閑話・ちなみにここに
「なんでお前ここにいるんだ?」
ワチカミは不思議そうな顔をしてシズクを見る。
かなり影の薄いシズクだったのだがテラリアスナーズの血を摂取してからというもの体の調子がおかしかった。
本来知恵のないと言われているスライムのシズク。
ショウカイに感謝する程度の知恵はあるのだけれどノワールほどの知恵もなく、ノワールのように主張することもなかった。
スーハッフルスの時はノワールと一緒にお留守番してるだけでもそれなりに満足だった。
ノワールが進化に入ってからは山岳地帯でも一緒にいたのだけど目立ったことはしていなかった。
そしてショウカイがテラリアスナーズの森に行く時にはシズクは付いて行かなかった。
ショウカイが忘れていたというのもあるのだけどシズクが隠れるようにしていたことも大きかった。
それに気づいたワチカミはシズクを連れてきたのだけれど、シズクは隅で動かない。
話しかけても突いてみても反応はない。
必要ならショウカイが呼ぶだろうと思っていたのだけど忙しいのかずっとシズクは隅にいたままだった。
ショウカイは先にテラリアスナーズの血を摂取して気を失ってしまったので知らなかったのだけどシズクもテラリアスナーズの血を摂取していた。
以来というものシズクの様子はおかしかった。
元々分かりやすい感情以外にはシズクは分からない魔物であったのだけど動きは少なくなっていた。
誰にも分からない変化。
ノワールだけではない変化がシズクにも訪れていた。
「ほら、飯持ってきた……っていないし」
なんか食べさせれば元気になるかもと羽をむしったカラスを持ってきたのであったがワチカミが戻ってきた時にはシズクはちょうどショウカイに呼び出されていたのであった。
「なんか、シュシュもミクリャもいねえと寂しいな」
今までどちらもいなかったはずなのに。
それなのにいつの間にか転がり込んできて、ショウカイまで時々来始めた。
賑やかでこんなこと初めてだった。
多少退屈だと思ったことはあってもこんな風に寂しいと感じることは今までなかった。
「早く帰ってこねーかな?」
ショウカイの従魔でもないのにちょいちょい旅に出るシュシュが何だか羨ましく思えてきたワチカミであった。
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