青色魔塔を守るものの正体3
軽くウインクしてみせるショウカイ。
どうにも門番さんのことを嫌いになったり、怒るような気にならなかった。
ショウカイは門番さんに自分の職業のことを教えてあげた。
そしてみんなと出会い、絆を結ぶことになった話も改めてショウカイの口から話した。
「……なるほど、なるほど」
ゆっくりとうなずいた門番さん。
「お主、変人じゃの」
「…………感想がそれですか?」
何をいうかと思えば酷い言い草だ。
「魔物を助け、心を開くから魔物も心を開く。
言うが易しだが行うが難し。
出来る人がおってもそれがサモナーの職業であることなぞ、まずありえはせん。
魔物を魔物として愛することができる、これが変人でなくてなんと言う?」
「深い愛情を持ってるんですよ」
「だとしても変人に違いない」
笑う門番さん。
こうして話してみるとみんなとの出会いは困っているところを助けたら仲間になったという形である。
魔物も人を恐れている以上そうしたきっかけがないと近づくこともできない。
「変人か……」
まあ、それでもいいかと思う。
変人で何が悪い。
みんなとこうして仲良くできるなら変人で構わない。
ソリアやトリシアのように魔物といてもなんとも思わない人もいる。
これが変だって言うならそれでいいのさ。
「ふむ、どのようなものであれ、己が己らしく、そしてそれが好きならそれでよい。
ワシの知識は満たされた。
感謝しよう、魔物の友よ」
「門番さんの友達にもなれましたか?」
「ふぉ?
ほっほっ!
そうじゃの、久方ぶりの人間の友じゃな!」
予想外のショウカイの言葉を聞いてなぜか門番さんは嬉しく感じた。
不思議なもので知れば知るほどショウカイのことを好きになっていくようで危険な男であるとも思った。
「襲ったことと色々と聞かせてもらったこと、大きな借りが出来たな。
何か欲しいものはあるか?」
「結構その質問されるんですけど困るんですよね……
今俺は恵まれすぎているぐらいでとてもじゃないけど欲しいものなんてないんです」
欲しいと思っていた仲間はもういる。
お金もまだまだ余ってるし、剣やカバンはこの間もらった。
今欲しいものと聞かれても本当に思いつかないのだ。
「むむ、そうか……
それはよいことじゃな」
あまり欲望がないというのは悪いことではない。
なさすぎるのもダメではあるが欲望がないのではなく、満たされているから今はないという話なら良いことだろう。
「そうですね」
「何はともあれ魔塔に害をなさぬなら問題はないじゃろう。
バレたら大騒ぎになるからバレぬように頼むぞ」
「分かりました」
「お主への借りはいつ返そう。
困ったら青色魔塔に来るとよい。
ワシはいつでもここにおる。
あまり長居すると皆が心配しておるな。
部屋に戻してやろう」
意外とドラゴンもそこらへんにいるもんだな。
そんな罰当たりなことを思いながらショウカイは気づけばトリシアの部屋に戻っていた。
「……まあ1人ぐらいなら大丈夫じゃろう」
部屋にはいきなり消えて心配していたソリアとトリシア、そしてオルテがいた。
部屋に戻されたのは当然ショウカイだけではない。
その場にいたノワールたちも同じく部屋に戻されていたのである。
問題はオルテはショウカイが魔物を連れていることを知らないことである。
急に目の前に多くの魔物が現れたオルテは1人悲鳴をあげていたのであった。
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