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村に入れぬ訳4

「ど、どうしたんだ?」


 何が起きたのか分からない。

 周りを見てもただの道。


 引っ張られる要素もぶつかる要素もない。


「いてて……何が起きたであるか……」


「痛ーい……」


 リュックの中から出てくるシュシュたち。


「何があったんだ?」


「分からないである。


 いきなり壁に当たったように前に進まなくなったであるがリュックは前に進むから潰れそうになったである」


「みんなも?」


「シズクいなかったら潰れてたかも……」


「何かありましたか?」


「クゥン……痛いです……」


 シズクだけはなんかちょっとぶにっとしたなぐらいだったがみんな目に見えない壁を感じていた。

 ショウカイも壁にぶつかりはしなかったけれどリュック、正確にはリュックの中のみんなが引っかかったので何かしらの壁があることは分かる。


「ここ、痛いです」


「ありゃあ……ほれ、よしよし」


「クゥーン」


 頭から見えない壁にぶつかったノワールの額は赤くなっていた。

 期待した目で見られるので額を優しく撫でてやる。


「そ、そぉーとである」


 1歩進んでは足を伸ばすシュシュ。

 どこに壁あるのか調べようとしている。


「それじゃいつまでかかるか分かりません。


 えいっ!」


 歩幅の小さいシュシュがそんな慎重に1歩ずつやっていては壁を見つけるのに時間がかかり過ぎてしまう。

 ピョーンとジャンプするシズク。


 ベチャッと空中で何かにぶつかって張り付いたような形になる。

 そのままツツッーっと落ちていく。


 地面から垂直に見えない壁があるようだ。


「ええっ?」


 シズクがへばりついたとこらへんに手を伸ばしてみるが空を切るばかり。


「ぐにに……」


 ノワールが手を伸ばすと見えない壁に阻まれる。

 力を込めて押してみるがびくともしない。


 パントマイムの達人でもない限りノワールを阻む壁がある。

 

「ふんっ!」


 ノワールが振りかぶって壁を殴りつけると鈍い音がした。

 ただそれで壊れたわけでもないようで入れないことに変わりはない。


「スー、ちょっと頼む」


「はいはーい」


 見えない壁に触りながらスーが上昇していく。


「ダメー!」


 結構な高さまで上がってくれたがずっと壁がある。


 シュシュ、ノワール、シズク、スー、みんな入れない。

 逆にショウカイは入れる。


 そのことから導き出される答えは1つ。


「つまり魔物は入れない?」


 縦と同様に横も広く壁がある。

 横方向は緩く湾曲していて丸くなっている。


 もしかしたらこの壁は何かを囲むように丸く展開しているのではないかとショウカイは予想した。

 様子を見にいくように頼まれた村はこの先。


 まさかとは思うけど村を守るためにこの壁が張られているのではないか。

 騒動の予感に胸がざわつく。


「どうするであるか?」


「うーん、どうしよう……」


 悩むところが多い。

 見てこいと言われただけで報告の義務もない。


 行かなくてもいいといえば行かなくてもいい。


 しかし安くしてもらい、引き受けたので行かないのもなんだか悪い気がする。


 行くか行かないか、これがなんの目的の壁かによる。

 一般に考えるとこれは魔物を中に入れない結界のようなものだ。


 そうすると村に危険が迫っていると考えられる。

 こうなると2つの不安がある。


 ショウカイ1人じゃ不安ってこととみんなを外に残していく不安である。

 多少強くなったとはいってもショウカイ1人では高が知れている。


 今ならせいぜいノワールの疾走スキルを借りて全力で逃げるぐらいしかできない。

 戦いになったらとてもじゃないけれどショウカイでは厳しい。


 そしてみんなを外に残していくことの不安。

 バレるかも見つかるかも、ではない。


 そこら辺はみんなも分かっているので見つかることはないと信じている。

 問題なのは脅威から守らなきゃいけないことの意味はこの壁の外に脅威がいるっていうことである。


 強いから逃げるにしても戦うにしても心配することは少ないけれど強い相手だった場合非常に心配である。


 これが村を守っている時の不安なのだけれどその考えが逆だった場合、ショウカイは更なるピンチに自ら首を突っ込むことになる。

 魔物が入らないようにする結界ではなくて、魔物が出ないようにする結界だったら。


 中に強力な魔物がいて、誰かがそれを封じ込めているとしたら中に入っていくのは自殺しに行くようなものになってしまう。


 道に見張りもなく魔物を封じている可能性は低いけれど無い話ではない。


「うーーーーん……」


 どうしよう。

 情報がなさすぎて判断できない。


 この魔物を防ぐ壁に娘夫婦から連絡が来なくなった理由がありそうな気はするが。


「そうだ。


 ちょっと試してみるか」


「ご主人様、私たちを置いていくのです……か?」


「おっ、成功した!」


 壁の中に入ったショウカイ。

 ノワールが付いて行こうとするが壁に阻まれ進めない。


 置いて中の様子でも確かめにいくのかと思った瞬間、ノワールはショウカイの目の前に現れた。

 ショウカイには数少ないスキルとして召喚スキルがある。


 自分の魔獣となった魔物を呼び出せるスキルで離れていても距離など関係なく呼び出すことができる。

 物は試しと中でノワールを呼び出してみた。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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