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再び会いに行って3

 魔物というのは魔力に敏感だ。

 そこでテラリアスナーズは自分の生え変わった爪を使ってドワーフにナイフを作らせた。


 いきなりの思いつきでしかも早く作れとのお達しだったのでドワーフも必死になって作り、森を南下している時にファルバランにマギナズのところまで運ばせたのである。

 アースドラゴンの爪製のナイフは森の魔物ならテラリアスナーズの魔力を感じるだろう。


 テラリアスナーズの魔力を感じられない、気づかない魔物もいるだろうけどそんな魔物はノワールの敵じゃないので問題にならない。


「ありがとう。


 テラリアスナーズにもお礼を言っといてよ」


「いいって。


 どうせこんなことでは私の受けた御恩は〜とか言うんだから」


「はは、そうかもな」


「……お前といるとずっと昔から知り合いだったみたいに安心する。


 また会いたいから、絶対無事に戻ってこいよ。


 ダメだったらダメで報告に来ればいい。

 そん時は女王様が上手く収めてくれるだろうから」


 優しい目をしたマギナズ。

 最初は命の取り合いから始まったけど今はこうして仲良くなれた。


「きっと直して戻ってくるからさ。


 シズクのこと頼んだよ」


「任せとけ!


 じゃあまたなー!」


 どこぞの熊牧場よろしくマギナズは結構離れても手を振っていてくれた。

 ショウカイも度々振り返り、手を振る。


 人の町よりよっぽど森の方が温かい場所のようにも思えてきてしまう。


「いい話であるなぁ」


「いい話だろ?」


 旅の仲間はノワールとシュシュとミクリャ。

 ノワールは強くなったし、ミクリャもワチカミによると意外と戦えるらしいので期待している。


 シュシュも攻撃力こそないもののサポート力は高いし、ワチカミの森を探していた時の懐かしのメンバー構成である。


 魔物と人間の友情物語。

 他人事のようにシュシュは感動しているけど外から見ればショウカイとシュシュも同じもんである。


「ワタクシもショウカイ様と友達になれて嬉しいである」


「なんだよ、照れるな」


「私もご主人様大好きです!」


「ん!」


「みんなしてなんだよ!


 照れ臭いなぁ……」


 ちなみに今離れてみるとショウカイは1人で歩いていて1人で話しているように見える。

 シュシュいつものように引っ付いているのだけど、ノワールも小さくなってショウカイの襟元にいた。


 襟に引っ掛かるようにしてぶらんと服の中に体を投げ出し外に頭を出していて、なんだか満足げである。


 そしてミクリャは背負ったリュックに足をかけてショウカイの後頭部を掴んで立っていた。

 微妙に肩車みたいな感じである。


 よーく見れば胸元のノワールとかショウカイの頭越しにミクリャが見えるけどサラッと見たら意外と気づかない。


 地図によると南にある町はそう森から遠くない。


 そろそろ見えてくるはずだと思っていたら何となく遠くに家っぽいものが見えてきた。


「ミクリャ、ノワール」


「はい!」


 ノワールが胸元から飛び出して肩に乗る。

 ミクリャがいそいそとリュックを開くとミクリャとノワールで中に入る。


 シュシュはそのままでも大丈夫だけどミクリャはだいぶ大きくなったので服の中に隠れるのは難しい。

 ローブやクロークといった服の上からさらに覆うような衣類であれば違和感なく隠せるのだけどずっと着ていられない場面だってある。


 ノワールはギリギリといった感じだけどとりあえずミクリャと一緒に隠れてもらった。

 ミクリャほど服に掴まっていることも上手くないので安全第一に考えた。


 死の森が近くにあるからかそんなに規模が大きくない町なのにしっかりとした城壁がある。


「おーい、あんたまさか死の森から来たのか?」


 城壁の上から見張りの男がショウカイに声をかける。


「あ、はい」


「ほ、ほんとうか!?


 おい、死の森から来た冒険者だぞ!」


 見張りの男が慌てて降りてくる。

 答えを失敗したかと思ったけれどもう引き返すこともできない。


「あ、あんたは1人なのか?


 仲間は?


 どうやって死の森から1人で来たんだ?」


「ボワ、冒険者が困ってるじゃないか」


「あ、ああ、すまない」


「申し訳ないな、冒険者の方。


 私はジマジ、この町の警備隊長をしている」


「ショウカイです」


 見張りの男よりもガチガチの鎧を着た中年の男性がショウカイを質問責めにするボワを止める。


「お前は見張りを続けてろ。


 この町に宿はいくつかしかないのでご案内いたします」


「はい!」


 ボワはチラチラとショウカイを見ながら城壁の上に戻り、ショウカイはジマジについていく。


「1つお聞きしたいのですが死の森からいらっしゃったとか?」


「あっ、はい……」


 やたらとそれにこだわられる。

 死の森から来ると答えることがマズイことだったみたいで少し歯切れ悪くなる。


「この町からは多くの冒険者が死の森に向かいますが帰ってきたものは多くはありません。


 ですのでもし、ですが死の森の中で他の冒険者のものを見つけて、冒険者証でもお持ちでしたら……」


「いくつかありますけど……」


「本当ですか!」


「近いです……」


 いきなり止まって振り返るものだからジマジの顔がショウカイの目前に迫る。


「ギルドから委託を受けておりまして、冒険者証1枚につき銀貨1枚で買い取らせていただきたいのです」


「構いませんよ」

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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