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意外なる天敵1

「あれがフェアリーイーターですか……」


 遠くからフェアリーイーターの姿を確認する。

 思ってたより魔物。


 ショウカイが知っている魔物は基本的に動物に近い存在だった。

 ミクリャみたいな人柄とかシズクみたいなのもいるけど魔物って存在は前の世界の動物がより進化したような存在であることが多かった。


 開けた草原の真ん中でフェアリーイーターは寝ていた。


 フェアリーイーターの姿はショウカイからすると不思議だった。

 頭身で言うと1頭身。


 頭という独立した部分はなくてゴツゴツとした丸い胴体の真ん中にそのまま顔がある。

 胴体には短い足があって口が大きく、凶暴そうな犬歯が見える。


 胴体横から体の半分ほどの太さもある腕が長く伸びている。

 広げた腕は体高よりも遥かに長くて力強そう。

 

「大丈夫か、ピー、スー」


「だ、大丈夫……」


「あなたがいれば大丈夫」


 フェアリーイーターのいる場所までの案内役としてピーとスーが名乗りを挙げてくれた。

 大丈夫とは口では言っていても恐怖は拭えない。


 ショウカイの後ろに隠れるようにしてフェアリーイーターの様子を伺っている。


 バレないように遠くから見ているからスケールが分かりにくいが、胴体だけでもショウカイより大きい。

 腕の太さだけでショウカイぐらいはあるのではないか。


「ノワール」


「はい」


 大きくなったノワールの背中にまたがる。


「本当はご主人様以外乗せないのですがご主人様のお願いですからしょうがなく乗せます」


 ノワールの背にはソリアとトリシアも乗る。

 作戦は単純明快。


 正面から奇襲する。


「行くぞ!」


 ノワールが地面を蹴って走り出す。

 一瞬でトップスピードに乗ったノワールが一直線にフェアリーイーターに向かう。


 何かが高速で近づいてくる気配がする。

 フェアリーイーターがノワールの接近に気づいて起きあがろうとした時、ノワールは飛び上がっていた。


 上げた前足を振り下ろして思い切りフェアリーイーターを押さえつける。

 起き上がりかけたフェアリーイーターは地面に叩きつけられて、奇妙な声を上げた。


「ノワール!」


 フェアリーイーターは上に乗ったノワールを鷲掴みにすると無造作に放り投げた。

 ショウカイたちはすでに降りていたので無事だった。


 ノワールは空中でクルリと回転すると着地の体勢を取る。

 地面にめり込むほど強く手をついてフェアリーイーターは立ち上がるとノワールの着地地点を予想して追撃に向かう。


 足よりも長くて力強い腕を駆使して移動している。

 その速度は想像以上に速く、妖精でも逃げられないのは納得だった。


「させません!」


 素早くソリアが切りかかる。

 左の腕の中ほどを2回切りつけるとフェアリーイーターがわずかに怯んだ。


 さらにソリアとは逆側からショウカイも足を切り付ける。


 フェアリーイーターの体はそんなに固くない。

 デカいので切断までは大変そうだが切る分には全く問題がない。


「ナンバー38、ソードキング改!」


 とうとうトリシアがずっと背負っていたゴーレムのお目見えの時。

 トリシアの魔力を得て箱が開いて形が変わっていく。


 トリシアの師匠であるローデンバルドが作った持ち運びのできるゴーレムをさらにトリシアが改良したものだった。

 改造ロボのような変身シーンにショウカイの目が奪われる。


 男の子なら憧れて当然のかっこよさがある。


 体積まで大きくなりはしないので大きさはトリシアよりも一回り小さいぐらいのロボットのようなゴーレムに変身した。

 右手部分がそのままブレードになっていて、背中の噴出口から魔力で火を噴き出してソードキング改がフェアリーイーターに接近して切りつける。


 攻撃は通る。

 いけるかもしれないと希望を持ったショウカイだったが驚くべきことが起きた。


 瞬く間に切り付けられた傷が治っていく。


 ショウカイがやったものだけではない。

 ソリアやソードキング改がやったものも数秒のうちに治ってしまったのだ。


 何という回復力。

 体が大きいので決定的な一撃を与えるのが難しい相手。


 希望を持てたのは一瞬で早くも暗雲が立ち込め始めている気配がしていた。


「はああああっ!」


 ノワールがフェアリーイーターの腕に飛びかかって噛みつく。


「いいぞノワール!」


 腕を振って離そうとするが深く噛み付いて離さないノワール。

 その隙にソリアが接近する。


「ここならどうだ!」


 飛び上がったソリアが狙ったのは目。

 深々と剣が刺さって悲鳴が上がる。


 顔を払う手を素早く避けるがそのままノワールを掴んで無理矢理引き剥がす。


「キャン!」


「ノワール!」


 今度は遠くに投げずにその場に叩きつけられるノワール。


「くっ!」


「させないである!」


 さらに腕を振り下ろして攻撃しようとしたフェアリーイーターの動きをシュシュとミクリャで止める。

 全身に巻かれた糸が張って動きが止まる。


 しかし止まったのはわずかな時間。

 クモの糸を力づくでぶちぶちと引きちぎって拳を振り下ろす。


 ゴロンと転がって回避した拳が当たって大きく地面がくぼむ。


「なっ!」


 目が合った。

 潰した目の側、死角から回り込んだはずだったのにフェアリーイーターとソリアの目が合った。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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