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てってけてーと戦って1

 ソリアは怒っていた。

 危機的な状況を利用して人を搾取する悪人。


 そして最後には若い女性を要求するなんて決して許されることではない。


 てってけてー、もとい鉄血団は村からアクセスの良い丘の上に居を構えているとの話だった。

 丘の上にはすでに住民のいなくなった村の跡があってそこを使っている。


 人に仇なす魔物も許せないが罪なく生きている人に害をなす人もまた許せない。

 貧しい生まれだったソリアは特に村人たちの様子に自分を重ね合わせて強い怒りを覚えていた。


 ショウカイは念のためノワールを人の姿になってもらっていつでも戦えるようにしてもらっていた。

 ほぼ確実に鉄血団なる集団は悪人なのだろうけどまだ本当に悪人なのか微妙に判断に迷う。


 限りなく黒に近いグレーみたいなものだ。

 というのも魔物は追い払っているので要求は過激になっていてもやることはやっているのだ。


 魔物を追い払って村人を助けることはしている。

 だから村人たちも要求を断りきれないでいるのだし、鉄血団の要求が過激なったのには理由があるのではないかと考えてしまう。


 ソリアは鉄血団を悪人集団だと思っているので口には出さないがまだ分からない部分はある。

 元がどうあれ、理由がどうあれ人を要求してしまったらアウトかもしれないけど。


「ショウカイさん、誰かいます」


「……柄が悪そうだね」


 道に沿って歩いていると道の脇にある岩の上に坐る柄の悪い男性が2人見えてきた。

 遮るものもないので向こうもショウカイたちに気づいている。


 会話しショウカイたちを見てニヤニヤと笑う。

 ヤンキーがたむろっている路地を行くような緊張感。


 ショウカイは心配だった。


「ちょっーといいかな?」


 話しかけてこないのならスルーつもり進んでいたショウカイたちにヤンキーが声をかけてきた。


「この先にはこわーい魔物がいてな、俺たちはそれからここらを守ってやってるんだ」


「……だからどうしたというのですか?」


「そりゃお礼しろなんて誰かに要求するつもりはないけどさぁ。


 タダで守ってもらうってのは都合が良すぎやしないと思わないか?」


「そうそう、俺たちも命がけで魔物からここらを守ってやってるんだ。


 あんたたちがここを安心して歩けるのも、俺たちのおかげなんだぜ」


「ちょっとぐらい何かあっても……なぁ?」


「なんなら女2人いるから俺たちの相手……」


 ソリアとノワールを上から下まで舐め回すように見るヤンキーたち。


 最後まで言葉を言うことなく、ヤンキーたちはぶっ飛んだ。

 だから心配したんだ、大人しくしとけばよかったのに。


 ソリアとノワールが1人ずつヤンキーを殴り飛ばした。


 飛距離はノワールの勝ち。

 ソリアに殴られた方はまだ意識があるけれど、ノワールに殴られた方は二転三転と転がっていって地面に突っ伏したまま動かなくなった。


 いかにも安いヤンキーだったのでいつ2人の逆鱗に触れるか怖くてしょうがなかった。


 ノワールもそういう目で見られるのが不快なようでイラついているのがショウカイにも感じ取れていた。

 ソリアもそんなの当然嫌いなので、たまたま示し合わせたように2人同時に動いた。


「あなたてって……鉄血団とやらですか?」


「ぐっ……そ、そうだ!


 俺たちは鉄血団だぞ!

 それを知ってて手を出すなんてお前何者だ!」


「私ですか?


 私はソリアと言います。


 剣帝と呼ばれる冒険者ご存じありませんか?」


「け、剣帝、だと?


 こんな女が……」


「こんな女ですがあなたよりははるかに強いですよ」


 ソリアは地面に転がったヤンキーの襟を掴むとそのまま持ち上げた。

 左手1本で大の男の足が浮くほど持ち上げる姿を見れば剣帝と言われても納得だ。

  

 ソリアは背が高いので持ち上げられたヤンキーは足が地面に届いておらず、苦しそうにしている。


 成人男性を片手で持ち上げるだけで普通じゃないのに、そんなソリアよりもヤンキーを遠くに殴り飛ばしたノワールのパワーって。

 考えるだけ怖いので気にしないでおく。


「く、くそっ!」


 剣帝かどうかは今はヤンキーにとってどうでもよかった。

 なんだかヤバいやつが来た。

 それだけで十分であった。


「村から若い女性を集めて何をするつもりですか?」


「し、しらねぇ……うっ!


 だからしらねぇって、ゔっ!」


「あなた言葉遣いもなってませんね」


 ソリアの拳がヤンキーの腹にめり込む。

 涙目で助けを求めるような視線をショウカイに送ってくるけどソリアの方が強いのでショウカイにどうすることもできない。


「む、村に要求して集めたのは本当だ、です!


 でで、でもそれで何するのかは俺たちは知らない!


 手を出すなとは言われたから売るつもりだと思います!」


 ソリアの冷たい目になんの冗談も通じなさそうなことを察したヤンキーは出来る限りのことを話す。

 どう見たって下っ端。


 そんなに重要なことを知りはしない。

 ただヤンキーのその予想はおそらく外れてはいないだろうとソリアは思う。

 

 いかがわしいことをさせるつもりがないなら若い女性を集めた意味なんて限られてしまう。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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