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責任は王が取る5

「ちなみにアルダラインさんは……」


「呼び捨てで構わん。


 今は王どころか人ですらないのだからな」


 さんどころか様まで付けてしまいそうな威厳がデスナイトであってもある。

 内側から滲み出る王たるもののオーラがある。


 それでいながら気さくで、表情も分からないデスナイトなのだが朗らかに笑っているのが分かる。

 

「アルダラインは何が起きたのか覚えているですか?」


「いや、残念ながら覚えていない。


 妻を人質に取られて私もやられて……そこからの記憶はない」


 アルダラインの実力は相当なものだ。

 単体で負けるようなことはほとんどないと言っていいほどだったが襲われた時にはアステラやハンラッドだけでなくアルダラインの妻である王妃がいた。


 王妃も弱くないけれどアルダラインのような実力者とは比べられるものではない。

 わずかな隙を突かれて王妃を人質に取られてそのままアルダラインは倒された。


 そこからの記憶はない。

 あるいは記憶はあるのだけど全てが黒く塗りつぶされた闇の中にずっと沈み込んでいたようにも思える。


 全てが真っ黒だから記憶がないような感じがしている。


「生きているのかも分からないような闇の中から引き上げてくれたのがショウカイ殿だ。


 ふと私という存在が戻ってきてまるで水の中から抜け出したような気分だ」


 死んだ瞬間からいきなり時間が飛んだ。

 刺されて死んで気づいたらライムとニンファスと対峙していた。


 何があったのかはむしろショウカイが起きるまでの間にライムたちに聞いた。


「裏で何があったのか知らなかったとは言え我が国であったこと。


 責任は取らねばなるまい」


 落ち込んだ声色のアルダライン。

 その当時から堕落した神の崇拝者が蔓延っていたのだとしたらとんでもない話だ。


 気づかず止められず今の時代にまでこのような問題を残すことになってしまった。


「アステラの話も聞いた……本来誰かに犠牲を強いることはあってはならないがそうでなければバンシークイーンは倒せないのだな」


「いいのです、お義兄様。


 あれは私でもあります。

 こうやって近づくと感じます。


 悲しみに飲まれ憎しみに怒りを感じ、そして助けもを求めています。


 あれも私ですからこんなことはやりたくないのだと思います」


「こんな私でも義兄と呼んでくれるか」


「……ハンラッドは1番近くにいた私が気づくべきだったのです。


 なのに私は国の政治にかまけていつしか彼のことを見るのを忘れていました。

 彼が暴走してしまうキッカケはきっと私にあったのです」


 そんなことはないとライムは言いたかった。

 おそらくハンラッドの欲深さは最初からで、どの道あのように何かを滅ぼしてしまう運命だったのだ。


 確かに気付ければ止められたのかもしれないけど堕落した神の崇拝者が裏で暗躍していたから多分気づくのも難しかったのだろう。


 ただハンラッドは死んだ。

 ハンラッドだと思わしきリッチはもういない。


 確かめることもできない。


「……全ての話を受け入れました」


 黙って目をつぶっていたニンファスがスッと目を開けた。

 自分の中でこれまでされた話を消化していた。


「アステラさんがいれば……あるいは言い方を変えれば、犠牲となればバンシークイーンは倒せるのですね?」


「そうです」


「アステラさんはそれでいいのですね?」


「もちろんです。


 そのためにここまできました」


「では倒しましょう。


 今が過去最大にバンシークイーンを倒すチャンスに近づいているのは間違いないです。


 アルダラインさんも良ければご協力いただけますか?」


 一歩引いた冷静さでもってニンファスは状況を全て受け入れた。

 アステラが犠牲になればバンシークイーンを倒せる。


 そしてアステラがそれを受け入れているならニンファスにこれ以上言うことなどない。

 アルダラインにも協力を要請する。


 ライムとニンファスの2人を相手にしても引かないほどの強さを誇った。

 アルダラインを信頼はできないが全てを話したショウカイは信頼しようと思ったので支配を奪い取ったとショウカイが言うならそれを信頼する。


 仲間として戦えるなら心強い。


「こちらからもお願いしよう。


 バンシークイーンを止める手伝いをさせてくれ。


 私は期待されながら何もなし得なかった。

 バンシークイーンを倒したところで歴史に私の名前が刻まれることなどないのは分かっているがこれからの未来においてアイロ・エスタファの民が穏やかに暮らせるならこの力使ってくれ」


「使役しているのはショウカイさんなのでショウカイさんにもお伺いしますがよろしいですか?」


「もちろん。


 全てを終わらせましょう」


「国を荒らすことになってしまった責任を取る機会が訪れた。


 堕落した神の崇拝者はまさか自分が生み出したデスナイトがバンシークイーンと戦うことになるなんて思ってもないだろうな」


「他の冒険者たちには私が上手く言いましょう。


 つきましては全てが終わりましたらサモナーについて教えていただきたいです」


「……バンシークイーンに勝てたら考えますよ」


 この人も大概狂ってるなとショウカイは思う。

 なんの因果かデスナイトとなった、かつてのアイロの王アルダラインはアイロ・エスタファを救うためバンシークイーンと戦うことになった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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