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知らないと偉そうな態度取れるよね4

 壊れていない椅子をブラーダの前に置いてそこに座る。


「この辺りの村の領主はあなたですね?」


「は、はい……」


「あなたは村の近くに出る魔物の討伐を指示して失敗しましたね?」


「はい……」


 コンコンと詰められるブラーダ。


「領主様!


 ご無事ですか……」


 足を閉じて手を膝に置いてちっこい目に涙を溜めて若い女性に詰められるブラーダの姿を見て警備兵長は唖然とした。

 うめく護衛たちがそこらじゅうに転がっている光景も異様で事態の把握ができない。


「お、お前ら!


 今は入って……」


「座りなさい」


「は、はい!」


 常に偉そうで簡単に癇癪を起こすブラーダがソリアに一喝されて背筋を伸ばしてすぐにソファーに浅く座る。

 

「あなたたちは下がりなさい」


「で、ですが……」


「下がりなさい!」


「早く下がるんだ!」


「あなたは前を向いて座っていなさい!」


「はい……」


 大の大人がソリア1人に翻弄されている。


「ノワール、壁から抜いてあげて」


「分かりました」


 話し合いはソリアに任せてショウカイは後片付けをする。

 護衛たちを壁にめり込んだままにはできないので一応救出してあげる。


「あっ」


 服を引っ張って雑に護衛を回収するノワール。

 多少服が破けてしまったりもしたけどとりあえず回収して適当に部屋の隅に積んでおいた。


 全員息はあったので積んでおいても大丈夫だろう。


「強いぞーノワール」


「はーい私、強いです!」


 大切なのは出来たら褒めてやること。

 ショウカイにもノワールに対する慣れが必要なのでちょいちょい触って人型にも慣れておく。


 ノワールも褒められることが好きだし一石二鳥である。


 本当はウルフ型がいいんだけど人前じゃウルフになるのは危険が大きすぎる。


 パッタパッタと尻尾が振られて、目を細めるノワールは人としての可愛さと動物的な可愛さの両方を兼ね備えている。


 そうしている間にもソリアはブラーダに村のことや鉄血団のことを話した。

 Sランク犯罪者を意図せずとも放置していたことが表沙汰になるとブラーダの責任の追求は避けられないものになる。


 一昔前のソリアなら問答無用でブラーダの責任を追求してそれで終わらせていたかもしれない。

 しかし今は少しソリアも柔らかく考えるようになっていた。


 討伐に出された人たちの補填もしっかりしていなかったブラーダ。

 村や討伐に出された兵士たちの補償をしっかりすることを約束してソリアはそれ以上の責任追求を避けることにした。


 ジュードの首は既に冒険者ギルドに提出してある。

 いつでも何があったのか報告することも出来るソリアにブラーダは逆らうことも出来ない。


 これだけの屋敷に住んでいるのだ、貯め込んでいる財貨もそれなりにあるはずなので補償に困ることもない。


「忘れないでください。


 私は武力であなたを制圧することも、このことを報告してあなたを潰すことどちらもできるということを」


「分かりました……」


 平穏無事に対等な話し合い(?)が終わりソリアが立ち上がる。


「終わった?」


「はい、これで村の方も心配いらないでしょうし、今後彼も目立って悪さはしないでしょう」


 最初のテカテカした顔をした偉そうなブラーダはもはやどこにもいなかった。


「お疲れ様」


「ありがとうございます。


 このようなことまで付き合わせてしまって申し訳ありませんでした……」


 どうしても我慢ならずに寄り道までして、挙句襲われてもしまった。

 一切苦労する相手でもなかったがショウカイを危機に晒してしまった。


 ちょっとソリアはしょんぼりしてしまう。


「ソリアは頑張ったよ……あっ、ごめん!」


 ノワールに直前までやっていたクセが出た。

 なんたかペタリと畳まれたミミが見えたような気がしてソリアの頭を撫でてしまった。


「あっ……いえ……もっとやってくれても大丈夫です……」


「撫でるなら私をどうぞ!」


 嫌がるそぶりもなく、パッと手を離したら少しだけ残念そうな顔をするソリア。

 嫉妬したノワールが間に割り込んできてグイッとショウカイに頭を差し出してきたのでショウカイはノワールの方を撫でたのであった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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