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出会い1

 冒険者ギルドに行って依頼完了のサインをしてウィランドが報酬を受け取る。

 長旅の終わりにしてはずいぶんとあっさりしたものだった。


 最後はショウカイの奢りで良い店で食事を取ることにした。

 無礼講でお酒なんかも頼んだのだが、それを誤って飲んだレーナンが酔っ払ってしまった。


 そのおかげでレーナンがショウカイに抱き着き行って欲しくないなどと離れないと言った一悶着もあったけれどこれで無事お別れとなった。


 馬車はショウカイの手には余る代物なのでウルガスにあげることにした。

 売るという選択肢もあったけれど売り先探しや交渉も面倒だし、元々そうするつもりで買ったから惜しくはない。


 これからのウルガスはこの国で活動することになるのだがその前に一大イベントが控えている。

 ノーンのプロポーズである。


 道中冒険者としての仕事もしながらウルガス一行でノーンの恋人のところまで行き、プロポーズの結果を見守る。

 その結果とノーンの恋人次第でどういう風に活動するのかが決まるようだ。


 本格的な拠点が決まるのはもっと後になりそうだ。


 困ったことがあったらいつでも呼んでくれと言ってウルガスは数日前に出発した。


 一方でショウカイはというと。


「そろそろ、そろそろ動かなきゃな」


 怠けていた。

 国を脱出できた安心感と慣れない長旅の疲れ、ウルガスとの別れによる虚無感で、高めの宿のいいベッドの上でダラダラとしてしまっていた。


 なんだかんだ妹のように思えてきたレーナンとの別れは意外にショウカイの中に寂しさを残していった。


 もう一つ理由もある。

 このサモナーという職業、歓迎されたものではないのだ。


 ウルガスと別れてすぐ、仲間が欲しかったショウカイはパーティーの募集をしているところを探して勇気を出して声をかけてみた。

 しかし職業がサモナーと聞くとみな微妙な反応を見せた。


 仲間と顔を見合わせて憐れむような目で断られるのである。

 みな一様に似た反応を見せて、5回目に同じ反応されてとうとうショウカイの心が折れた。


 仲間にしても役立ちそうにないことは理解しているからしょうがないとは思うけどどいつもこいつもショウカイを可哀想なものを見る目で見てくるものだから耐えられない。


「このままじゃダメだな」


 仲間がいないからといって冒険者ができないわけでもなし。

 冒険者としてのランクが最低ランクであることもきっと実力を見てもらうまでに辿り着かない原因の1つでもあるのだろうと自分を慰める。


 どのみちお金は稼がなければいけない。

 いつまでも怠けててはお金も無くなるし、仲間も一生できやしない。


 思い立ったが吉日。ベッドから転がり落ちるようにして無理矢理脱出して立ち上がり、冒険者ギルドに向かう。


 まずはコツコツ仕事してランクを上げていこう。

 壁に張り出された依頼を見る。


 Gランクの依頼は多くない。

 主な依頼は採取系のものが多くドブ浚いや公衆トイレの掃除などキツいけど危険はない仕事もGランクになっている。


「とりあえず……」


 2枚の依頼書を手に取る。


 1つは薬草採取。

 薬草の採取はどこでも一定の需要がある仕事である。


 Gランクで出来る採取の依頼なんて単価が低いのでお金になるものじゃないがランクを上げる手助けになる。

 依頼書に書かれた薬草の名前はチコニソウ。


 チコニソウは低級ポーションの材料となるものでチコニソウは乾燥させて保存しておけるのであればあるだけよいものになる。


 薬草を取って一定量を受付に納めればよいだけのシンプルな依頼。


 もう1つは小魔物討伐依頼。

 討伐となっているが対象は小魔物。


 ウサギやニワトリのような小さい魔物がターゲットでようは狩りをして肉を取ってこいということ。


 どちらも常設依頼といって申し込みの必要もなく成果物を持ってくれば引き換えにお金が貰える。


 簡単そう。

 そう思ってとりあえず2つの依頼書を取ったショウカイは知らなかった。


 常設依頼はある種の難易度が非常に高いということに。


 いつでも誰でも出来る依頼。

 ランクが高かろうが低かろうがみんなやってもよい依頼。


 すでに都市周辺のチコニソウや小魔物は取り尽くされている。

 チコニソウの目利きができる冒険者は大体ランクを上げており、もう別の依頼に移っている。


 よって今は数が少なってしまったチコニソウは探すのが難しく、目利きを教えてくれる人もいないというGランクながら大変難しい依頼になってしまっているのであった。


 ショウカイはそんな事情知るわけないので単に薬草を探せばよいと思って都市を出た。

 詳細鑑定のスキルがあるので目利きできなくても大丈夫だと思っていた。


「1本もない……」


 チコニソウが全く見つからない。

 小魔物も1匹もいない。


 小魔物は食料なんかにもなるしチコニソウも見つけると皆お小遣い感覚で取っていく。

 人がよく通るところには常設依頼のものはないと言っていい。


 もっと遠くを探すしかない。


 ショウカイは都市周辺を探すことは諦めて少し歩いてみることにした。


「こういうところならどうだろ……あっ、あった」


 細かく鑑定で草チェックをしながら道沿いに歩いていると森にたどり着いた。

 危なそうだし他のところに行ってみようと踵を返した瞬間、詳細鑑定の画面が開いて鑑定結果が目に入った。


 チコニソウがある!

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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