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意外なる天敵2

 潰した目が再生していた。

 危険を察知したソリアは急ブレーキをかけて剣を体の前に出す。


 直後衝撃がソリアを襲い、地面と並行に飛んでいく。

 ソリアが気づくのが早くて剣で受けられたので怪我をすることはなかったが腕がひどく痺れる。


 ノワールの噛み跡ももうどこだったのか分からない。


「ショウカイさん」


「スー!?


 ここで何してるんだ」


「お伝えしたいことがあります」


 ノワールとソリアが中心になってフェアリーイーターと戦うが圧倒的な回復力に任せた反撃を繰り返してこちらのダメージと疲労ばかりが溜まっていく。


「あの脅威的な回復力ですが私たちの仲間が犠牲になっています」


「どういうこと?」


「きっとお腹の中にいる妖精の魔力を使って回復しているのです」


 フェアリーイーターの回復力は魔力によるもの。

 その魔力は生まれ持ってのものもあるがあれほどの早さで回復していくほどなら食べられた妖精たちの力を吸収して回復力を支えている。


 妖精の力がある限りフェアリーイーターの傷は治り続けて倒すことは不可能。


 そしてそれが問題である。


「このままではみんな死んでしまう……」


 力を吸収し尽くされた妖精はどうなるか。

 当然全ての魔力を持っていかれたら妖精は死んでしまう。


 フェアリーイーターの回復力がなくなるまで攻撃しなきゃならない。

 けど回復力がなくなった時、それは囚われた妖精が全て死んでしまったということになる。


「どうしろってんだ……」


「ショウカイさん!」


 フェアリーイーターがスーに気づいてしまった。

 新たな回復のためのエサがそこにいる。


 右手を伸ばして地面を掴み、引き寄せるようにして加速したフェアリーイーターは瞬く間にショウカイと距離を詰めた。


「スー、逃げろ!」


 スーを捕まえようとするフェアリーイーターの前に立ちはだかる。

 退かないという強い意思。


 及び腰になればそれだけ刃は鈍る。


 邪魔をするショウカイを退かそうと拳を突き出して殴りつける。

 剣に魔力を込める。そして真っ直ぐに上から振り下ろす。


 フェアリーイーターの指は4本。

 3本が並び、1本が親指のようにやや離れていて握った拳は人のように丸みを帯びている。


 指だけでも相当に太い。

 そんな指が2本切り飛んだ。


「ご主人様に、近づくなぁ!」


 熊公の切れ味の良さを最大限に活かした一太刀。

 ショウカイが作った隙にフェアリーイーターの背中に噛み付いたノワールがお返しとばかりに持ち上げて地面に叩きつける。


 妖精のことを考えると攻撃しちゃいけないが攻撃しないわけにはいかない。


「氷華剣!」


 ソリアが剣に属性を持った魔力をまとわせる。

 剣の周りの温度が下がり、ソリアの吐く息が白くなる。


「再生するなら、再生させなきゃいい」


 再びソリアが目に剣を突き刺した。

 そのままさらに剣に魔力を込めるとソリアの得意属性である氷属性の魔力が放たれて剣の周りが凍りつく。


 目的はダメージを与えることではない。

 フェアリーイーターに魔法ダメージの効果が薄いことは知っている。


 けれど魔法を無効化するのではなく魔法に対する抵抗力が高くてダメージを受けないという話である。

 凍らないとか炎の火傷を負わないとかそうした能力ではない。


 ソリアの魔力によって目が中から凍りつく。

 凍ったところで痛みは少ないだろう。


 しかし凍ってしまえば回復するのを妨げることができる。


「……退け!」


 危機を察したソリアが大きく飛び退いた。

 フェアリーイーターの浅黒い肌が赤みを帯びて、雄叫びを上げる。


 やたらめったらと腕を振り回して近づくことができない。


 まず残った目に映ったのはノワールだった。

 足ではなく腕を使ってノワールに近づいたフェアリーイーターは腕を振り回して攻撃する。


 巨大な腕が唸りを上げてノワールに襲いかかる。

 ショウカイでは避けられない速さの攻撃をノワールはかわして距離を取ろうとするがフェアリーイーターは巧みに腕を使って移動してピタリとくっついて攻撃を加え続ける。


 あの図体でどうやって妖精を捕らえていたのかよく分かる、フェアリーイーターの素早さ。

 腕の力で移動する荒技なのにノワールが逃げきれないほどの速さがあって小回りも効いている。


「ソードキング改、やっちゃってください!」


 トリシアがより多くの魔力をソードキング改に送り込む。

 とんでもない速さで移動するノワールとフェアリーイーターに追いついて、右手の刃でフェアリーイーターを切り付ける。


 ノワールにばかり負担をかけられないと頑張るソードキング改であったが羽虫のようにまとわりついてくるソードキング改にもフェアリーイーターはイラついていた。

 ノワールを押し潰そうと振り下ろした手で地面を掴んだ。


 そのまま逃げるノワールを追いかけると見せかけた。

 地面を掴んでノワールの逃げる方に加速したフェアリーイーターだったがそのまま地面を離さないで逆方向に戻った。


 腕力と腕が痛んでもすぐに治る回復力がなせる急転回にソードキング改がフェアリーイーターと正面に向き合うことになった。


 地面を掴んだのとは逆の腕を振り下ろす。

 追いかけようと加速していたソードキング改は止まらない。


「ソードキングー!」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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