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頑張って直そう3

 別に悪い変化じゃない。

 心配になるぐらいの引っ込み思案だったトリシアが明るくなって自信を持ったことは良いことなのだけど、昔から自信を持つように口酸っぱく言ってきたオルテじゃなくて別のところで変わったのが悔しかったのだ。


「まあいい……それで何の用で呼んだんだ?


 彼氏のお目見えじゃないだろ?」


「いいなら手を離して……」


「ふん!」


 しばらく自分に優しい人ばかりだったからキツめに当たられて対処が出来なかった。

 女性の力なので多少の息苦しさを感じたぐらいだったがこんなヤンキーの絡まれ方初めてだ。


「すいません……悪い子じゃないんです」


「いいから用件を言え!」


「分かりましたよ。


 ぬいぐるみを直してほしいんです」


「……はぁ?」


「ふっふっ、お二方、なんとオルテはお人形作りが趣味なんです!」


「ばっ……!」


 なんとギャップのある趣味だろうか。

 一瞬でトマトのように顔を真っ赤にするオルテ。


 親友であるトリシアしか知らないようなオルテの趣味が人形集めと人形作りであった。

 元は集めるだけだったのだが手直ししたりしているうちに自分でも作るようになっていた。


 実はローブや白衣を着ないのも可愛くないからであった。


「お部屋の中もお人形がたくさんあってとっても……」


「あああ!


 ばっかやろー!」


「可愛……ギュン!」


 顔を真っ赤にしたオルテのボディーブローがトリシアに決まる。


「ててて、てめえ、何晒しとんじゃあ!」


 晒されてるのはオルテの趣味の方である。

 隠してるわけでもないけど誰かに言ったこともない趣味の話。


 他の人がいると分かってちょっと虚勢を張って突っ張った感じにして舐められないようにしたのにこんなではイメージ丸崩れではないか。


「……笑えよ」


「えっ?」


「おかしいだろ?


 こんな女がお人形ちゃん大好きだって……


 笑えよぉ!」


 またなんか濃い人だなとショウカイは思った。


「いや、笑わないよ」


「人形が好きってだけなんで笑うことがあるんですか」


 ショウカイも可愛いものが好きだ。

 ノワールのモフモフとかシズクのプニプニとか好きだ。


 ミクリャも可愛いし、最近シュシュもなんだか若干可愛く見えてきた。

 魔物が可愛いなんて言ったら周りの人はドン引きすることだろう。


 別にヤンキーっぽく振る舞っている子が人形好きで何が悪いというのだ。

 

 ソリアもオルテを笑うつもりなんてない。

 特に趣味のない自分からするとむしろ羨ましいぐらいに思える。


 からかうような表情もしない2人。

 オルテにとってはこれを脅しに使われた簡単なことぐらいはやるぐらいのことなのに。


「お前ら……いい奴だな」


 鼻の下を指で擦りながら照れ臭そうに微笑むオルテ。


「よし、私にできることなら手伝ってやる!」


 早めの和解を迎えて、オルテが協力してくれることになった。

 どっちかっていうとオルテの方がいい奴っぽそうな感じがすごくある。


 とりあえずオルテに簡単に事情を説明してテディベアを直してほしいことを伝える。

 もう趣味がバレてしまったオルテは二つ返事で引き受けた。

 

 可愛いなこれなどとブツブツ言いながらテディベアを確かめる。


「うん……直すのは出来そうだ。

 大きくは裂けてるけどひどくは裂けてない。


 縫い合わせればちょっと傷跡が見えても綺麗になるだろうよ」


「それは良かった……」


「んで、これを中に入れるって?


 …………うーん、やったことないからどうなるかは私でも分からないな。


 あとはもう1つ必要なものがある」


「な、なに?」


 ここに来てまだ必要なものがあるなんて。

 また大変なものだったらどうしようとみんなに緊張が走る。


「糸が必要だな。


 見たところ全部魔物の素材で出来てる。

 だから糸も魔物の素材で、私は魔物の素材で出来た糸なんか持ってないからな」


「ちなみに魔物の素材で出来てる糸って?」


「んーとな、分かりやすいのは蜘蛛種の糸かな?


 他にも色々とあるけど代表的なのはそういうのだね」


「…………なるほど」


「なんだよ、みんなして変な顔して」


 ショウカイとソリアとトリシアは顔を見合わせる。

 心当たりがあった。


 3人は糸と聞いた瞬間からなんとかなるんじゃないかという気配を感じていた。

 クモの糸と聞いて思わず笑みがこぼれる。


 他の魔物の糸が必要ってなら話は別だが蜘蛛種の糸なら全く難しくない。

 それどころかいくらでも用意できる。


 オルテには準備がてら1度部屋に戻ってもらい、ミクリャとシュシュに出てもらう。

 適当な棒を用意してそこに糸を出してもらって巻きつける。


 道具を持って戻ってきたオルテとまだ糸巻き作業が終わっていないのでドアを押さえて入れられないトリシアの押し問答はあったけれど糸も用意できた。


「ではオルテが直している間に私は師匠の残した資料を解析してぬいぐるみにかけられた魔法を再現してみます」


 テディベアは直して完成、全てが終わりではない。

 このテディベアは実はゴーレムであって魔力を込めると込めた人についていくという機能があった。


 テディベアが破損した時に魔法も破損してしまったためにその機能も再現しなければならない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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