青色魔塔8
中でも厄介な素材がいくつかあって、その1つが妖精の粉と呼ばれる素材であった。
貴重で入手が難しいので三級魔道士が担当することになったが誰もが面倒くさがり、トリシアが妖精の粉を集める役割を押し付けられてしまった。
もっとも四級に近い三級のトリシアは同じ三級魔道士の中でも序列が下で他の三級魔道士に言われると断ることができなかった。
誰かがやらなきゃいけないことなので仕方ないことだけど妖精の粉を集めに行かなきゃいけないのでトリシアは全く余裕がなかった。
研究室に散らばった資料も妖精の粉に関するものであった。
「ここで役に立たなきゃ四級に落とされてしまうかもしれません……」
いざとなったら個人的な資金を使ってでも集めなきゃならない。
暗い顔をするトリシア。
「ならばどうだ、2人に手伝ってもらうのは」
「はい?」
「トリシアは妖精の粉が欲しいが1人では大変だろう。
Sランクの冒険者がいれば大体のものは取りに行けるはずだ」
「え、Sランクですか!?」
トリシアがショウカイとソリアをみる。
どっちがSランクか分からない。
ショウカイか、ソリアか、はたまた両方か。
年配の魔道士たちは世俗に興味がない人も多くて冒険者の高ランクが如何なる人か分かっていないが今の若い人は高ランク冒険者がどんな人なのか分かっている。
「そして2人はトリシアの知識が必要だ。
手伝って早く終わらせてこの、なんだ……クマーなんちゃらに早く取り掛かってもらえば双方にとっていいだろう」
「俺はいいんですけど……」
ショウカイは全然構わないんだけどソリアは巻き込んじゃ悪いと思った。
案内してもらっただけでも恐れ多いぐらいの人がソリアである。
Sランク冒険者はすごい人なだけでなく、世の中が必要とする人でもある。
ショウカイのためにあまり長時間拘束することはショウカイとしても申し訳ない。
「私も構わないですよ」
ソリアはショウカイを見て微笑む。
魔塔に案内しただけで恩返しが終わったとは思っていない。
何か出来ることがあるなら喜んで手伝いたい。
「あわわ……」
Sランク冒険者に依頼するなんてトリシアにとっては夢のまた夢の話。
1人じゃ不安だったので誰か手伝ってくれるなら一切文句もない。
「どうだ?」
「お、お願いします!
手伝ってください!」
ここで遠慮してしまえば相手が引いてしまうかもしれない。
勢いに任せて頭を下げるトリシア。
クマーベラスを直せるかもしれないトリシアの妖精の粉集めを手伝うことになったショウカイとソリアであった。
(ふむ……やはり人との関わりは人を変えるものだな)
金にならないことはやらない、なんて人ではないがトリシアが多少困っていたとしても妖精の粉集めなんて直接人を助けることではないことはあまりやりたがらなかったソリアが簡単に手助けを承諾した。
どう見ていても原因はショウカイ。
魔法のことは分かっても人の心は分からない。
ソリアに対して若干の父性というか祖父性を感じているゴーディアヌスはソリアの変化を喜ばしく思っていた。
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