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知らないと偉そうな態度取れるよね3

 続いてノワールにも目を向ける。


 パッとしなさそうな男はともかく女性2人は見た目がいい。

 ニタリと、いやらしく笑うブラーダ。


 こんな田舎町でいるレベルの容姿ではない。

 能力的に使い物にならなくても見た目がいいなら側に置いておく価値はある。


 いや、困ってここに来ているなら多少金を出せば美味しい思いも出来るかもしれない。


「そこの女2人は見どころがありそうだな。


 雇ってやってもいいぞ」


 こんなことならノワールは連れてこないかミニ化させて連れてくるべきだった。


 今にもブラーダを殺しにかかりそうな目をしているノワールだけどショウカイの命令もないので我慢する。

 ショウカイも正直かなりムカついているのだけどソリアが何も言わないので黙っている。


「あなたがここの領主でよろしかったですか?」


「ん?


 ああ、まだ名前も名乗っていなかったか。


 私がこの辺りの領主であるブラーダである。


 私としたことが言わずとも分かると思い込んでしまったな」


 ブラーダが笑い、護衛も合わせて乾いた笑いで同調する。

 典型的な裸の王様タイプな領主。


「村の脅威になっている魔物の討伐に失敗したのもあなたですか?」


「なんだと?」


「そして失敗した挙句その事実を握りつぶして村を放置したのもあなたですか?」


「…………チッ」


 てっきり冒険者というから貧しいものが金もなくて雇ってほしいとやってきたのだと思った。

 暇が出来たから呼んでみたら当たりだと思ったのに、村が雇った冒険者であったか。


 無事にここに来たなら魔物をどうにか追い払ったんだろう。

 そして村では報酬が払えないから自分のところに来たのだとブラーダは読んだ。


 責任を問うような発言も金を引き出すための交渉術の1つだろう。

 浅知恵。


 用件を聞かずに勝手に決めつけて話を進めたブラーダも悪いがそんなの相手にするほど暇でもない。


「失敗したのは私ではない。

 部隊を率いていた無能が失敗したのだ。


 失敗も握りつぶしたのではなく、村からの助けも部隊も帰ってこなかったから成功したものと思っていたのだ。


 仕方ないだろう?

 私にはここで仕事がある以上何も言ってくるものがいなければ終わったと考えるしかないのだ」


 とんでもない屁理屈。

 ソファーにふんぞりかえるブラーダは悪びれる様子もない。


「村はそのあと税も納めなくなったしやることもやらないでこちらに助けてもらおうとはおかしな話だ。


 税を渋った金で貴様らを雇ったの?


 それだけじゃ足りずに私にたかりに来たのか。

 帰れ」


 ブラーダがため息をついて指を2本立てる。

 すると護衛がさっとタバコをブラーダの指に挟み込み魔法で火をつける。


「何を突っ立っている?


 金が欲しいのか?


 分かった、いくらかくれてやるからさっさと帰れ。

 もしくは今ここで服でも脱ぐというなら……」


 ソリアの我慢が限界を迎えた。


 ブラーダ本人でなくタバコを切っただけ自制した方だろう。


「な、な!」


 護衛が一斉に剣を抜く。

 誰もソリアの動きなんて見えなかったはずなのに見えなかったから気づいていない。


「や、やれ!


 私の前で剣を抜いたコイツらをやるんだ!」


 ソリアの足元にも及ばない護衛がソリアにかかっていく。

 数人の剣をソリアが受ける。


 片手なのに男の護衛が全力で押してもソリアはびくともしない。


「ご主人様」


「好きにしろ」


「わかりました!」


 ノワールの目が何を訴えているか簡単に分かる。


 ショウカイの許可をもらったノワールは早速動き出す。

 憐れ護衛。


 1人がノワールに殴られて窓から飛び出していく。

 ここ2階だけど大丈夫だろうか。


 Sランク犯罪者ジュードとも引けを取らずに戦った2人なのだ、こんなところで裸の王様に媚びを売って生きる護衛では敵うべくもなし。

 ソリアも一応罪はない護衛を殺さないために攻撃を加えるときは素手で行っていたけれど壁にめり込んだりしている護衛はとても無事に済んでいるとは思えなかった。


「お、お前ら、一体何者だ!」


 ソファーにふんぞりかえる、ではなく恐怖で腰が抜けて動けなくなったブラーダ。

 飛んでいく人間が顔を掠める経験なんてしたことがないだろうからしょうがない。


「私はSランク冒険者のソリアと申します。


 剣帝といえばあなたにも分かるでしょうか?」


「けけけけけ、剣帝!?


 剣帝といえば……」


 正義感が強く、人の悪事によく首を突っ込むことでも有名であった。

 さあっとブラーダの顔が青を通り越して白くなる。


 血の気が引く音まで聞こえてきそうな勢いである。


 冒険者ギルドからそのまま乗り込んできたので、まだブラーダは冒険者ギルドの騒動を知らない。

 1日でも経てば自然も領主でもあるブラーダに話が伝わっただろうがそこまでブラーダは冒険者に注意も払っていなかった。


 知らなかったでは済まされない。


 自分の発言を振り返ったブラーダはもう首と胴体がお別れを告げているような気分になった。

 ノワールもソリアに負けず劣らず強く、そんな2人と共にいるショウカイもきっと高ランク冒険者だとブラーダは思った。


 護衛は全滅。

 1人が外に飛んでいったために騒ぎになっていて、普段ならゾロゾロと衛兵が飛んでくるけれど今だけは大人しくしていてほしい。


「もう一度初めから話をしましょうか」


 有無を言わさぬ圧力がソリアにはあった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

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評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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