、助け……」
ショウカイに助けを求めて懇願するような目で見ていた盗賊。
残念ながらジザルデスに引きずられて行ってしまった。
ヘビス族、本当は戦闘部族じゃないのかと疑うわ。
「もう2度とこんなことするんじゃないぞ」
これが戦闘部族ならためらいもなく命を取るらしい。
けれどヘビス族は戦闘部族でもないので命までは取らない。
ただし全くの無傷では帰さない。
戦いでそのまま亡くなった人は放っておくし死ななかった人も腕を折る。
それなりの人数がいる盗賊を連れていくこともできないし、だからといってなんの罰もないのも盗賊をつけ上がらせてしまうから。
死にはしないが痛いししばらく何もできなくなる。
ショウカイとしてはなかなか罰だと思うがこれでも軽い方。
腕だけ折って見逃してやるのだから優しいのだとジザルデスは言っていた。
ヘビス族は薬などを作って生計を立てているので戦闘系の部族ではないと言うが実際のところバリバリの武闘派である。
田舎であるが故に魔物が出る、それを自分たちで倒して薬を作る、輸送でもこうして襲われるのを自分達でなんとかする。
戦闘部族は単純に魔物を倒したてその素材を売ったり他の部族の護衛を引き受けたりする。
あまり薬を作ったりする技術系のことはしない。
だからヘビス族は戦闘部族でなく生産部族だと言っている。
「ジザルデスさんは薬を作るんですか?」
「俺?
俺はあまり作らない。
狩猟用の毒薬は作るけれど鍋を火にかけて待っていると暇で体がうずうずしてしまうんだ。
そんなに短い時間でもないけど性に合わないのだろう」
人には得手不得手がある。
煮える薬草の変化を見ていることが苦にならない人もいればその間も体を動かしていたいような人もいる。
ジザルデスはじっくりと薬作りに向き合うことが苦手な性分であった。
感覚は鋭敏なので細かな薬を作るのに向いた能力は持っているが性格が向かないのだ。
「それでも魔物を倒したり薬草採取に同行したりとやることはたくさんある。
父上……族長もおんなじだな。
おばあさまやおばあさまの妹であられるカレンデス様は優れた薬師であったと聞いている」
今運んでいる荷物の中にはクレアデスが作った薬もある。
クレアデスが薬を作ると同じ材料でも品質が一定で無駄がなくて作り出す量が多い。
そうした薬は途中の小さい町でも売る。
ヘビス族もずっと森の奥に過ごすのでもなく町に出る人もいる。
町で薬屋をやっていたりもするのでそうしたところに卸していく。
さらに小さい村や部族にも立ち寄って直接いくつか薬を売ることもする。
そうして路銀を稼ぎながら大きな都市を目指していくのだった。
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