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クイーンを守るもの6

「はっ!」


 氷の壁を突破されたけれどニンファスは冷静だ。

 炎の触手を操りアルダラインを止めようと試みる。


「うわぁ……アレつんよいねぇ」


 ショウカイのリュックからこっそり顔を出していたスーが驚きに声を上げる。

 スーが認めるほどの実力があるニンファスをさらに上回りそうな勢い。


 立ち止まることもなく炎の触手を切り裂いて進む。

 熱さも感じないので炎に怯えることもない。


 チリつくような熱さを越えてアルダラインはニンファスに剣が届くところまで近づいた。

 魔法職が接近されたらどうなるか。


 そんなこと言うまでもない。

 

「近づけば勝てるとでも思いました?」


 けれどニンファスもSクラス冒険者。

 近づかれては何も出来ない魔法使いたちは違っていた。


 剣を振り上げるアルダラインに真っ直ぐに手を伸ばしたニンファス。

 赤い光が見え、大きな爆発が起こった。


 あんな爆発を近距離で受けたならアルダラインも無事では済まない。

 ただしニンファスだって同じことは言える。


 爆発の煙に目を凝らす。


「……想像を上回る頑丈さですね」


 煙が晴れて、心配していたニンファスは平然とそこに立っていた。

 服に焦げ目すらなく何事もなかったかのよう。


 対してアルダラインは吹き飛ばされていた。

 けれども消し飛ばすつもりだった思惑は全く持って成功しなかった。


 鎧の胸の部分を少しへこませただけ。

 かなり魔法耐性の高い鎧である。


「強すぎる……」


 足手まといになるのでショウカイはあまり前に出ないで状況をしっかり見ていた。

 デスナイトも残り1体でこのまま順当にいけばアルダラインも倒せる。


 だけど消耗が激しすぎる。

 ニンファスはこの討伐隊の要ともなる存在でバンシークイーンに対抗しうる威力の魔法も使える。


 あまりここで魔力を使ってしまうとバンシークイーンとの戦いが辛くなる。


『従属スキルを使いますか?』


「えっ?」


 アルダラインをなんとか出来ないかと考えていたら突然表示が現れた。

 言ってる意味が分からない。


 意味は分かるけど理由というか、なぜこの表示が現れたか理解ができない。

 何を従属させるというのか不明で、戦闘中にも関わらず表示をじっと見つめてしまった。


 ライムが相手なのだろうか。

 それなら分からない話じゃない。


 だとしてもタイミングは謎。


「どうしたであるか?」


 急に動かなくなったショウカイをシュシュが心配する。


「……分からないんだ」


「何がである?」


「何というか……なんで今っていうことが起きてて」


「んん?


 何があったであるか?」


「何があったというより起こせるっていうのかな?」


「うーん……起こしてみたらどうであるか?」


 深く考えていないシュシュ。

 この状況を変えられるなら従属スキルを使ってみるのも手だ。


「……そうだな。


 従属スキルを使う」


 従属スキルを使いますかの表示が消える。

 いつもならここで魔力が抜ける感覚があって成功しましたとか受け入れましたってなるはずだ。


 なのに続く表示は出てこない。


「えっ?」


 視界が酷く歪んだ。


「ご主人様!」


 なんだか呼吸がしにくくて、鼻の下に変な感覚があってそっと手で触れてみる。

 指先に血がついている。


 鼻血が垂れてきていた。

 頭がクワンクワンしてきて足元がふらつく。


『魔物の支配に割り込み強制的な従属に成功しました。


 デスナイトアルダラインを従属させました』


「なん……だって?」


 アルダラインを従属させた。

 そんな表示が頭の中に入ってこない。


 頭が痛い。

 体の魔力が空っぽだ。


 ノワールが走ってきて倒れかけたショウカイの体を支える。


「ご主人様、どうなさいましたか!」


「ノワール……ポーション、だ」


 とりあえず魔力が足りない。

 限界を超えて魔力を持っていかれてその反動が来ている。


「シュシュ!」


「わ、分かったである!」


 シュシュがリュックから出てカバンに顔を突っ込む。


「これである!」


 緊急時用に買ってあったお高いポーション。

 シュシュからひったくるようにポーションの瓶を手に取ってショウカイの口に突っ込む。


 ポーションってまずい。

 要するに健康にいい葉っぱに魔力を込めたようなものなので美味しくない青汁みたいなものなのだ。


「あー……ちょっとダメそう」


「ご、ご主人様!?」


「寝る……」


 頭が痛くて起きていられない。

 ノワールの胸に抱かれてショウカイは気を失うように意識を手放した。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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