表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/340

再び会いに行って4

 元々ギルドに持っていくつもりだったもの。

 それをお金に変える発想もなかったので買い取ってくれるならショウカイとしても文句はない。


 せめて死んだかどうかだけでも確認したい。

 あまりにも死の森で消息を断つ冒険者が多いためにギルドが提示した苦肉の策。


 それは死の森で見つけた冒険者証を買い取るというもの。

 冒険者が冒険者証を手放すことなんてない。


 死の森に向かうような冒険者は大体高ランクなので低ランクの冒険者から奪い取ってもギルドが死の森で見つけたものだとは認めないのでそういったところは安心である。


「こちらがこの町でも1番いい宿です」


 町の中心にもほど近いところにあった宿に案内された。

 中にまでジマジが付いてくると宿の人と話し始めた。


「この宿で1番良い部屋を取りました。


 後で人をやりますので冒険者証の件よろしくお願いします」


「えっ、宿代とかは……」


「ジマジさんの方でお支払いいただけるそうなので大丈夫ですよ」


 それを大丈夫と言えない。

 なんでそんなことしてくれるのか理由が分からなくて落ち着かない。


 人をやると言っていたのでノワールたちも大っぴらでくつろぐこともできずに待っていた。

 そうは言っても小さいノワールとミクリャとシュシュでベッドの上でくつろいではいる。


 ショウカイがノワールのもふもふを堪能できないだけである。


『熊公

 デミオ・コシュビー=ホロポテ作

 死の森で死んだ冒険者たちの武器を溶かして作った剣

 デミオがアダマンタイトやミスリルを始めとした中でも質の良い金属を集めたために高品質

 ミスリルが含まれているので魔力の伝導率が良い

 ドワーフの技術により魔法が込められている

 マギナズが自分の名前を刻むように申し付けたがデミオのイタズラ心で熊公の名前になった

 帰属化の魔法によりショウカイに剣は帰属しており、ショウカイを傷つけることがない。


 軽量化、鋭利化、自動修復、帰属化


 ランクS』


 暇なので詳細鑑定を使って熊公を見てみる。

 熊公をくれたマギナズの前で情報を見るのは気が引けたので今見てみたけど剣を持つ手が震える。


 ドワーフ製の剣というだけでもすごいと思ってたのに改めて細く見てみるととんでもない物であった。

 アダマンタイトとミスリルってショウカイでも知ってるファンタジー金属。


 それもものすごく高価なやつではないか。


「あっ、やっ!」


 なんとなくその価値を理解し出したショウカイは剣を少し傾けた瞬間手を滑らせた。

 触れただけでも指先が切り落とされてしまいそうな鋭利な剣が足に落ちていく。


 足がスッパリと切り落とされる未来が見えて、どうにかしようとしたけれど刃の部分を掴むわけにもいかない。

 こんなところで足を切り落とすことになるなんて。


「いっ……たくない?」


 しっかりと刃の部分が足に当たった。

 なのに軽く棒で叩かれたぐらいの感覚しかない。


 あまりにも鋭くて痛みすら感じる間も無く足がなくなったのかと思ったけど足はちゃんとくっついている。


「あっ……これが帰属化の効果ってやつなのか?」


 熊公の鑑定を思い出す。

 剣が帰属していてショウカイを傷つけることがないと書いてあった。


 どう言う事かと思ったけれど確かに足は切れなかった。

 床に落ちた熊公を拾い上げて恐る恐る刃に触れてみる。


 触れるか触れないかぐらいのところで刃を出るように指を動かすが指先は切れない。

 もう少し強く指を押し付けてみるけれど刃の鋭さは感じても傷がつくことはない。


 魔法とは不思議なものである。

 刃を握ってみても、足に刃を擦り付けてみても切れない。


 感心してしまう。

 どうやっているのか原理なんか知らないけどこの熊公はショウカイを分かって傷つけないようにしている。


 是非とも次はどれほどの切れ味があるのか物を切ってみたいと思う。


「失礼します。


 ジマジさんからお話は伺っていると思います。

 私、ケテアと申します。


 今お時間よろしいでしょうか?」


 熊公の素晴らしさに感心しているとドアが控えめにノックされた。


「は、はーい。


 ちょっと待ってくださいね」


 みんなに目で合図をするとそそくさとリュックの中に入っていく。

 ちゃんとみんなが入ったことを確認してショウカイはドアを開ける。


「どうぞ」


「どうもありがとうございます」


 やってきたのは栗色の髪をした小柄な若い女性だった。


「改めまして私、ケテアと申します。


 この町にある冒険者ギルドから参りました」


「よろしくお願いします。


 ええと、冒険者証をお渡しすればいいんですよね?」


「はい、お願いします」


 来ると分かっていたので事前に出してあった冒険者証を差し出す。


「こんなに……か、確認させていただきます」


 ケテアは冒険者証の名前と死の森に向かって行方不明になったと思われる冒険者のリストを照合する。

 パッと見つけただけでも20枚ほどはあった。


 表面的な荷物を漁っただけでそれなのだからしっかり整理するともっと見つかったことだろう。

 手を動かしてチェックを入れているのでリストに載っている人もいるようである。


 みんながみんな死の森に行きますと言って行く人ばかりじゃない。

 リストに引っかからずにそのまま次へと流される冒険者証もあった。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ