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心優しきリッチの心残り1

 調べて戻ってくる時間を稼ぐにしてもショウカイが脱出するにしてもカレンデスに魔力を与える必要がある。


「そんでキス以外で魔力補充する方法は?」


「キス……」


「諦めてください」


「カレン……」


「ちょ、みんなしてそんな顔して見ないでください!」


 もうここまでくると可哀想にすら感じられる。

 憐れみのこもった視線を向けられてカレンデスが慌てる。


「アンデッドの魔力の補充は普通の生き物とは少し違います。


 死は魔力を生み出せないのです」


「どういうことだ?」


「魔力というものは生命活動から生み出されます。


 ただ生きているだけでも魔力は生み出されますし食べる寝る笑う……生きる活動が魔力を生み出すのです。


 ですがアンデッドは死んでいるので魔力を生み出すことはできません」


「なるほど……」


「ならアンデッドはどうやって魔力を得るのである?」


「アンデッドは生み出された魔力を吸収することができるのです」


 カレンデスも生前はアンデッドのことなんて知らなかった。

 でも自分がアンデッドになってみてその不思議な体質を知ったのだ。


「代表的なのはゴーストですけどゴーストに限った話じゃなかったのです」


 いわゆる幽霊のような実態を持たないゴースト系の魔物は人から魔力を奪う。

 物理的、魔法的攻撃手段を持たずに触れてくるという攻撃をしてくるのだが触れられると体力と魔力が奪われるのである。


 そうした攻撃はゴーストにとっては同時に魔力の回復、つまりは食事のようなものでもあったのだ。

 しかしながら実はリッチであるカレンデスも大なり小なり同じ能力がある。


 ゴーストのように強力な強奪は出来ないけれど物から魔力を奪ったりも出来る。


「私はリッチなので相手から魔力を奪うよりも周りを漂う魔力を吸収して溜め込むことに長けています」

 

 リッチがゴーストのように人にタッチしに行くなんてあまり聞いた話ではない。

 ゴーストの魔力強奪に比べてリッチの魔力強奪は弱い。


 その代わりにリッチは空中に漂う魔力を広く吸収することに長けていた。

 スケルトン系はおおよそそうやって魔力を集めて活動を維持しているのである。


 魔力回復のためにキスするのはどちらかといえばゴーストのよくやる魔力強奪に近い行為だ。

 これまではグオンから漏れ出す魔力を吸収していたが今は日常生活にも困るレベルの魔力の薄さしかない。


「アンデッドとして1番いいのは相手が死ぬことなんですけどね」


 相手が死ぬと持っていた魔力が空中に発散される。

 死んだ相手から放たれた魔力は吸収しやすく量も多い。


「そんな怖い顔しないでくださいよ。


 殺すつもりならこんな堂々と言わないです。


 チャンスだっていくらだってありましたし」


 ノワールが唸りをあげてみんなもカレンデスに殺気を向ける。

 聞きようによってはショウカイを殺してしまうのがいいと言っているように聞こえる。


 グオンのこともあるしショウカイに手を出すつもりなんてもちろんないことは分かっている。


「じゃあ他の方法は?」


「さっきも言いましたが身体的接触による強奪とか後は魔力を放出してもらって私が吸収するかですかね。


 ショウカイさんや他の皆さんでもいいですし魔石でも大丈夫です」


「魔石でいいんかい」


「私にとっては生物が1番効率が良いんですけどね」


 それなら魔石を渡すのがショウカイにとってもいい。


「おほぉー!


 結構いいもん持ってますね!」


「ほらよ」


 カバンから魔石を取り出してカレンデスに投げ渡す。


「これこれ!」


 ショウカイにはだ魔石を握りしめているようにしか見えないがカレンデスは魔石から魔力を吸収している。

 体に魔力が満ちていく感覚は久々で死んでいるけど生きているような充実した実感が湧いてくる。


 透き通るような魔石が暗く鈍く色を失ってただの石ころになる。


「どうだ?」


「全然足りません。


 これは私にとって食事のようなもの。


 みなさんも食べ物を食べると思いますが一時的にお腹が満たされてもそれが自分の身になるのは一部です。

 これも他の魔物の魔力です。


 だから一旦体に魔力が満ちてもすぐに発散してしまって溜められる魔力は多くないですね」


「まだあるからたくさんお食べ」


「ありがとうございます」


「そうですね、例えば私が魔力を放出したら吸収出来ますか?」


 このままでは時間もかかりそう。

 そこでアステラがスッと手を上げた。


 ノワールやミクリャには難しいかもしれないが魔法タイプのアステラやスーなら魔力を操ることができる。

 魔力を放出することも出来るのでそれを吸収することができないかと提案する。


「それが出来るならその方が早いかもしれませんね」


「やってみますか」


「いくよー」


 カレンデスをアステラとスーで挟み込むように移動して手を伸ばす。


「おおおっ、いい感じです!」


 魔力は目に見えない。

 放出しているアステラとスー、それを吸収しているカレンデスには魔力が出ていることが分かるけれどショウカイには見てもカレンデスがキャッキャしているだけ。


「魔石からも吸収続けなよ」


「それはナイスアイデーア!」


 手は空いているので魔石を渡す。

 空中の魔力と魔石の魔力、ダブルで吸収すればだいぶ早い。


「あとはなんだろね。


 従属したら魔力が回復したりしないかね?」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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