ぬいぐるみも忘れちゃいない3
まずスーが目をつけたのはテーブルの上に置かれたお菓子。
「ええと、この子にお菓子あげてもいいですか?」
「構わん、好きにしなさい」
がっつくような真似はしない。
フラフラとお菓子の前に降り立ったスーは手に持っていた何かをポイと捨てるとお菓子の前に座って上目遣いにショウカイに確認する。
「いいってさ」
「わーい」
人が持つと指先でも持てる大きさだが妖精のスーが持つと両手でしっかり持たなきゃいけない。
「この子は一体なんだい?」
ゴーディアヌスはスーをジッと見ている。
「この子は妖精のスーです……」
「なるほど…………可愛いな」
表情には出ないがゴーディアヌスも可愛いものは嫌いではない。
魔物の素材の研究に入ったのも魔物をよりたくさん見れるかもしれないかと思ったからである。
「どれ、これも食べなさい」
「ありがとう!」
甘い物好きなゴーディアヌスが自分のものをスーにあげる。
言葉は通じなくても笑顔を浮かべるスーを見れば喜んでいることは分かる。
目を細めるゴーディアヌスを見て、トリシアが驚いている。
「どうやって妖精の粉を集めてきたのか気になっていたがそういうことだったのか」
「そういうこととは?」
「君は妖精使いなのだな?」
妖精といれば嫌でもその結論に達する。
妖精は人と敵対しないものではあるがそれほど友好的な種族でもない。
人と行動を共もしないし、人前に出ることも好みはしない。
そんな妖精が一緒にいることの理由で思い当たるものは1つ。
トリシアもソリアも職業は分かっているしとなるとショウカイが妖精に関わる職業であることが予想できた。
そしてそんなもの妖精使いぐらいしかない。
「妖精と交信できるのであれば妖精の粉を貰えることも納得だな」
「まあ……ははは……」
妖精とも話せることは間違いないので笑っておく。
こうしていても妖精使いなことが言いたくないだけだとゴーディアヌスは考えた。
「そいで、スー」
「なんでしょうか?」
「これ、何?」
ショウカイはスーがリュックの中から出てきた時に持っていた黒い細長い何かを摘み上げた。
何かの毛のようにも見えるそれがショウカイのリュックのどこにあったのだろうか。
「……なんでしょうか?」
「ええっ?」
「ちょっと待ってください」
スーはショウカイのリュックの中に戻っていく。
しばらく中でガサゴソと音がして、スーが黒い何かの塊を持って出てきた。
それぐらいの塊になると何となく予想がつく。
「ま、まさかこれって……」
「ノワールさんの毛です」
「……なんで?」
妖精と話せるのはほんとなんだなと思いながら一体何を話しているのだと疑問に思わずにはいられないゴーディアヌスはスーの持つ黒い塊に目を向けてみるがそれが何なのか分からなかった。
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