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囚われの女王3

 スーにノワールへの伝言を頼んでショウカイはカバンからランプを取り出す。

 多少値は張るが便利なので買っておいた魔道具のランプである。


 魔力を込めると外では暖を取ったり料理をしたり魔物が嫌うので火を焚くことが多いけど室内ならランプがあると心強い。


「……何してるんだ、ライム」


「み、見てないで助けてくださいよ!」


「人のこと穴に引きずり込んでおいてなんだと?」


「謝ります!


 謝りますからぁ!


 こんな乙女の痴態晒し続けないでくださいよ!」


 当然ながら近くにライムも落ちていた。

 どんな落ち方をしたのか知らないけど逆さまに肩まで地面に突き刺さり、動けなくなっていた。


 ショウカイのライムを見る目は冷たい。

 そりゃライムが悪いからね。


 足をジタバタさせるけど抜ける気配のないライム。


「……しょうがない。


 ノワール召喚!」


 ノワールには周りの魔物を警戒するように頼んでいたので少し離れたところにいたので落ちていなかった。

 流石のノワールでもこの高さを落ちたら危ないと思ったので呼ぶから飛び込むのは止めろとスーに言ってもらったのである。


「お呼びでしょうか」


「お呼びです。


 アレ、助けたげて」


「……いっそ埋めてしまいましょうか?」


「お願いしたいけど今はとりあえず助けてあげて」


「分かりました……」


 離れていたけどライムがショウカイを引きずり込んだのは見ていた。

 昔なら迷いなく飛び込んだだろうけどノワールも進化をしてちょっと賢くなった。


 飛び降りたら危ないではなく、飛び降りないことで何か上でやれることがあるのではないかと考えたのだ。

 ショウカイは色々考えて動くことが多いので単に一緒にいるよりも選択肢を持たせたほうがよいとノワールは学んだ。


 必要ならショウカイが側に呼んでくれることも分かっている。

 ライムの鎧は持つにはちょっとデカいのでシュシュの糸で引っ張ることにした。


 ズボッと抜けたライムはデュラハンなので鎧が凹んだりもしていなかった。


「うぅ……申し訳ありません……」


 1人で落ちろと非道なことを口にはしないが本音ではそう思う。

 ショウカイとライムを比べるまでもなくライムの方が頑丈で力も強いのだからショウカイを掴んだところで何ともならない。


 それどころか命の危機だったのだ。


 ショウカイのみならずノワール、シズク、スーに囲まれて小さく正座するライム。


「私が人間だったということを忘れきれていない証拠ですね……」


 とっさに手を伸ばして何か、この場合はショウカイの足を掴んでしまう。

 生存本能というべき強い無意識に突き動かされてやってしまったのだ。


「で、でもなんか怪しいところは見つけましたし!」


「結果な、あくまでも結果的にな」


「うぅ……」


「フォローのしようもないであるな」


 こういう時は素直に謝って殊勝な態度を取っておけばショウカイなんかすぐに許してくれるのにとシュシュは思う。

 悪い考えだけどよくいえば優しいのだから言い訳なんかやめておくのが正解だ。


 ノワールなんかが同じことをやったならしょんぼりして落ち込んでみせるからきっとすぐにお許しが出ることだろう。

 変な人間っぽさがライムの正座の時間を伸ばしている。


 けれど罰しようにもライムに肉体的苦痛は無いし、物を食べることもないのでご飯抜きなんてこともできない。

 結局はそこそこのところで切り上げるしかないのである。


「ん……?


 ショ、ショウカイ様ー!」


「なんだ、シュシュ?」


「あれである!」


「あれ?


 うおっ!」


「むむっ?


 スケルトンですね?


 どうしてこんなところに?」


 暗がりで分からなかったけれどいつの間にかスケルトンが近づいていた。

 ショウカイがランプを持ち上げると奥の方から何体かスケルトンが来ているようだった。


「通路みたいなところから入ってきていますね」


「見えるのか?」


「見えるというか、分かるというか?


 目がないので魔力を通して見ているので暗かろうが明るかろうが私には関係ありません」


「そうか……じゃあ働いてくれ。


 それでチャラにしてやるから」


「分かりました!


 お任せください!」


 ノワールも暗闇には強い方だけどアンデッドモンスターのライムには敵わない。

 みんなにはショウカイの周りを固めてもらい、ライムが意気揚々と突撃する。


 暗がりで時折ランプの光を反射して剣が光る。

 格でいくとデュラハンとスケルトンは全然デュラハンの方が格上である。


 人でもそんなに苦労しない方の魔物のスケルトンはライムが剣を一振りするたびにバラバラに吹き飛んでいく。

 戦いに関してはライムは出来る女子だけどその他についてはなんか抜けたところの多い性格だ。


 真面目で憎めないところはあるけど天然系な人だったのかもしれない。


 少し離れたところまでライムは進んでいき、スケルトンが破壊される音だけが聞こえる。


「終わりました!」


「お疲れ様。


 ここがどこだか分かる?」


「いえ……ですが周りの感じを見ると人工的に作られた場所な感じはしますね」


 ショウカイたちが落ちた場所は部屋であった。

 四角く切り取られていて洞窟の空間のような歪な形ではなく、人工的に誰かが掘って固めたような場所であった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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