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行くべき場所1

「随分とお時間かかりましたね……」


「あはは……」


 いつかとったストーンリザードの尻尾は腐ってしまったので捨てた。

 もう一度ストーンリザードをサクッと狩り、ワダエの冒険者ギルドに提出したショウカイ。


 呆れ返ったような受付のお姉さん。

 ほとんどの冒険者はこれぐらいならすぐにでも終わらせてくるのに一体どれだけの時間がかかったのか。


 制限時間があるわけではないから時間がかかっても構わないのだけど前例がないほどの時間を使っていたので冒険者を諦めてしまっていたのだと思っていた。


 ストーンリザードを倒すのにテラリアスナーズとマギナズに出会ってスーハッフルスに行った。

 その後またストーンリザードを倒そうとしてノワールの進化が始まった。


 オーガのお願いを受けてフェアリーイーターを倒しに行くことになった。

 紆余曲折あってSクラス犯罪者とも戦った。


 ストーンリザードを倒すために犯罪者組織とSランク犯罪者とSクラス魔物を倒さなきゃいけなった。


 受付のお姉さんが呆れるほどの時間が流れるのも当然の話である。


「ショウカイさん……一体何をしてきたのですか?」


「何のことですか?」


「……それではショウカイさんはCランクに昇格です」


「えっ?


 な、なんだか一気に上がりすぎじゃ……」


 ストーンリザードを倒してくるのはEランク昇格のためだったはず。

 なのにどうしていきなりCランクにまで昇格するのか分からない。


「はぁ……」


 デカいため息をつく受付のお姉さん。


「フェアリーイーター討伐が認められました。


 それにつきまして特例でCランクまで昇格となりました」


「あー……」


「もう、ストーンリザードを放っておいて何やってるんですか!」


 ショウカイの情報を見て受付のお姉さんはとても驚いた。

 Sランク冒険者のソリアと魔塔の魔道士と協力してフェアリーイーターを倒したことになっていた。


 ソリアの証言によるとショウカイがフェアリーイーターを倒した人なのだが体面的な問題もあってソリアがメインで戦い、ショウカイはサポートとして戦ったことになっていた。

 サポートだろうとメインだろうと、ともかく低ランク帯で出来ることではない。


 相応の実力はあると認められて、飛び級的にランクを上げることにした。

 ただ実績もなく、ソリアの証言しかないために正確にショウカイの実力を把握しきれない。


 そこで周りの批判も少なく、上げやすいCランクまで上げることにした。

 Sクラス犯罪者ジュードのこともあるけれど、それもまた同様である。


「い、いやぁ……ははっ」


 何してるんだと言われても進んでフェアリーイーターと戦いに行ったわけじゃない。

 なし崩し的にしょうがなく戦うことになってしまったのであり、笑って誤魔化すしかないショウカイであった。


 ーーーーー


「こりゃ成長期だな」


「成長期……?」


「本来アラクネってのは大人の姿が通常で、あんな風に子供の姿であることはないんだ」


 ショウカイがCランクに昇格を果たして、みんなとお祝いしようと色々買ってワチカミの森にきていた。

 ここならみんなものびのびと出来るし、ワチカミに挨拶でもしようと思っていた。


 ワチカミの家に到着したらミクリャがいきなり糸を吐き出した。

 ブワッと真っ白な糸に包まれてミクリャは真っ白な繭になった。


 ショウカイは慌てたが特にミクリャに危ないことはないようでみんな冷静。

 訳がわからなくてワチカミに聞くとこれはミクリャの成長期らしい。


 ミクリャも本来は大人の姿で生まれてくる、あるいは小さい姿の時はほんの短い間だけですぐに大人になってしまうはずであったらしい。

 しかしサルモスの襲撃にあったアラクネはまだ生まれていなかったミクリャに力を託してシュシュに預けて逃した。


 環境が環境だけにミクリャは非常に早いタイミングで生まれることになってしまった。

 動けない状態が危険であることを本能的に察知して早熟であっても待つよりも動ける方がいいと早くに繭の中から生まれ出てしまったのだ。


 順調に大きくなってきたミクリャだったのだけど更なる成長のために進化にも似たような安定した状態で体を変化させることが必要だった。

 ここまではそうしたことをしても安全な状況ではなかった。


 他の人も一緒だったし繭にこもって安全な場所とは言いにくかった。

 ワチカミの森でワチカミのところなら安全安心。


 ミクリャは成長するために繭にこもってしまったのである。


「まあ、状況が状況だったからミクリャはかなり特殊なアラクネだ。


 どうなんのかは私でも正直分からない」


 いつこの繭状態が終わるのか、終わったらどうなるのかも予想がつかない。


「ここなら安全だし、離れててもミクリャなら呼び出せんだろ?


 守っといてやるから安心しろよ」


「ありがとう、ワチカミ」


「…………んー」


「……どうした?」


「なんか、可愛くなったな!」


「ちょ、ワチカミ!?」


 ミクリャの繭の前で話していただけなのにワチカミにギュッと抱きかかえられるショウカイ。


「わっかんないけどお前を見てるとドキドキするな」


「なんだよそれ……」


「さあな、ただ人間なんて嫌いだけどお前は特別ってことだ」


「まあ、あんがと。


 だけど下ろして……」


 ワチカミにしても、マギナズにしても魔物状態の時はショウカイよりも体高がかなり高い。

 抱きかかえられるとショウカイは足がつかずブラリと空中に浮き上がった状態になってしまう。


 魔物交感力、ショウカイはこのスキルの効果を未だに知らなかった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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