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てってけてーと戦って8

 後ろからソリアがジュードの胸に剣を突き立てていた。


「ご主人様を傷つけようとした罪、その身で贖いなさい!」


 ソリアに遅れてノワール回り込んで全力で拳を突き出した。

 グシャリと音がしてジュードの顔の真ん中にノワールの拳がめり込んだ。


 あまりの力強さにソリアも剣を手放してしまい、胸に剣が刺さったままジュードが飛んでいく。

 家の壁を突き破り中に飛び込んでいった。


「ご主人様大丈夫ですか!」


 ノワールはショウカイに駆け寄り、ソリアはジュードの方に向かう。

 

「あ、ああ、大丈夫だよ」


 死ぬかと思った。


 立ち上がってソリアの後を追う。

 ノワールが腫れたところを心配そうにペタペタと触ってくるけど痛いから触らないでほしい。


 大きな穴が空いた壁から家の中に入ると反対側の壁に寄りかかってジュードが座り込んでいた。

 ソリアはジュードの前で冷たくその様子を見下ろしている。


「くっ……ゲホッ!」


 虚に見上げるとショウカイが来るのが見えた。

 浮かんだ疑問を口にしようとして喉から血が上ってきて吐き出す。


 自分の体のことは自分が1番よくわかっている。

 もう長くはない。


 Sランクになるまでの肉体は人よりも丈夫であるが胸を貫かれては無事でいられない。

 聞きたいことはいくつもある。


 でも全てを聞いている時間の余裕はない。


「……お前は何者だ?」


 全てに繋がる質問。

 ジュードはここに至って失敗を悟った。


 1番最初に殺すべきはショウカイだった。

 Sランクのソリアでも怪力を誇るノワールでもない、普通の冒険者ショウカイをまず処理するべきだったのだ。


 何でもないように見えて中心にショウカイがいた。

 余裕をこいて放っておかないでさっさとトドメを刺しておけばこんなことにはなっていなかったはずだ。


 変な小さな人のようなものやノワールはショウカイに従っている。

 ソリアもショウカイを気にしながら戦っていた。


 そこが浅いようで得体が知れない。


「そうだな、ノワール、ミクリャ、シュシュ。


 俺は……」


 ノワールが大きなウルフの姿になり、ミクリャが服から出てきてジュードの前に着地する。

 シュシュがサッとショウカイの肩に止まってみんな勢揃い。


「魔物と共に歩む者だ」


 ちょっとカッコつけすぎかなとは思うけど殴られた仕返しに含みを大きく持たせて答えてもいいだろう。


「……はっ、そのSランクのお嬢ちゃんは……」


 信じられない光景。

 人間が魔物を従えている。


 死ぬ間際に幻覚でも見ているような受け入れ難いショウカイの正体。

 周りがみんな魔物ならソリアもそうなのかとジュードは疑問に思った。


「私は人間です!」


「……そうか」


 生涯における2度目の敗北。


「ちくしょう……剣聖に俺の剣が折られてなきゃな……」


「剣聖?


 それはどういうことですか?」


「俺は……1度剣聖に負けてる……のさ…………」


「ちょっと待ってください!


 そんな中途半端に……」


 ジュードの目から光が消えてガクンと首が落ちる。


 ジュードは犯罪者となり逃げる中で剣聖にも追われた。

 勝てるだろうと剣聖に挑んだジュードは持っていた自分の剣を叩き折られ殺される寸前で命からがら逃げたのであった。


 ソリアはそのような話を聞いたことがなかった。

 剣聖としても相手を逃してしまった汚点であったのだ。


 知らず知らずのうちに養父である元剣聖の雪辱を果たしたソリア。


 冒険者ギルドでも最上位に当たるSランク犯罪者はSランク冒険者と魔物の協力によって打ち取られたのであった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


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頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


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