表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
116/340

再び会いに行って2

「死の森?


 まあ、人間にとっちゃこの森は危険かもしれないな」


 死の森なんて呼ばれていることを少し誇らしげな顔をするマギナズ。

 恐れを抱かれているということはマギナズにとっては誇らしいことでもあるのだ。


「俺たちがいるのは森のどこなんだ?」


「わっからん。


 森の中に目印がある訳でもないしな。


 ただ多分結構奥の方だとは思うぞ」


 返事もいる場所も大体予想通り。


「とりあえず良くやったぞ、ノワール!」


「やったー!」


 地図を見つけたのはノワールなのでノワールの頭を撫でてやる。

 人型ノワールの頭を撫でるので頭を撫でることになる。


 何にしてもこの先ノワールとずっと一緒にいるならこうして人の姿であることも少なくないはず。

 ノワールはあまりどちらの姿であっても気にしていないようなのでショウカイが慣れるしかない。


 ペタリと耳を畳んで撫でられ準備万端のノワールの頭を撫でると目を細めて喜ぶ。

 人の姿をしていてもなんだか狼の時の顔がダブるから不思議なものである。


 ノワールは撫でていると手の方に寄ってくる頭の上を撫でると伸びてくるし、横を撫でると手に頭を押し付けるようにしてくる。

 ちょっと人の姿をしている時にアゴやお腹なんかを撫でる勇気は出ないのでひとまず頭だけ。


「コンパス的な物はないかな……」


 闇雲に森の中を進めば一生森の中を出られなさそうな気配すらある。

 今度はコンパス探しをして見つけたので再度地図を確認する。


「森から近いところにあるのは2つかな」


 森は地図の右上側、つまり北東の方角にある。

 地図を見ると森に近いところにある町は2つあった。


 方角的には西にあるものと南にあるものである。


「あっ」


 今いる場所が大森林の奥側だとするとどっちも距離的には変わらない。

 どこに行こうと変わらないのだから決め手に欠ける。


 どっちでもいいというのはなかなか迷う選択でもある。


 悩んで地図を眺めていると他の都市も目に入ってきた。

 その中に1つ見覚えのある名前の都市があった。


 スーハッフルスである。


 まだ記憶に新しく、地図上では森の反対側の左下、やや南の方にある。

 チラリとソリアの顔が脳裏に浮かぶ。


 なんだか最後は不安定な精神状態だったソリア。

 魔物が人の姿になれるなんて常識が崩壊するような衝撃があったので一時的に混乱しただけだと思いたい。


「まあこれなら……」


 スーハッフルスに一度立ち寄ってみてもいいかもしれない。

 若いけどソリアは名のある冒険者で顔も広いだろうからテディベアを直すために何か良い情報でも聞ける可能性もある。


「もう探し物は終わりか?


 なんか欲しいもんでもあったら好きに持ってっていいんだぞ」


 どうせ魔物が使う物はほとんどない。

 けれど死人の物で使う人がいないのではあるが必要に迫られていないのにこうしたものを使うのはちょっと気が引けてしまった。


「また今度必要になったら貰いにでもくるよ」


 使われないで朽ちていくことも可哀想だと思うので機会があれば欲しいと思える物もあった。

 この件を解決したらお礼としてもらっていこうかななんてちょっとだけ思う。


 地図とコンパス、そして見つけられた冒険者証を持ってショウカイたちはテラリアスナーズのところに戻る。


「ありましたか?」


「うん、色々ありがとうね」


「落ちていた物をあげただけですし、これぐらいではまだ受けたご恩は返せません」


「いやいや……」


 結構色々としてもらっているのはショウカイの方である。


「それでどちらに行かれるかは決められたのですか?」


「とりあえずこの森の南にある町に行こうと思ってるよ。


 そこからずっと行ってスーハッフルスに行ってみようと考えてる」


「そうですか。


 シズクさんのことはお任せください」


「ああ、頼むよ」


 そうしてショウカイは出発した。


 ーーーーー


「これ持っとけ」


 森を出るまではマギナズが付き添ってくれて、南の橋の近くにまでやってきた。

 もうそろそろお別れというところでマギナズからナイフを渡された。


「これは?」


 剣ももらったというのにこのタイミングでナイフをくれる理由が思いつかない。

 抜いてみると普通の金属ではなく、黒くて光沢のあるナイフだった。


 素人のショウカイにはなんなのか分からないけれど金属でもなさそう。


 とりあえず軽くてキレイなナイフだと思った。


「ちょっと前に届いたんだ。


 考えても見たんだが問題が片付いたらまたここに戻ってくるだろ?


 でも私たちにはそれを連絡する手段がない。

 となるとお前が森の中を歩いてくることになるんだけどそれもまた不安って女王様がな」


「確かに」


 それは考えていなかった。

 テディベアを直したらそれを返しに来なきゃいけない。


 だけどまたここにきた時には今のようにマギナズはいない。

 死の森とまで言われているここの奥まで行かなきゃいけない時にショウカイが無事でいる保証はない。


 そこでテラリアスナーズは考えたのだ。

 通行証のような、何か森の中を行くのに使えそうなものをショウカイに渡しておけばよいと。


 テラリアスナーズやマギナズの友人であることが分かるようなものを持っていれば森の魔物はショウカイに手を出さないはずだと思ったのだ。

最後まで読んでいただきましてありがとうございます!


もし、少しでも面白い、続きが読みたいと思って頂けましたら、

ブックマークや高評価、いいねを頂ければ幸いです。


評価ポイントをいただけるととても喜びます。


頂けた分だけ作品で返せるように努力して頑張りたいと思います。


これからもどうぞよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ