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魔人族の国をゆく2

「すいません、よろしいですか?」


「はーい」


 のんびりとしていたらショウカイたちのテントをジザルデスが訪ねてきた。


「また手合わせ願いたいのですがよろしいですか?」


「だってさ」


「望むところです。


 これでより強くなってご主人様のお役に立てるようになります」


 ヘビス族が住んでいる周辺はど田舎である。

 薬草が採れたりするのでヘビス族にとってはそれが気楽でいいのだけど問題はやはり田舎になると魔物が多くいることである。


 途中で襲われることもある。

 そこで護衛の人たちが役立つのだけどショウカイたちだってただ守れているのも申し訳ない。


 ショウカイやノワール、アステラも戦いに加わって魔物と戦うこともあった。

 その中で目立ったのはノワール。


 素手で魔物を殴り倒していく。

 圧倒的な力と軽やかな身のこなし。


 薬を作ることを生業にしているヘビス族だが身を守ったり材料を集めたりするために武力も当然必要である。

 なので戦闘要員の人もいてそんな人が護衛についているが戦闘系部族でもないので外の人と鍛錬に接する機会も多くない。


 ジザルデスもヘビス族の中での戦闘系の人で是非ともノワールと手合わせをしたいとなった。

 それについてノワールも乗り気だった。


 能力として強くはなってきたが経験が足りない。

 魔物とは時々戦うけど意外とショウカイは人と戦うことにも巻き込まれる。


 対人戦闘経験を積める機会もそうそうないのでやりたいとなった。

 最初は勝ち負けが入れ替わる戦いだった。


 ノワールが力押しで勝ったり、ヘビス族が経験やテクニックで上回ったりと戦う人によっても違うし安定しなかった。

 しかしノワールはヘビス族というより人の体での戦い方を学び、ヘビス族は自在に変化する型にとらわれないノワールの動きを学んだ。

 

 ヘビス族でも程度の差はあるから人によるがジザルデスなんかは次第に勝負はつかなくなっていった。

 当然互いに本気ではない。


 ノワールの本気のパワーは人が受けるには強すぎる。

 逆にジザルデスは魔法なんかも使えるらしいけど使わなかったりと両方セーブした状態ではあった。


 この戦いの中でノワールも掴んだものや教えてもらったものがあって、これでもっとお役に立てます!と鼻息が荒かった。


「お薬……渡してもらおうか?」


 ヘビス族の薬は質が良く人気が高い。

 大体納品される時期も決まっているとあっては狙う輩も沸いてくる。


 戦争状態にあって薬の価格は上昇している傾向にあるために余計にそんな奴が出てくる。

 逆にヘビス族の薬だと質が高くてバレるから狙わないなんて人もいるけど今回は狙う人がいて布を巻いて顔を隠した盗賊に囲まれた。


 しかしショウカイは思う。


「タイミング悪いな」


「うわあああ!」


「なんだこの女!」


「こいつ……ぎゃああ!」


 ヘビス族は1発でも当たれば終わりというノワールとの戦いにさらに動きに磨きがかかり、ノワールは人の細かな動きを学んでより繊細に戦えるようになった。


「この女……素手じゃねえ!」


「刃物でも隠し持って……ギャッ!」


 あれだけの力があるのにただ殴りつけるだけなのはもったいない。

 剣や折れにくい棒などの武器を持ってみるつもりはないかとヘビス族の戦士たちはノワールに提案した。


 しかしノワールには武器を扱うスキルはない。

 代わりに牙や爪を使って戦うスキルがある。


 人の形だとどうしても爪で戦うことに限界はあるがスキルにある程度とらわれてしまう以上は変に剣を持つより素手の方がいい。

 ノワールもその方が良かった。


 そう言うとヘビス族は爪で戦う方法を教えてくれた。

 魔爪形成術というものでほとんど使う者もいないが魔人族の中で受け継がれてきた戦闘方法だ。


 正確には爪をそのものを使った戦いではなく魔力によって擬似的に爪を作り出す手段。

 魔力を籠手のように手に覆って固めて先を尖らせることで爪での攻撃と同じような扱いをできるのである。


 それに爪術スキルが適応されるのか怪しいものだったけど結果的には適応された。

 ただショウカイはノワールが魔爪形成術で爪を作り出すのが早かった時点で爪扱いでスキルの補正が入っているのではと睨んでいた。


 指先が尖った武器としても扱えるガントレットもあるのでそうしたものを身につけて魔爪形成術を使えばさらに効果が高くなる。

 どこかで見つけてやろうと思う。


 ひとまずこれで剣などの鋭い武器にも爪でノワールは対抗することができるようになった。

 素手だと多少危なっかしいと思っていた。


 爪を使った攻撃だとノワールの動きはより滑らかで素早い。

 拳での戦いとそんなに変わらないはずなのにこれがスキルの能力なのだろうかとショウカイは感心していた。


 ノワールの爪で切り裂かれて男たちが悲鳴あげて倒れていく。

 ヘビス族のみんなも戦っているけどやはりノワールの活躍には目を奪われる。


「すごいですねぇ」


「アステラは良いとこ見せたいとかないのか?」


「ショウカイ様をお近くで守ることの方が大切ですから」


「またいいように言っちゃって」


 実際のところノワールが素早く駆け回っている乱戦では魔法は使いにくい。

 ショウカイを守る意図もちゃんとあるが変に手出しをするより任せた方が安全に戦えるとアステラは手を出さないのだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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