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歩いて行こうよ、のんびりと2

 だから青色魔塔では生体を使った研究はあまり行われておらず別にそうした施設も持っていたりする。

 だからというのも言い過ぎだけど青色魔塔の人は馬に乗れないような人も多い。


 馬もいなきゃ、乗れもしない。

 ついでにゴーレムも乗せられないので馬はあまり選択肢に入らなかった。


 ショウカイも不安なので馬に乗ることについては一切触れない。

 これが1人ならノワールに乗るし馬に乗る練習もすることはないだろう。


 ちなみにゴーレムを扱うトリシアが持ってきているゴーレムはニモツモッチー君だけではない。

 ニモツモッチー君に荷物を任せてトリシア本人は四角い箱を背負っている。


 何か聞いたところそれもゴーレムらしいが今のところただ背負いにくそうな荷物。

 魔法で力を強化しているらしいが多少キツそうな顔をしていた。


 それなら馬に乗れた方が良かったのではないかと思う。


「その……1つ、1つというか……手助けしてくだされば嬉しいのですが……」


「手助けですか?


 何を手伝えばいいんですか?」


「私の担当はもちろん妖精の粉なんですが……」


 一応割り当てられた振り分けがあるが他の素材を集めたって構わない。

 むしろ集めれば青色魔塔からボーナスが出たり、成績評価になる。


 現在トリシアは三級魔道士崖っぷち。

 出来ることならポイント稼ぎもしたいところだ。


 今ここにいるのはSクラス冒険者。

 ちょっとぐらいお助けいただいてもいいんじゃないかと考えていた。


 なんだかんだちゃっかりしていたトリシアだった。


 ーーーーー


「と、いうことでここの断崖絶壁生えている薬草を取ります!」


 青色魔塔が用意しなきゃいけないもののリストをトリシア調べておいていた。

 魔塔の魔道士ってやつは大体腰が重い。

 

 たまたま青色魔塔にストックがなかった薬草だけどきっと期限ギリギリまで役割を与えられた魔導師は動かないはずだ。


 その薬草は断崖絶壁に生えるもので採取が難しいけど魔物を倒さなきゃいけないものとかではない。


「ここは私にお任せください!」


 森の中にある断崖絶壁にトリシアに連れられてきた。

 戦いでないので自分でやるというトリシアをソリアと眺める。


 長いロープを取り出したトリシアはそれを自分の体に巻き付けて、逆の端を輪っかにしてニモツモッチー君の足に引っ掛ける。

 少々お待ちくださいと断崖絶壁を意気揚々と降りていく。


 これはミクリャだったら楽勝だな、なんて思いながら必死の形相でロープを降りていくトリシアを心配そうに見守る。


「ショウカイ様、ショウカイ様」


「ん? どうした?」


「あれ、大丈夫であるか?」


「んー?


 ……ちょ!」


 ソリアはもうみんなのことを知っているしトリシアに見つからなきゃ出てもオッケー。

 バレないようにミクリャなんかも上から覗いている中でシュシュはクモに近いような足の造形をしたニモツモッチー君を見ていた。


 シュシュが足で指したニモツモッチー君はロープが足に引っかかってトリシアを支えていたのだけど、いかんせんニモツモッチー君が想定よりも軽かった。

 トリシアが重いのではなくニモツモッチー君が軽かったのだ。


 崖から離れて止まるように命令されていたニモツモッチー君はいつの間にか崖近くまで移動していた。

 トリシアが命綱としているロープに引っ張られて段々と動いてしまっていたのだ。


 ゆっくりと崖のほうに動いているニモツモッチー君。

 ショウカイが慌ててニモツモッチー君の方に走るが、ちょっとだけ遅かった。


 ロープを引っかけていた足が地面のないところまで引っ張られて出てしまう。

 くくりつけたわけでもなく、輪にしたロープを足に通して引っかけていただけなのでスルリとロープが足から外れた。


「トリシア!」


「へっ?」


 ピンと張られていたロープに手応えがなくなった。

 途端に体に浮遊感が感じられ、理解するより早く体が落下を始めた。


「ソリア!?」


 なすすべなし。

 落ちるトリシアと目があったショウカイの真横をソリアが飛び降りていった。


「きゃああああ!」


「しっかり掴まれ!」


 恐ろしいほどの判断能力と勇気。

 飛び降りたソリアはロープを掴むと逆の手で剣を抜いて崖に突き刺した。


 剣に魔力を込めて折れないよう強化する。

 自分1人でも相当な荷重がかかるはずなのにトリシアまで支えてソリアは崖の半ばのところでなんとか止まった。


「おーい!


 大丈夫かー?」


「ええと……私は大丈夫だ!」


 チラリとトリシアを見ると完全に気を失っていた。

 白目をむいてダランと体にくくりつけたロープにぶら下がっている。


 変に恐怖で騒がれたり動かれたりするよりも気絶してくれて助かった。


「どうしたらいいかな……」


 ショウカイに2人を持ち上げる力はない。

 それに都合よくソリアまで届くようなロープも持ち合わせてもいない。


「任せるである!」


 ちょいちょいとショウカイの首を足で突くシュシュ。

 こんな時こそクモ。


 柔軟で、魔力さえあればどこまででも伸ばせる。

 ロープのようにくくりつけなくても張り付ければ剥がれもしない。


「ソリアー!」


「なんだ!


 何か助ける考えがあるのか?」


 飛び降りてトリシアを助けたはいいけどその先を考えていなかった。


 女性とは言っても人1人を抱えて跳び上がるには落ち過ぎてしまった。

 片手は剣、片手はロープと塞がっているしにっちもさっちもいかない。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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