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てってけてーと戦って9

「で、これがお前の姉とやらか?」


 ウリ坊。


「はい、どうも妹がお世話になったみたいで〜」


 妹は立派なイノシシなのに姉はちんまりしていていた。

 今のミクリャといい勝負な大きさの姉イノシシで、てってけてーがこの姉イノシシを子供と呼んでいたのには大いに納得がいった。


 並んで見るとどっちが姉なのか正解できる人はいないだろう。


 てってけてーは壊滅した。

 ボスであったジュードも死んで他のヤンキーたちも死屍累々とそこら中に転がっているか、すでに逃げてしまっていた。


 残念ながら今回は逮捕に来たのではない。

 ソリアとショウカイとギリギリノワールを入れても3人しかいないのでてってけてーを捕らえて連れて行くのは現実的に難しい。


 とりあえず妹イノシシのお願い通り家の中を探して姉イノシシを助けた。

 小さい箱の中に閉じ込められていて、中で姉イノシシは呑気に眠っていた。


 話を聞くと水を飲もうとしていたところつるりと足を滑らせて川に落ちてしまった姉イノシシ。

 溺れかけながら必死に川から上がったところでたまたまそこにてってけてーがいたらしい。


 箱に入れられて捕らえられていたので外がどうなっていたのか知らなかった。

 妹イノシシが何をしていたのか、それを聞いて姉イノシシはショックを受けていた。


「こら!


 一体何をしていたの!」


「だってお姉ちゃんがぁ……」


「またあんたは……」


「村を滅ぼしたってのは本当か?」


 確認しておくべきことがある。

 事と次第によっては妹イノシシを許してはいけない。


 仕方ない事情があったとしても人に害をなしてしまったものは人であれ魔物であれその報いは受けなきゃならない。

 これは人と魔物との間に立つショウカイなりのケジメである。


「村?


 私は知りませんよ」


「えっ?」


「私は基本的に人間怖いので暴れてこいと言われても人間からは離れて暴れてました。


 そうするとあいつらがきて適当に戦って私が逃げるのです」


「村は?」


「村とは?」


「…………?」


「…………?」


 ソリアとショウカイは顔を見合わせる。

 ショウカイはわけわからず、ソリアはそもそも言葉がわかっていないので内容が分かっていない。


「ならばきっと自作自演であるな」


 シュシュは予想した。


「おそらく魔物のせいにしててって……てっけ……てってけてーがやったである」


 ソリアの影響かシュシュも鉄血団という名前を忘れてしまった。


「確かにその可能性があるな」


 生き延びた村人はいないという。

 当然目撃者もいない。


 考えてみれば魔物が暴れたにしては生き残った人がいないというのもおかしな話である。

 妹イノシシがウソをついていても、直線的に突進してくる魔物が村人を根こそぎ抹殺することは中々有り得ない。


「あいつらマジモンのクズ集団だったんだな」


「ええと……私たちはどうしたらいいですか?」


「うぅむ……ちなみに解放されたらどうするつもりだったんだ?」


「私たちはどこか暮らす場所を探していました。


 その途中でこんなんになってしまいましたがまたどこかいいところはないか探したいと思っています」


「なるほど……」


「あそこはダメであるか?」


「あそこ?」


「死の森である。


 人間にとっては死の森であるが魔物にとっては中々良い環境である」


「確かにいいかもな」


 ーーーーー


「おじいさん!」


「フェルン!


 ああ……なんてことだ」


「問題は解決しました。


 てってけてーは壊滅しましたし魔物もいなくなりました」


「てって……?」


「鉄血団についてはもう心配いりません」


「あ、ああ、ありがとう」


 なんで鉄血団なんて名前言えないのだ。

 もう関わることもないからいいんだけど謎だな。


 差し出された女の子たちも家の中に囚われていた。

 鍛治師のおじいさんが言っていた女の子も無事に助け出すことができたのであった。


「あいつらの頭は冒険者ギルドで指名手配されている犯罪者でした」


 ソリアは手に持っていた風呂敷を開いた。


「こ、これは……」


 中には氷漬けにされたジュードの頭。

 倒した証に首を持って行く必要があるが普通に持っていくと腐ってしまうことは確実なのでソリアが魔法で凍らせていた。


「魔物もあいつらが原因で人里に降りてきていたようでした。


 魔物ももう来ることはないので安心してください」


 最終的にイノシシたちには死の森の方向を教えた。

 受け入れてくれるかは分からないがここら辺ではあのイノシシたちは暴れ魔物なのでここらへんで探すよりはいくぶんかいいだろう。


 村を襲ったのはてってけてーだとショウカイたちは結論づけた。

 従わなくなった村をてってけてーが魔物のせいにして滅ぼしたのだろう。


「そしてこちらも」


 ソリアは袋をおじいさんに渡した。


「これは何ですか?」


「中を確認してみてください」


「こ、これは!」


 袋の中身はお金。

 てってけてーがため込んでいたらしい金銭を屋探しして持ってきた。


 ジュード個人でいくらか隠し持っていたのか村から搾取したよりも多そうな金額が見つかった。

 ソリアもショウカイもお金には困っていない。


 困っていたとしてもこのお金の使い道は決まっている。


「他の村にも分配してあげてください。


 少なくとも今年飢えて死ぬことはないと思います」


 旅の途中なので村を回ってお金を渡すような余裕はないがこのおじいさんなら大丈夫だろう。


「ありがとうございます……ありがとうございます」


 まさか本当に鉄血団を倒し、魔物を完全に追い払ってくれるなんて。

 おじいさんは目に涙を浮かべて何度も何度も頭を下げていた。


 フェルンと呼ばれた女の子はお姉ちゃんを助けてと叫んだ妹や母親にも再会し、ショウカイたちは村を後にした。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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