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再び会いに行って5

 1枚1枚確認して全てを確認したケテアは小さくため息をついた。


「何か問題でも?」


「あっ、いえ!


 何枚か不明なものがありましたが他の冒険者証を見る限り死の森で失踪したものと推測してよいと思います。


 全部で23枚ありまして、23枚とも死の森で失踪した冒険者のものと認めます」


 何か目的の人の冒険者証でも期待していたのだろうか。

 ケテアはお金の入った袋を取り出すと別の袋に銀貨を移してショウカイの前に置いた。


「このたくさんの冒険者証はどこで見つけたか聞いてもよろしいでしょうか?」


「これは……その……たまたま魔物がこうしたものを集めている巣みたいなものを見つけまして……」


 あながちウソでもない。

 とりあえず荷物を集めて溜め込んでいたところから持ってきたのだから。


「冒険者証は……これだけでしたか」


「これだけ?」


「あっ、その……」


「まあ、他にあったかもしれませんがのんびりと探していられる時間もなくて」


 多分もっとあったとは思う。

 けれど全部整理して冒険者証を探すつもりはなかったのでどれぐらい残っているのかは分からない。


 死の森に入った冒険者を探していてお金まで出して回収していると知っていたらもうちょっと探してきたのに。


「そ、そうですよね」


「もしかして誰かの冒険者証をお探しで?」


「はは……お恥ずかしながら」


 聞くところによるとケテアも冒険者であったらしい。

 そしてケテアの兄も冒険者であり、死の森に行って一攫千金を狙って帰ってこなかった。


 兄を探しに行きたかったけれどケテアにはその実力もない。

 縁あってギルドに就職できることになってこの死の森に近いギルドで働くことを希望して、兄の情報を探している。


 こうして会って話を聞くと大袈裟だと思っていた死の森という呼称が全くもって大袈裟でないことが分かる。

 マギナズだけでもとんでもない強さだったのだ、テラリアスナーズやオーガの集落なんかがあるととんでもない凶悪な場所と言っていいのであった。


「冒険者証はこちらで預かり、ご遺族などを探してこのことをお伝えします。


 ギルドを代表してお礼申し上げます」


 立ち上がって深々と頭を下げる。

 地図を探すついでに軽い気持ちで持ってきたなんて言えるはずもなかった。


 若干の重たい雰囲気を残してケテアは部屋を出ていった。


 ーーーーー


 基本的には道なりに歩いて行けばよいと教えてもらった。

 だけど地図で見たところ道は曲がりくねってた。


 このまま道なりに進んでいくとスーハッフルスに着くまでに相当時間がかかることが予想された。


「も、もうちょっとゆっくり」


「分かりました!」


 ショートカット、かつ移動のスピードを確保するためにちょっとしたチャレンジをしてみることにした。

 前々からやってみたかった。


 巨大化したノワールの背にまたがって乗騎する。

 そしてノワールに走ってもらうのである。


 焦るテラリアスナーズや鳥たちと違ってノワールには話が通じるので速さのコントロールも出来る。

 走るたびに毛がもふもふとして気持ちも良い。


 最初は張り切って全速力を出したものだからちょっと死にかけたけど少しずつ速さを落としてもらっていい具合のところを見つけた。

 少し揺れるけど風が心地よい。


 途中途中町に立ち寄って食料なんかを買ってスーハッフルスに向かっていく。

 ノワールも走るのは楽しいらしくあまり疲れというものを見せない。


 そして進化も遂げたノワールの方が強い魔物であるからなのか掛かってくる魔物もいなかった。

 大体の魔物は追いつくこともできないので襲い掛かろうとしてきた魔物もいたのかもしれないけど分からなかった。


「ノワールはどうする?」


「ふっふっ、お任せください!」


 いつぞやテラリアスナーズとマギナズと共にスーハッフルスを見下ろした丘の上。

 小さくなって行くのか、人の姿になるのかはノワールに任せる。


 巨大化したノワールがあっという間に小さくなっていき、人の姿になる。


 出発前にノワールはマギナズの指導の元で人化の練習をした。

 耳や尻尾は結局そのままになったけれど服は出せるようになった。


 最初マギナズの指導で真っ赤なドレスに身を包んでドヤ顔をするノワールを見た時にはどうなるかと頭を抱えたものだった。

 テラリアスナーズに怒られて真面目に教えたら割とすぐにノワールはちゃんとした服を生み出せるようになった。


 タダで服を着替えられるって羨ましいなと思った。


「どうですか、ご主人様!」


「うんいい感じだ」


 冒険者風の服を着たノワールは自慢げに胸を張る。

 人の姿になる早さも早くなって人の姿で歩くことも危うかったことに比べるとすっかり人っぽくなった。

 

 これまで獣人とやらを他で見たことがないのだけど小さい町でもかなり奇異の目で見られていた。

 大丈夫なのかどうか心配は尽きない。


 ノワールは周りの目を気にしていないからその点はいいけど人の世界に馴染めるのだろうか。

 基本的には喋らないようには言ってある。


 ただしゃべったところで魔物の言葉なので他の人には分からないけれど。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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