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心優しきリッチの心残り5

 ただしアンデッドが擬態をしないことがアンデッドが擬態スキルを使えないこととイコールではない。

 もしアンデッドにも擬態スキルが使えたらどうなるだろうか。


 肉体がないアンデッドが擬態で擬似的な肉体を作り出した時それに味覚は備わっているのだろうか。

 舌がないことはまずないだろう。


「提起したらドラゴンの間でも論争になりそうだ」


「つまり私が擬態スキルを使えるようになればまた食事を楽しめると?」


「誰も確かめたことがないことだから確定的なことは何も言えん。


 ただし可能性は大いにあるだろうな」


「スキルってどうやって獲得すんですかァァァ!」


「知らない」


「私も知らないな。


 ドラゴンはスキルなどという概念には囚われない。

 どちらかと言えば人のもの。


 職業がない魔人族にもないのではないか?」


「えっ……」


 上げて落とす。

 希望が出てきたと思ったのにすぐさま希望を取り上げられてポロリと持っていた魔石が手から地面に落ちた。


「今はリッチだから分からないがな。


 おい!

 なぜ石を投げる!」


「乙女心が分からないクソドラゴンに罰を与えています」


「意味が分からん!


 理由を言え!」


「人の心ってもんがないんですか!」


「私はドラゴンだ。


 人では……」


「今のはグオンが悪いよ」


「なんだと!?」


 至極真っ当で忌憚のない意見を発しただけなのにとグオンは思うが魔人族だから無理だろうと聞こえる意見を今言う必要はない。

 魔物だから分からないとフォロー入れているけど発言のタイミングってやつがある。


 カレンデスはまた石を投げる。

 もう存分に石を投げていいと今回の失言には思う。


 グオンの感覚は少し人とはズレている。

 よーく付き合ってみないと気付けないがドラゴンだからしょうがないのかもしれない。


「そうだな……スキルがあるかどうか見てもいい?」


「ええっ?


 そんなこと見れるんですか?」


「俺には他人のスキルを見るスキルがあるんだ」


「そうした話は聞いたことがある。


 スキルや職業というものがあるからそれを調べる術もあると」


「一応スキルも人にとっちゃ秘密だから……」


「どうぞみてください!


 こんな骨まで見せているのですからスキルがあるかどうかなんて見られても全然気にしませーん!」


「わかった。


 詳細鑑定」


 もう秘密だって知られた。

 裸どころか体の中の骨まで見られている。


 スキルを見られることぐらいなんてことはない。

 むしろスキルがあるか知られるのなら見てほしい。


『カレンデス(従属)

 性別:メス

 性格:真面目、繊細、誠実、親切、勤勉、研究家、お人好し、前向き、恋愛したい、暴走気味、探求、マスター至上主義

 スキル:闇魔法マスタリー 、水属性、火属性、死霊術、魔力吸収、魔力コントロール、ポーション調合士、主望之時』


 相変わらずマスター至上主義なる性格があるのは気になる。

 しかし今重要なことはそれではない。


「スキルあるな」


「ほんとうですかぁ!」


「うんちゃんとスキルあるよ」


「擬態スキルは……」


「擬態はないね」


「そうですか……」


 カレンデスにスキルはある。

 重要なポイントはそこである。


「でもノワールの擬態スキルも最初はなかったものだしな」


「スキルとは後天的に手に入るものなのか?」


「俺も細かくは知らないけどスキルは増えることもあるみたいだな」


 ノワールの擬態スキルは進化によって手に入れたものである。

 進化というものが特殊な過程を経ているので参考には出来ないかもしれないけれどもう1つノワールには怪力スキルがある。


 こちらは戦いの最中に突然生み出されたものである。

 スキルの原理は一切分からないが増える可能性は大いにあるのだ。


「そもそもスキルって不思議だよな」


 人もスキルってやつをよく分かっていない。

 神からの贈り物で納得してるけどそれ以上細かな事は長年の謎である。


 それでいながら魔物もスキルを持っている。


「それでも希望は持てるのですね!


 いつかやってやります人に擬態!」


 リッチになったなら倒されない限り永遠にも近い時間がカレンデスにはある。


「急にやる気が湧いてきましたよー!」


 食事も終えてカレンデスの魔力補充にも拍車がかかる

 グオンの尻尾に糸をつけてブランコしたりシズクを高く放り投げてノワールがそれをキャッチする謎の遊びをしたりして時間を潰した。


 何が楽しいのか知らないけどノワールもシズクも楽しいらしい。

 そうしている間に持ってきていた魔石をほとんど吸収してアステラとスーもぐったりするほど魔力を放出した。


 朝から始まった作業もとっぷり日が暮れるまでかかった。

 変わったとショウカイは思った。


 これまでなかったわけではないがカレンデスの存在感というか威圧的な雰囲気が増していた。

 魔力がそれなりに回復したことが見ていても分かった。


「どうだ?」


「まだ余裕はありますけどかなり回復しました。


 これから結界に穴を開けることもしばらく結界を維持することも出来そうです」


「それは良かった」


 ひとまず当面の魔力問題は解決した。

 次に考えるのはどうするのかである。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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