表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
132/340

てってけてーと戦って6

 ソリアは眉をひそめた。

 ロージアの悲劇ではロージア王家が殺戮されたがその王家を守ろうと多くの兵やジュードを捕えようとした冒険者たちの被害も含まれている。


 それを愚か者の教訓話とは許されない物言いである。


 ただ単なる話や噂ではなかった。

 対峙してみて分かるのはジュードの実力は本物であるということだ。


 一国の頂点が1人の冒険者にやられるなんてこと確かに教訓めいた作り話のように聞いていたけれど作り話ではない強さがジュードにある。


「俺がいた時のSランクといえばもうちょっとマシだったと思うんだけどな」


「なんだと?」


「こんな小娘にSランクの称号を与えるなんてギルドも落ちぶれたもんだ」


 バカにするような目でソリアを見るジュード。

 カッと頭の芯が熱くなるような感じがしてソリアは怒りを覚えた。


 必死に努力してSランクと認められた時にはソリアでも嬉しかった。

 今でもSランクに恥じないような働きと、より強くなろうと腕を磨いてる。


 それをバカにされてはソリアも冷静ではいられなかった。


「堕ちた犯罪者が口を慎め!」


「口を慎むべきは力の無いものだ」


「だまれ!」


 再び切り合いが始まる。

 しかし時間が経つにつれて拮抗していた2人の戦いは少しずつ傾き始めていた。


 防ぎ切れずかわし切れずソリアに浅い傷が増えていく。


「どうやらあっちの状況は良くないようだから終わらせるぞ」


 ノワールが大きなイノシシを持ち上げていた。


 魔物を使えば楽に倒せる相手のように見えていたのに見誤った。

 早く行かなければ使えないグズの部下でもせっかくここまで色々と教えてきたのに失うのは惜しかった。


 もはやソリアはショウカイたちの方を気にしている余裕もない。


 反撃も少なくほとんど防戦を強いられる。

 

「がっ……」


「まだ強くなれそうだけど、まだまだ俺には及ばない」


 簡単なフェイント。

 切り合いの速度が極限まで高まっていたのでソリアはあっさりと騙されてしまった。


 ジュードに腹を蹴られてソリアが飛んでいく。


「ソリア、大丈夫か!」


「あちゃー、あっちはなんだか終わってるみたいだな」


 転がって動かないイノシシ。

 何があったかまで見ていなかったがトドメを刺されたのだろうとジュードは思った。


 せっかく便利だったのにと多少残念さを感じるがそれ以上の感情はない。


「よくもソリアを!」


「遅いな」


 かわすか防ぐか迷った。


 防御するまでもなく簡単に反撃できるし、ソリアに比べてショウカイは一般的な速さでジュードにしてみたら止まっているようなものだった。


 ただ簡単に殺してしまっては面白くない。

 戯れに、ジュードはショウカイの剣を受けてみようと思った。


 ノワールはイノシシを持ち上げるほど力が強かったのでショウカイにもそんなことがあるかもしれないと興味を持った。


「はい?」


 ショウカイは剣を振り切った。

 剣を持ち上げて防いだはずなのにショウカイは普通に剣を下まで振り下ろせていた。


 ジュードの恐ろしい反射速度でなければそのまま致命的なケガを負わされていたに違いない。


「何が?」


 額から頬まで斜めに切り裂かれて目に血が垂れてくる。

 顔を後ろに引いていなきゃ死んでいた。


 ジュードですら何が起こったのか理解できなかった。


 自分の剣を見ると半ばのところでスッパリと剣が切られていた。

 断面は滑らかでへし折られたのではない。


 ジュードが今使っている剣は村の鍛治師だったジジイから奪った剣で飛び抜けた品質ではないがしっかりとしていて粗悪品ではなかった。

 簡単に折られたりする剣ではなく、まして切られるものでもない。


 どれだけ実力に差があっても剣を切るなんて芸当容易いものじゃない。


 それを可能にしたのはドワーフ製の名剣熊公だからであった。


「貴様……」


 驚き。

 そして痛み。

 さらに怒り。


 ショウカイは自分の踏み込みが浅くてやり切れなかったと思っているがジュードが剣を切られた瞬間に頭を引いていたのだ。

 予想外のことが起きても反射的に動けるほどジュードは経験のある剣士で、自分を傷つけた奴を決して許しはしないイカれた男だった。


 追撃をしようと振り下ろした剣を戻そうとした瞬間にはもう、ショウカイは殴られていた。


「許さない」


 ぶっ飛ぶショウカイが地面に落ちるよりも早くジュードがショウカイとの距離を詰める。

 空中で殴られてショウカイは簡単に飛んでいった。


「ショウカイ様!」


 その様子を見ていたシュシュが悲鳴を上げる。

 ショウカイがほんの一瞬後ろに飛んだと思ったら次の瞬間には横にぶっ飛んだ。


 ジュードが殴りつけたことはシュシュの目には捉え切れていなかった。


「お前!」


 ヤンキーを倒し終えたノワールがジュードに殴りかかる。

 ショウカイを守れなかった。

 

 怒りに燃えるノワールが拳を突き出すよりも早くジュードがノワールを殴りつけた。


 しかしノワールは止まらなかった。

 殴られながらも拳を伸ばし、ショウカイを傷つけた不届き者の顔に鉄拳をねじ込んだ。


「ひいぃ……」


 結果的に相打ちになってノワールとジュードが互いに弾かれるように飛んでいく。

 とんでもない力技にシュシュもビビりまくりである

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ