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青色魔塔を守るものの正体2

 門番さんを襲ったのは人だからではなく、ショウカイを攻撃したから。

 仮に何かの方法で魔物を従えているなら魔物が本気で怒って門番さんに襲いかかる理由がない。


 それになんの予備動作もなく魔物を呼び出すことは簡単なことではない。

 ショウカイからはそれほど高い魔法の素養を感じない。


 物や生物を瞬間移動させる魔法は簡単な物ではなく、道具を使った様子もなく魔物を呼び出せるはずがない。

 そうすると職業としての能力であるならば可能性がある。


「ならあなたの正体を教えてください」


 ノワールの攻撃を腕一本で防ぎ、灼熱の炎に包まれても全くの無傷でいられることなんてむしろ門番さんの方が怪しい。


「……ワシはこの青色魔塔を守るもの。


 ワシのことを……ブルードラゴンと呼ぶ者もいる」


 青く全身を光らせる門番さんが大きくなっていく。

 美しいブルーのウロコを体に纏わせた巨大な竜の姿になった。


 巨大化したノワールよりもさらに巨大で高い天井に頭が着きそうになっている。

 アースドラゴンであったテラリアスナーズはどことなくトカゲ類のような雰囲気がありながらもカメっぽいドラゴンであった。


 しかし門番さんはザ・ドラゴン。

 トカゲを思わせるような体をしながらもより力強さを感じさせ、生えているウロコは一枚一枚が工芸品のような美しさがある。


 そしてアースドラゴンとの大きな違いはやはり背中に生えている大きな翼であろう。

 青白い皮膜を持った立派な翼もまた美しい。


「……お主変わっておるな」


 目の前にドラゴンが現れれば大抵の人は恐怖を感じる。

 立ちすくむか逃げ惑うか、気絶するか泣き叫ぶかは人によるが目を輝かせてドラゴン可愛いなどと思っている人は滅多にいない。


 少なくとも門番さんの過去には1人もいなかった。


「ふむふむ……」


 そして門番さんは感心していた。

 ドラゴンだと明かし、ドラゴンの姿になってもショウカイの周りにいるみんなは怯むことがない。


 むしろショウカイを守ろうと強い敵意をドラゴンに向けている。

 いかに強くなろうとドラゴンに敵うはずもないのに。


 無理矢理従えている魔物ではない。

 非常に慕われている。


「みんな、待って」


 いつの間にか体にかかっていた圧力がなくなっている。

 門番さんの綺麗な金色の瞳からも敵意は感じず、優しい眼差しに見えた。


「……誤解は解けましたか?」


「お主が何かに危害を加えようとしていないことは分かった。


 しかしなんの職業ならば魔物を従えられる?」


 長い時を生き、様々な人や物、知識が集まる魔塔にいても分からなかった。

 魔物を従えられる者がいたなら時代のどこかで大騒ぎになっているはずだ。


 ドラゴンが小さくなっていき、また老人の姿に戻る。


「俺はサモナーという職業です」


「サモナー?


 ……サモナー、サモナー、サモナー」


 サモナーがどのような職業だったのか思い出そうとするが歳をとったせいか思い出せない。

 いや、そもそもサモナーの話をほとんど聞いた覚えがない。


「どうですか?」


 何かにつつかれて振り返るとシズクだった。

 シズクはショウカイがドラゴンに目を輝かせていることを察知した。


 一目見たドラゴンの姿を参考にシズクはドラゴンの形を再現してみせた。

 水饅頭みたいな半透明の体がざっくりとドラゴンの形を取っている。


 門番さんのドラゴンはしっかりと体の角が立っていてピシッとした感じがあったがシズクのドラゴンは全体的に丸っぽく、ちっこくて可愛かった。

 撫でても形が崩れず嬉しそうな顔を浮かべる。


 水ドラゴン可愛い。


「ダメじゃ。


 ワシも分からん」


 特に研究もなされていない職業なので門番さんの記憶にもなかったのだ。

 過去を探してもサモナーが魔物と仲良くなって従えたなんて例はないに違いない。


「約束があってここを守っておるが知識を満たすこともワシのしたいことであるからここにおる。


 どうじゃ、1つ教えてくれんか。


 どうやって魔物を従えておる?」


「いきなり襲いかかってきたドラゴンに教えるとでも?」


「……教えなければどうなると思う?」


「簡単です。


 あなたはこれからきっと人よりももっと長く生きるでしょう。

 ですがこれまでで俺のような人はいなかったんでしょ?


 つまりあなたの疑問はずっと解決することができなくなる」


 脅しには脅しで対抗する。

 多分ドラゴンに傷1つ付けることは叶わない。


 逆上して襲われたらひとたまりもない。

 だけど知りたいことを知るのに脅して口を割ると思ったら大間違いだ。


「ふふ、はっはっはっ!」


 門番さんは笑った。

 不思議と響き渡るような声を上げて。


「ふー……面白いのぅ。


 話せば話すほどお主に好感を持ってしまう。


 これもお主の能力かの?」


「それも知りたいですか?」


「そうだ知りたい。


 ドラゴンに恩を売る機会などそうないとは思わんか?


 義理堅いのがドラゴンじゃ、必ず受けた恩は返そう」


「実はドラゴンに恩を売ったことはあるからな」


「なんじゃと?」


「……これも、知りたいですか?」


「くぅ……あまり年寄りをいじめんでくれ」


「分かりました。


 大きな貸しにして教えて差し上げますよ」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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