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歩いて行こうよ、のんびりと1

 妖精の粉。

 文字通り妖精から取れる粉である。


 これがまた貴重なもので、流通量が少ない。

 理由はいくつかある。


 まず妖精というものが少ないことにある。

 妖精にも色々あって様々存在しているのだけど全てをひっくるめても絶対数は多くないのである。


 妖精の粉が取れる妖精はさらにその少ない妖精の中でも限られた種族になる。


 そして妖精の粉の採取方法も変わっている。

 無理矢理取ることは絶対にできない。


 妖精の粉は妖精の気分を害しては決して取れなくなってしまう。

 なので捕獲して妖精の粉を取ろうとしても無理なのである。


 だから妖精の粉は妖精にお願いしてもらわねばならない。

 妖精には言葉は伝わるとされており、妖精が望む物や望むことをすれば代わりに妖精の粉をもらえるのだ。


 一応分類としては魔物になる妖精の要望なんてほとんどの場合分かるはずがない。

 一部の運の良かった人には食べ物と引き換えに妖精の粉を定期的にもらう不思議な交流を持っていたりする人もいる。


 しかし妖精の粉はもらえる量も多くない。

 故に集めることに危険はないが貴重なものなのである。


「行きますよ、ニモツモッチー君!」


 過去の傾向を資料から調べて対策は練ってきた。

 主に妖精が気に入ったものには食べ物が多く、食べ物と引き換えに妖精の粉をもらえるケースが多かった。


 森で自然に生えているものでは妖精も食べられるのか、森などで取れないものの方が気にいる事例が目立っていた。


 中には釣った魚に興味を示したのであげたら妖精の粉をもらったなどという話もあった。

 トリシアは少しでも妖精が気に入ってくれる可能性を高めようと色々と食べ物を詰め込んだ袋をゴーレムに持たせていた。


 六足のクモような足がついていて、人の膝丈ほどの大きさのゴーレムで足じゃなくて車輪だったら人が乗る馬車に思えるような形をしている。

 上がかぱっと開くようになっていて中はある程度空洞なのでそこに荷物を入れていた。


「みなさんも準備オッケーですか?」


「はい、大丈夫ですがどこに向かうんですか?」


「ネヴァンデル大平原の北にあるホーラン湿原です」


 どちらも分かりません。

 ショウカイには地名を聞いてもどこなのかちんぷんかんぷんだ。


 ネヴァンデル、ホーランどこじゃそりゃ。

 ショウカイはSランク冒険者でもないし道も知らないので大人しく2人に付いていく。


「あれぐらい私にもできますよ?」


「ノワールを荷物持ちにするつもりはないから大丈夫だよ」


 ノワールはなぜかニモツモッチー君に対抗意識を燃やしている。

 面白いなと思って見ていただけで欲しくないしノワールの背中に荷物を乗せるつもりは今のところない。


 今ならたくさん入る魔法のカバンがあることだしノワールは癒し兼戦闘要員として頑張ってもらう。

 ただ、リュックとか背負ってるノワールの姿を想像すると可愛いかもしれない。


 主にウルフの姿で想像したけども人の姿、はまあリュックを背負った女性、だから可愛くないこともない。


 それにしてもだ。

 クマーベラスも大概な名前だと思ったのにニモツモッチー君も中々なお名前である。


 ローデンバルド命名かななんていうと違いますよと強く否定された。

 トリシアによると師匠のセンスとは全然違うらしく、ネーミングもかなり違うらしい。


 まだ他の物の名前を聞いてないので判別できないけどトリシアとローデンバルドのセンスからは同じ匂いを感じる。

 ボソリとゴーディアヌスがネーミングのセンスも弟子に受け継がれるものなのかと不思議そうに呟いていた。


 造形はともかくゴーレムもゴツゴツしたデカい石の人形のイメージだったけどテディベアのようなものとかニモツモッチー君のような箱に足が付いたような形もあるとは意外だった。

 カバンを手に入れる前だったらちょっとだけはニモツモッチー君も欲しかったかもしれない。


「ネヴァンデル大平原だっけ。


 遠いところなの?」


「えーと……」


 トリシアは歩きながらニモツモッチー君の中の荷物から地図を取り出す。

 地図にはいくつかマークが付けてあってそれが妖精の生息地だと思われる場所。


「今いるのがこの辺りです。


 そしてネヴァンデル大平原がこの辺りで……ホーラン湿原はここら辺です」


 トリシアが地図に指を這わして大体の場所を示してくれる。


「意外と遠そうですね」


 一緒に地図を見ていたソリアが悩ましげな顔をする。

 行ったことがないところなのでソリアもどの辺りなのか詳しくは分かっていなかった。


 マークが付けられたところにはもっと近いところもあったけれど、妖精が確実にいるところに先に向かうことにトリシアは決めていた。


 こういう遠い場所に行くときは馬に乗るのが普通なのだけどただひたすらに歩いて旅をする。

 ノワールが馬に嫉妬して私の方にお乗りくださいと言うからではない。


 青色魔塔には馬がいないのだ。

 理由は誰も分からないのだけど青色魔塔には人間以外の生き物がほとんどいない。


 青色魔塔の中だけでなく周り広くを見渡しても魔物の姿すらない。

 連れてきてもひどく怯えてしまってダメなのだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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