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春の風は羨ましい1

 タウモーズについたがここはあくまでも通過点に過ぎない。

 冒険者ギルドに寄ってショウカイは地図と睨めっこする。


 ビクニシアンに行きたいのだけれどユニシアを経由していくのはリスクがある。

 絶対に入りたくない。


 ビクニシアンはユニシアの北側にある。

 リテュウスはユニシアの南東にある。


 つまりユニシアを通らずにビクニシアンに行くにはユニシアを迂回して行かなければいけない。

 候補となるルートはいくつもある。


 これまでは特に避けるべき道もなかったので短かったり大きめな都市を通ればよかった。

 ソリアなんかに相談もできたし、冒険者としてショウカイより長いソリアは適切にアドバイスをくれた。


「うーむ……」


「あっ、ショウカイさーん!」


「ん?


 おっ?」


 地理にも詳しくないし地図から地形や都市の規模などを見抜く能力はショウカイに欠けている。

 とりあえずいくつかのルートを記入してもらった簡易的な地図の写しを作ってもらってどのルートがよさそうか人に聞いてみようと思った。


 こういった時にはまものーずは非力である。


 仕事が立て込んでいて2、3日かかると言われてしまったので軽くどんな依頼があるか見ていこうと眺めていたら後ろから抱きつかれた。


 確認しようとするけど背中に顔を埋められて見られない。

 けれど少し離れたところにいる困り顔の人たちを見てその正体は分かった。


「誰ですか、これ」


 雑に襟を掴んでノワールがそれを引っぺがした。


「だ、誰!?」


「友達だよ……ノワール」


 懐かしい顔ぶれ。

 困った顔をしていたのはウルガスのメンバー。


 そしてショウカイに抱きついたのはレーナンであった。


「久しぶりだね、レーナン」


「お久しぶりです……あの、降ろしてほしいなぁ」


「ノワール?」


「ご主人様に抱きつくようならこのまま投げますよ?」


「大丈夫だから、たぶん」


「……わかりました」


「ふぎゃっ!


 ちょっといきなり手を離すことないでしょ!」


 ノワールがパッと手を離したから床にお尻から落下したレーナン。


「レーナン!


 ……久しぶりの再会なのに申し訳ありません」


「久しぶりですね、ウィランドさん」


「はははっ、相変わらずでお恥ずかしいです」


 レーナンが走り出して依頼を見ている男性に抱きついた時には相当焦った。

 それがショウカイだと分かってよかった。


 よく後ろ姿で分かったものだ。


 獣人の褐色美人が冷たい視線をレーナンを始めとしたウルガスのみんなに向けている。

 やや特殊そうな人だけどどうやら旅の仲間が出来たみたいでウィランドは喜ばしく思っていた。


 ウィランドに一緒に食事でもどうですかと誘われてお昼を共にすることにした。

 ショウカイに近づこうとするレーナンをノワールがブロックして、若干険悪な雰囲気がある。


「ええと、こちらがノワールです。


 俺の旅の仲間です」


 ウルガスがよく来るというお店で食事することになった。

 ショウカイの右隣にノワール、そして左隣にレーナンが座る。


「……お綺麗な方……イテッ!」


「ウィランド……」


 惚けたようにノワールを見つめてしまったウィランドの足をジーが踏みつける。


「……すまない」


「皆さんもここに来ていたんですね?」


 確かノーンの恋人がいるからとかそんな話で、タウモーズからも離れていったと思ったのに。


「ノーンの嫁さんが理解のある人でな」


 ノーンの恋人がいたのはそれなりに田舎の方だった。


 田舎でBランクであればかなりの高ランクで周りからもありがたがられる存在。

 けれどBランクにふさわしい仕事の内容と量が田舎にあり続けるかといえばそうではない。


 食うに困らないが低ランクの厄介な仕事がウルガスに集中することになった。

 そこで大きな都市に拠点を構えたいとなったが問題はノーンたち。


 せっかくプロポーズ実って結婚することになったのに2人の仲を引き裂くことはできないと考えていた。

 どうするか悩んだのだがノーンのお嫁さんに思い切って話してみるとあっさりと解決した。


 大都市への移住に賛成してくれたのだ。


 結局は居住や生活の利便性、依頼の多さや内容から首都であるタウモーズに来ることになり、ここを中心として活動を続けていた。


「それと……」


 ウィランドが熱のこもった目でジーを見る。


「ああ……なるほど」


 すぐに察するショウカイ。

 そんな雰囲気があるのは別れる時から感じていたから時間の問題だと思った。


「おめでとうございます」


「ありがとう。


 君も冒険者を続けていて、素敵な仲間が出来たようだね」


 態度は悪いがそれはずっとショウカイのことをレーナンから守ろうとしているからだとウィランドは気づいた。

 ショウカイとノワールの関係性は分からないけれどノワールがショウカイを大切に思っていることは伝わってくる。


 あまり良く思われにくい獣人が堂々と身体的特徴であるミミを晒している。

 堂々とするだけの胆力や実力があるのだろうと考えられた。


「改めまして、ウルガスという冒険者パーティーのリーダーをさせてもらっているウィランドと言います。


 ショウカイさんとはちょっとした縁がありましてこうしてお声をかけさせていただきました。


 よろしくお願いします」


 ウィランドが丁寧に頭を下げる。

 レーナンのおかげで不機嫌オーラ全開のノワールに対しても大人の対応。


 流石である。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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