表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
202/340

首無し騎士の首はどこ4

「残念ながらバンシークイーンを倒すまでには至らなかったので誰かがバンシークイーンの封印を解かないように見張っている必要があったのです。


 そこで私がその役目を担って多くの人間を撃退してきました。

 私の存在はいつしか噂になり、挑んでくる者もいなくなっていたのですが……


 ある時ある冒険者が来ました。

 非常に強く、有名な冒険者なのですが一度は私が勝って撃退しました。


 そこで相手は考えて入念な準備をして再びやってきたのです。


 バンシークイーンの元に行くにはまず私を倒さねばなりませんが奴らは知恵を働かせました。


 私の頭を盗んだのです」


 ライムが拳を握りしめる。

 油断していたのではない。


 相手が一枚上手であったのだ。


「バンシークイーンの前を離れるわけにいかなかった私は頭を諦めようとしたのですが……


 気づいたら私は理性を失っていました。


 どうなったのかは分かりません。

 ただひどく暴れて、ひたすらに頭を追いかけたことはうっすらと覚えています。


 そして私が私に戻った時、私は見知らぬ地にいました。

 頭もなく、ただ血に濡れた剣を持って彷徨っていたのです。


 今も夜が更けてくると私の意識は闇に飲まれてライムではないデュラハンになってしまうのです。


 これが今話せる私の事情ってやつです」


「……何と言ったらいいか分からないな」


 イマイチそこに至るまでの経緯、ライムがまるでデュラハンという魔物は違う意識を持っているかのように語ることが気になった。


「結局道も分からず、夜になると理性を失ってここに戻ってくると?」


「そうなのです。


 どうしてここに戻ってくるのか全く分からなくて……理性もないので体を止めることもできず、しかしなぜか中には入れませんし」


 それはマーリンが魔物除けの結界を張っているから。


「……私は怖いのです。


 最近私が私でいられる時間が短くなってきているのを感じています。


 このままでは私は……私はただの魔物になってしまう」


「それなら頭を探したほうがいいんじゃないか?」


 頭がなくなって理性を失ったのなら頭を取り戻せば魔物としての本能を制御できるのではないか。

 もちろんライムも同じことを考えていた。


「そのためにヴァルシュゲルフェン城に行くのです。


 私を遠ざけることに成功したなら次はバンシークイーンに挑むはずです。


 あの地に戻ることができれば奴等を探すこともできるはずなのです」


「なるほどね……」


「今後の私に恩が返せるかは分かりません。


 しかしどうか、この私を憐れに思うなら1つ手をお差し伸べくださりませんか」


 膝をついて、無い首を垂れるライム。


「それはいいんだけどさ」


「本当ですか!


 ありがとうございます」


「いいんだけど夜はどうしたらいいの?」


 道案内は可能だ。

 そのお城についてショウカイは知らないけれど有名なら調べて連れていくことができるだろう。


 ただ夜に魔物に精神乗っ取られて暴れると聞いて一緒に行こうなんて思えない。


 デュラハンがどれほどの強さの魔物なのか知らないけどライムの威圧感を見るに弱くはなさそうである。

 寝首をかかれてはたまらない。


「そこはシュシュさんがやってくれます」


「シュシュが?」


「何とワタクシ大活躍である!」


「どうするんだ?」


「夜になったから糸でグルグル巻きにするである!


 こうする事によって朝までライム殿を大人しくさせておくことができたである!」


「……なるほど」


 確かにクモの糸に巻き付けられると身動きは取れなくなる。

 魔物化してしまうことはどうしようもできないので夜の間シュシュの糸で拘束してなんとか過ごそうという話なのである。


「昨晩もシュシュさんの糸のおかげで久々に知らないところで意識を取り戻さずに済みました」


「そうなの……」


「どうですか、ご心配なこともないでしょう?」


 いや、心配だけど。

 しかし戦ったり無理をしないで自然な条件の下でライムを村から引き離すことが出来る。


「はぁ〜、まあお城までご案内だな?」


「ありがとうございます!」


 胸の前で手を組んでぴょんぴょんと飛び跳ねて喜びを表すライム。


「それともう一個聞きたいんだけど、ライムってもしかして女性?」


 ずっと気になっていた疑問。

 ライムの声はどう聞いても女性なのである。


「……どう見たって女性ではありませんか!」


「どう……見た……ら?」


 どこをどう見たら女性になるのだ。

 ショウカイが身につけたって身に余る大きな鎧のデュラハンのどこを見たら乙女感など感じられるのか。


 そう言われて見てみると仕草は女性っぽいがやはり女性と見るのは難しい。


「私はうら若き乙女です!」


「ほうですか……」


 またクセ強魔物が現れたなとショウカイは思った。

 ライムのお願いを聞いてナンタラカンタラ城まで連れて行けば村から離れることにもなる。


 だからとりあえずお願いを受け入れてみたもののもう楽じゃない気配がビンビンにしている気がしてならない。


「分かってますよ……私だって選べるなら女性用のアーマーが良かったのですがこれが1番良いやつだったんです!」


「デュラハンになるのにアーマーが選べるのか?」


「知りませんよ、そんなの!」


「ええっ……」


 歩み寄ろうとしているのにイマイチうまくいかない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ