表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
251/340

クイーンを守るもの3

 秘密の通路は冒険者の人数が多いので通るにはすごい狭すぎる。

 敵はいないと思われるけど仮にいた場合に戦うのが難しい。


 地図を確認してみるとバンシークイーンがいるのは王の間であって簡単にいけないようにルートが制限されているみたいであった。

 崩落した位置を考えると近い道はどれも通れず全滅。


 ただまだいくつか行ける道はある。


「グールだ!」


 少し遠回りになるが行くしかない。

 地図に沿って進んでいると魔物が現れた。


 屍食鬼と呼ばれる魔物で死体を喰らう。

 ゾンビの進化種で、なぜなのか死体を喰らい多少知恵を身につけた。


 腐った死体ではないが死体を食べるために腐臭がしてゾンビと違って足が速く攻撃力もある。

 通路の向こうからグールが走ってきて、接近戦闘職の冒険者が前に出て盾を構える。


 異様に鋭く伸びた爪を振りかぶって盾を叩きつけるグール。

 頭のリミットが外れたアンデッドは力もそこそこ強いが熟練した冒険者を押し切ることはできない。


 後ろから飛び出した冒険者が槍を突く。

 グールは実態を持つアンデッド系魔物だ。


 一応物理攻撃も効かないことない。

 けれどグールは脇腹をえぐられたまま冒険者に爪を繰り出す。


 効かないことはないのだけど効果的とは言い切れない。

 痛みを感じないグールはしっかりと頭を潰さねば倒せないのである。


 当然冒険者も分かっている。

 予想していた反撃をかわして足を切る。


 ゾンビよりもやや硬い肉質だが問題はない。

 足を切られてバランスを崩したグールの頭を別の冒険者が素早く切り落とす。


 ここに来るまでにも共に戦ってきたのだ、連携はバッチリだ。

 通路は狭いがそれは向こうも同じ条件。


 冒険者たちは入れ替わり立ち替わりしながら戦い負担を分散させてグールを相手にする。


「うわ、すげぇ……」


 ライムも前に出て戦う。

 グールの攻撃で怖いのはグールが持つ毒にも近い強い腐食の力である。


 生身でグールの攻撃をくらうと傷口が膿んですぐに腐り始める。

 ついでにグールが持つ特殊な病原体にも冒される可能性がある。


 中々笑えない攻撃なのだ。


 しかしライムは生身の体を持たず病気になることもないのでグールなんて恐る必要もない。

 グールの頭を鷲掴みにして壁に叩きつけて頭を潰すライムの戦いは冒険者たちにとっても驚異的にも思えた。


 一撃でグールを真っ二つにし、反撃をも恐れないライムを前にズンズン進む。


「ん、開かないぞ……」


 グールを倒して進みこの先が目的の王の間の一歩手前になるってところまで来た。

 扉の向こうなのだけど冒険者のおじさんが押しても引いても扉は開かない。


 歪んでるのか錆びてしまっているのか少し軋む音がするだけだ。


「どうする?」


 困ったように振り返る。

 蹴飛ばしてみるが扉は開かない。


「えっ……分かった」


「どうかしましたか?」


 ライムがショウカイに顔を寄せて耳打ちする。


「ライムがちょっと自分にやらせてほしいと」


「いいでしょう。


 好きにしてください」


 何をするつもりなのかショウカイにも知らない。

 軽く扉を押して確かめるようにしてライムは扉から距離を取る。


「お、おお!」


「なんとも……お強いですね」


 やったことはシンプル。

 体当たりだ。


 勢いをつけて肩から扉にぶち当たったライム。

 普通の人ならためらいも生まれるだろう勢いで体当たりをされた扉は勢いよく開いた。


 ライムがやらなきゃニンファスが魔法で扉をぶっ飛ばしていたので魔力が節約できて助かったと思った。


「あれはなんだ」


「前に来た時はあんなものいませんでしたね」


「スケルトンナイト……いや、しかし禍々しい気配がする」


「あれじゃないか、噂にあったデュラハンじゃないか?」


 王の間の前の広い通路に出てきた。

 このまま真っ直ぐに進めば王の間があり、そこにバンシークイーンがいるのだけれど閉ざされた王の間の扉の前に黒い騎士がいた。


 ニンファスの記憶では前に来た時には王の間の扉は開いていてバンシークイーン以外に魔物はいなかった。

 ざわつく冒険者たち。


 離れているのに威圧されるような雰囲気がありただの魔物でないことを予感させている。


『デスナイト(支配)

 かつてアイロの国王であったアルダラインを体を利用して作られたデスナイト。

 堕落した神の崇拝者たちの黒魔法によってアンデッドとして作り替えられた魔物であり生前の剣士としての経験も持ち合わせている。

 作られた魔物であるので支配されていて自由はない。

 アステラが解放されたことを知った堕落した神の崇拝者が隠していたデスナイトを派遣した。』


「…………あれはデスナイトですね」


 黒い騎士を鑑定してみたショウカイ。

 なんだか不穏な気配を感じたしデュラハンなら危険だと思ったからである。


 魔物の正体はデスナイト。

 デュラハンよりも格下だがスケルトンナイトよりは格上で侮れない魔物である。


 しかもただのデスナイトではない。

 アステラの夫であったハンラッドの兄であり、アイロの国王であったアルダラインの体を使ったデスナイトだと詳細鑑定は言っている。


 ライムは言っていた。

 ハンラッドも優れていて兄を超えるべく鍛えていたけれどアルダラインはそんなハンラッドよりも才能があって強かったと。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ